ニコンのFTZアダプターを使用する際、「市販されているFマウントのレンズの約半数がFTZを介して使えない」という主張があります。この記事では、この主張の真偽を検証し、FTZアダプターの互換性や技術開発の背景について詳しく解説します。
FTZアダプターの互換性と対応レンズ数
ニコンのFTZアダプターは、FマウントレンズをZマウントカメラに装着するためのアクセサリーです。ニコンによると、FTZアダプターは約360種類のFマウントレンズに対応しており、そのうち約90種類のAF-S、AF-P、AF-Iタイプのレンズでは、オートフォーカス(AF)およびオート露出(AE)機能が完全にサポートされています。残りのレンズでも、マニュアルフォーカスや絞り操作は可能ですが、AFやAEが制限される場合があります。したがって、「約半数が使用不可」という主張は、AF機能に関しては一部のレンズに当てはまるものの、全体の互換性を示すものではありません。
FTZアダプターで使用できない主なレンズタイプ
FTZアダプターで使用できない主なレンズタイプは以下の通りです。
- AF-Dタイプのレンズ:これらのレンズはカメラボディ内のモーターを使用してAFを駆動しますが、FTZアダプターにはそのモーターが搭載されていないため、AFが機能しません。
- AI、AI-S、AI-Pタイプのレンズ:これらのレンズはマニュアルフォーカス専用で、FTZアダプターを介してもAFは使用できません。
- 一部のサードパーティ製レンズ:特に古いモデルや、AFモーターを内蔵していないレンズは、FTZアダプターとの互換性が限られる場合があります。
これらのレンズは、FTZアダプターを使用しても、マニュアルフォーカスや絞り操作は可能ですが、AFやAE機能は制限されることがあります。
ニコンの技術開発とマウント規格の選定
ニコンは、Fマウントを1959年に導入して以来、長年にわたり一貫してこの規格を採用してきました。しかし、ミラーレスカメラの普及に伴い、より広い口径と短いバックフォーカスを持つZマウントを2018年に発表しました。Zマウントは、より高性能なレンズ設計を可能にし、将来的なレンズラインアップの拡充を見据えた選択とされています。
FマウントからZマウントへの移行は、既存のFマウントレンズとの互換性を維持するためにFTZアダプターが開発されました。このような技術開発は、ユーザーのレンズ資産を保護しつつ、新しい技術への移行をスムーズに行うための戦略の一環です。
まとめ
FTZアダプターは、ニコンのFマウントレンズをZマウントカメラで使用するための有効な手段です。AF-S、AF-P、AF-Iタイプのレンズでは、AFおよびAE機能が完全にサポートされており、約90種類のレンズがこれに該当します。一方で、AF-DタイプやAI、AI-S、AI-Pタイプのレンズでは、AF機能が制限される場合がありますが、マニュアルフォーカスや絞り操作は可能です。ニコンの技術開発は、ユーザーの利便性を考慮しつつ、将来の技術革新に対応するための戦略的な選択といえます。


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