サンスイ AU-α607MRは高品質なオーディオアンプですが、ダーリントン接続回路に起因する熱問題でハンダクラックが発生することが報告されています。これにより、特定の抵抗値がばらつき、パワートランジスタ(パワトラ)が焼損する場合があります。この記事では、このアンプの回路の問題と、その修繕方法について解説します。
1. ダーリントン接続回路の問題とは?
ダーリントン回路は、2つのトランジスタを直列に接続することで、増幅率を大きくする設計です。しかし、この構造には熱がこもりやすいという欠点があります。特に、前段トランジスタに過度の熱がかかると、ハンダ接続部分に亀裂が生じ、最終的にトランジスタが故障する可能性があります。
サンスイ AU-α607MRでは、トランジスタ A1837(おそらく前段のドライバー)が先にダメになり、その後、終段のパワートランジスタが焼損するケースが多いです。この問題は、特に高温環境下で発生しやすく、長期間使用したアンプに多く見られます。
2. 修理時に注意すべきポイント
修理を行う際には、以下の点に注意が必要です。
- 抵抗値のばらつき:120Ωや560Ωの抵抗値がばらつくと、回路のバランスが崩れ、トランジスタに過度な負荷がかかります。
- ハンダクラック:熱によりハンダの接続部分に亀裂が生じると、接続不良が発生します。これが原因でトランジスタが正常に動作しなくなります。
- トランジスタの交換:A1837やパワートランジスタが故障している場合、これらのトランジスタを交換する必要があります。
3. 回路図の読解と修正方法
素人の方でも修理ができるように、回路図を簡単に説明します。まず、問題の回路部分は、前段のトランジスタ(A1837)とその後ろに接続されているパワートランジスタです。熱がこもりやすい部分なので、ヒートシンクの効率を高めることで熱対策を行います。
修理には、まず故障したトランジスタを取り外し、抵抗値のチェックを行い、問題がないかを確認します。次に、交換用のトランジスタ(A1837やパワートランジスタ)を取り付け、再度熱対策を施します。ヒートシンクを大きいものに交換することで、トランジスタが過熱するのを防ぎ、安定性を向上させることができます。
4. 熱対策と改善方法
ダーリントン接続回路の欠点を改善するためには、熱管理が非常に重要です。以下の方法で熱を効率よく放出させることができます。
- ヒートシンクの強化:熱を効率よく放散させるために、大きめのヒートシンクに交換する。
- トランジスタの交換:高温に耐性のあるトランジスタに交換することで、熱ダメージを防ぎます。
- 通気性の向上:アンプ内の通気性を改善し、熱がこもらないようにする。
5. まとめと今後の対応
サンスイ AU-α607MRのダーリントン接続回路における熱問題は、トランジスタの寿命に大きな影響を与えるため、早期に対処することが重要です。熱対策をしっかり行うことで、トランジスタの故障や焼損を防ぎ、長期間にわたって安定した動作を維持することができます。修理時は、回路図を元に慎重に作業を行い、必要な部品を交換しましょう。
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