3Dプリンターを使用する際、造形物の後処理方法については多くの疑問が浮かぶものです。特に、水洗いしても問題ないのか、どういった素材に対して水洗いが適しているのかは、初心者にとって重要なポイントです。この記事では、FDM方式で使用されるPLA素材の造形物について、水洗いが適しているのかどうかを詳しく解説します。
FDM方式とは？PLA素材の特性を理解する
まず、FDM（Fused Deposition Modeling）方式は、フィラメントを溶かして積層しながら造形を行う3Dプリンティングの一種です。この方式で使用される代表的な素材がPLA（ポリ乳酸）です。PLAは、植物由来のバイオポリマーで、生分解性があり、環境に優しい特徴を持っています。
PLAは比較的硬く、軽量でありながら、非常に優れた表面仕上げを持つため、家庭用や小規模なプロジェクトでも非常に人気があります。しかし、この素材の取り扱いや後処理にはいくつか注意点があります。
PLAの水洗い：基本的な注意点
PLA素材の造形物は、一般的に水洗いには向いていないと言われています。なぜなら、PLAは温水や高湿度に対して比較的弱いため、長時間水に浸けておくと表面が変形したり、強度が低下する可能性があるからです。
しかし、軽い汚れやサポート材の除去のために、素早く水洗いすることは可能です。水洗いの際は、ぬるま湯を使い、強い圧力を避けて優しく洗うようにしましょう。また、長時間水に浸けておかないことも大切です。
水洗いの適切な方法と実例
PLA素材の造形物を水洗いする際は、以下のポイントに注意しましょう。
- ぬるま湯を使用する：熱いお湯や冷たい水はPLAを損傷する恐れがあります。ぬるま湯を使用し、温度差を避けることが重要です。
- 優しく洗う：強くこすったり、圧力をかけたりしないようにしましょう。指で軽く拭き取るか、柔らかい布で優しく拭くのが理想的です。
- すぐに乾かす：洗った後は、乾燥させることを忘れないでください。湿気が残っていると、PLAが膨張して形状が崩れる原因になることがあります。
例えば、3Dプリンターで作成したフィギュアやプロトタイプの表面が汚れている場合、ぬるま湯でサポート材や汚れを取り除くことができますが、その後はできるだけ早く乾燥させることが大切です。
PLAの水洗いを避けるべき場合
すべての状況でPLAを水洗いすることが適切ではありません。特に、以下のような場合には水洗いを避けた方が良いです。
- 造形物が精密な場合：複雑な構造や非常に細かいディテールがある場合、水洗いによって形状が崩れる可能性があります。
- 造形物が長時間水に浸かる場合：長時間水に浸していると、PLAの強度が低下したり、表面が変形したりすることがあります。
- 高湿度環境で保管する場合：PLAは湿気に弱いため、湿度が高い場所で保管していると、水洗い後にさらに影響を受けやすくなります。
まとめ：PLAの水洗いは慎重に行うべき
PLA素材の造形物は、適切に水洗いすることが可能ですが、いくつかの注意点があります。特に温度差に弱いため、ぬるま湯で優しく洗うことが重要です。また、長時間水に浸けておかないことや、洗浄後に速やかに乾燥させることを心がけましょう。
もし、汚れやサポート材を取り除くために水洗いを行う際は、上記の方法を参考にして、造形物を損傷することなく美しい仕上がりを保つことができます。水洗いが不安な場合は、エアブラシやドライクリーニングを検討するのも一つの方法です。
コメント