カメラのオートフォーカスにおける「位相差方式」の由来と歴史的背景

デジタル一眼レフ

カメラのオートフォーカス技術において、「位相差方式」という用語が登場するのはよく知られていますが、その名称の由来については長年謎のままです。特に、「位相差」とは一体何を意味し、なぜそのように呼ばれるのかについて疑問を持つ人も多いでしょう。本記事では、「位相差方式」の起源とその背後にある技術的な背景を解説します。

位相差方式とは?

「位相差方式」のオートフォーカスは、一般的にはレンズ内部で瞳分割を用いて像の位置差を測定する方法を指します。これにより、焦点が合っていない場合、どの方向に調整すべきかを計算し、迅速にピントを合わせることができます。しかし、この名称の「位相差」が何に由来するのかは、すぐに理解できるものではありません。

位相差方式の原理と誤解されやすい点

初期のオートフォーカス技術では、アナログ回路を使用して、2つの光束の位置差を測定することによってピント調整を行っていました。この時、光の位置差が電気信号として検出され、その差が「位相差」と呼ばれたという説があります。アナログ回路では、光の時間的なずれが位相差に相当するため、この用語が使われたと言われています。

ただし、これはあくまで回路設計に関する話であり、一般のカメラユーザーにとっては、あまり馴染みのない話です。そのため、最初にこの技術を導入した際には、ユーザーに理解されやすいように、「位相差方式」という名称が選ばれた可能性もあります。

ライツと「受動型AF」の初期実験

1970年代初頭、ライツ(Leica)は、CCDラインセンサなどの固体撮像素子が普及していない時代に、格子やCdSセンサを用いた「受動型AF」の実験を行っていました。この実験で使用されたのは、音叉型振動子に取り付けられたセンサであり、その振動の位相を基準に光量の変化を測定する方法が採られていました。この際、振動波の位相を基準として測定された光量の分布変化が、瞳分割による位置差に相当するため、これが「位相差方式」の由来となったと考えられています。

位相差方式の進化とカメラ業界への影響

その後、この技術はライカによって特許を取得し、フォトキナなどで発表されると、ハネウエルなどの企業がユニット化し、カメラ業界に広まりました。特に、デジタルカメラの普及と共に、位相差AFは高精度で迅速なオートフォーカスを実現するための重要な技術として定着しました。

現在では、位相差AFはすべてのデジタル一眼レフカメラ(DSLR)やミラーレスカメラに搭載されており、特に動きの速い被写体を捉える際にその真価を発揮しています。技術的な精緻さは進化し続けており、その後のカメラ技術の発展に大きな影響を与えています。

まとめ

「位相差方式」の名称の由来は、初期のオートフォーカス技術が、光束の位置差を電気信号の位相差として測定していたことに起因しています。また、この技術はライツによって発展し、カメラ業界に革新をもたらしました。オートフォーカス技術の進化は、現在のカメラの重要な機能の一つとなり、今後も新たな進展が期待されます。

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