野鳥撮影などの用途で「APS-Cモードにすると焦点距離が1.5倍になる」といった言説をよく耳にします。しかし、この発言には少し誤解が含まれていることもあります。35mmフルサイズのカメラでAPS-Cモードを使用する際の焦点距離の効果や、トリミングとの違いについて解説します。
APS-Cモードと焦点距離の関係
APS-Cモードを使用すると、フルサイズセンサーの中央部分だけが使用され、実質的にセンサーサイズが小さくなります。これにより、望遠レンズを使用した際に、1.5倍の焦点距離効果が得られると考えられがちです。しかし、これは単にセンサーの中央部分を使っているだけであり、物理的にレンズの焦点距離が変わるわけではありません。
したがって、APS-Cモードによる「焦点距離が1.5倍になる」というのは、あくまで画角が狭くなるだけで、実際の焦点距離は変わりません。このように、APS-Cモードを使った場合でも、レンズの焦点距離自体は変わらないことを理解することが重要です。
トリミングとの違い
APS-Cモードとフルサイズで撮影した画像を比較すると、APS-Cモードではセンサーの中央部分を使用するため、結果的にトリミングと似たような効果を得られることになります。トリミングの場合も、写真の一部を切り取って拡大することで、焦点距離を「1.5倍」に近いものにすることができます。
つまり、APS-Cモードを使用する場合、後で画像をトリミングする手間を省くことができる点で便利ではありますが、画質に関してはフルサイズセンサーの全領域を使って撮影する場合と完全に同じではありません。トリミングによって画質が落ちる可能性があるため、その点も考慮する必要があります。
焦点距離と撮影時の選択肢
実際に、野鳥撮影や動物撮影で望遠を活用する場合、フルサイズで焦点距離の長いレンズを使用する方が、より高解像度で広い画角を得られるため有利です。APS-Cモードでは、画角が狭くなるため、撮影後にトリミングを加えたり、追加でデジタルズームを使用することが必要になる場合があります。
一方で、APS-Cモードを使用することで、レンズの焦点距離が実質的に「1.5倍」になり、遠くの被写体をより大きく撮影できるというメリットもあります。これが「便利」とされる理由です。ただし、撮影後の画質が劣化しないように注意する必要があります。
まとめ
APS-Cモードは、フルサイズカメラで撮影時に焦点距離を「1.5倍」にする効果があるとされていますが、実際にはトリミングと同じような効果であり、物理的にレンズの焦点距離が変わるわけではありません。これにより便利さを感じることもありますが、画質やトリミング後の画像の劣化についても考慮が必要です。最終的には、撮影シーンや使用するレンズに応じて、APS-Cモードとフルサイズの使用を使い分けることが重要です。
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