カセットテープを再生する際には問題がないのに、録音時だけ音揺れが発生する場合があります。この症状は、メカニズムや録音系統に特有の原因が関係していることが多く、適切な対策を行うことで改善できる場合があります。ここでは、具体的な原因と解決策を解説します。
録音時の音揺れの主な原因
録音時のみ音揺れが発生する場合、録音バイアス回路や録音ヘッドの状態、または録音時にだけ動作するメカ部品の摩耗や汚れが原因であることが考えられます。特に、録音時にはバイアス信号が加わるため、電気的な不具合や接触不良が音質に影響を与えることがあります。
また、録音時にはキャプスタンモーターやピンチローラーにかかる負荷が変わるため、摩耗や硬化したローラーによってテープ走行が微妙に不安定になるケースもあります。
ヘッドやピンチローラーの状態確認
録音ヘッドは再生ヘッドと兼用の場合もありますが、3ヘッドタイプや特殊構造では録音専用のヘッドが存在します。録音ヘッドの汚れや磁化が進んでいると、バイアス信号の伝達にムラが生じ、結果として音揺れが発生することがあります。
ピンチローラーは表面が硬化したり、わずかな偏摩耗があるだけでも録音時に影響を及ぼします。無水エタノールでの清掃後も改善しない場合は、ローラーの交換が必要になることがあります。
メカニズム特有の要因
カセットデッキは録音時と再生時で動作する部品が異なることがあります。例えば、録音時だけ作動するリレーや切替スイッチの接点不良により、モーターへの電圧が安定せず微妙な速度変動が起きることがあります。
また、ベルト駆動式の場合、録音モード切替時の負荷変化によって、劣化したベルトが滑ることも原因となります。
具体的な対策
- 録音ヘッドの入念なクリーニングと消磁(ヘッド消磁器を使用)
- ピンチローラーの状態確認と必要に応じた交換
- キャプスタンベルトやアイドラーの点検と交換
- 録音/再生切替スイッチやリレー接点の清掃
特に古い機種では、接点クリーナーを使って切替スイッチの酸化膜を取り除くことで症状が改善する場合があります。
実例:録音時だけ揺れる症状の改善
あるユーザーの事例では、録音時のみ音揺れが発生する症状が、録音/再生切替スイッチの接点不良と判明。接点復活剤で清掃したところ、音揺れが解消しました。このように、録音専用の信号経路やメカ動作を重点的に点検することが重要です。
まとめ
録音時だけの音揺れは、再生系統には現れない録音専用の経路や動作部分に原因が潜んでいます。録音ヘッドやピンチローラー、切替スイッチの状態を確認し、必要なメンテナンスを行うことで改善できる可能性が高いです。長く安定して録音を楽しむためには、定期的な清掃と部品点検を心がけましょう。
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