デスクトップPCを移動した後に、電源ボタンを押しても「ファンが一瞬だけ回って止まる」という症状は比較的よく起こります。この記事では、こうした“瞬間起動落ち”がなぜ起こるのか、そして自力で確認できる具体的な対処方法を専門的にわかりやすく解説します。
PCが一瞬だけ起動して落ちるときにまず疑うポイント
パソコンが一瞬だけ起動して止まるという症状は、多くの場合「電力不足」または「内部配線のズレ」が原因として挙げられます。特にPCを移動した直後は、内部の接続がわずかに緩んだだけでも起動不能になることがあります。
また、マザーボード側の保護機能が働き、安全のため電源が遮断されているケースもあります。これは故障ではなく、むしろ正常動作の範囲と言えます。
最も多い原因:内部ケーブルの緩み
PCを台車で運んだり、揺らしたりすると、次のケーブルがわずかに抜けることがあります。
- ATX24ピン電源ケーブル
- CPU補助電源(4ピン/8ピン)
- GPU(グラボ)補助電源
- ストレージ(SSD/HDD)の電源ケーブル
特にCPU補助電源が少しでも浮いていると、今回のように「一瞬だけファンが回って止まる」という現象が必ず起こります。
実際に修理店でも、PC移動後の不具合の半数以上が「電源ケーブルの緩み」が原因です。
対処法①:PC内部のケーブルをすべて“押し込み確認”する
まず電源コードを抜いた状態で、次のケーブルをしっかり奥まで差し込まれているか確認しましょう。
- ATX24ピン(マザーボードのメイン電源)
- CPU補助電源(マザーボード上部にある8ピン)
- GPUの補助電源
- SSD/HDDの電源ケーブル
軽く触るだけではなく、カチッと感触があるまで指で強く押し込むのがポイントです。
特にCPU補助電源は外れやすいため、最優先で確認してください。
対処法②:電源ユニットのスイッチ・ケーブル確認
意外と見落としがちなのが、PC背面の電源ユニットのスイッチです。移動中に何かが当たってオフになることがあります。
また、壁のコンセントや電源タップが完全に挿さっているかも確認しましょう。電圧が安定せず、瞬間的に落ちることもあります。
対処法③:メモリの抜き差し
PCを動かすと、メモリが少し浮いて認識されなくなることがあります。するとマザーボードが誤作動を検知して起動しません。
両側のラッチ(爪)がしっかり閉まっているか確認し、それでも起動しない場合は一度抜いて挿し直してください。
対処法④:GPU(グラボ)のズレ確認
グラボを搭載しているPCの場合、振動でグラボがPCIeスロットから浮くことも起こります。
次の2点を確認してください。
- 固定ネジが緩んでいないか
- PCIeスロットに奥まで刺さっているか
少しでも浮いていると、電源が瞬断されます。
対処法⑤:CMOSクリアで復旧するケースもある
移動の衝撃でBIOSが不安定になり、起動できなくなることがあります。その場合はCMOSクリア(マザーボードのリセット)が有効です。
ボタン式・ジャンパー式など種類がありますが、説明書に従えば難しい作業ではありません。
それでも起動しない場合
次の可能性があります。
- 電源ユニットの故障
- マザーボードの破損
- ショート(ケース内部の金属接触)
特にPC移動時に起こりやすいのは、電源ケーブルの断線や電源ユニット内部の故障です。専門店での診断をおすすめします。
まとめ:移動後にPCが起動しない場合は“内部接触不良”が最も多い
今回のような症状は、PC移動後に非常に多く見られます。ほとんどの場合は、内部ケーブルがわずかに緩んでいるだけで、部品交換なしで復旧できます。
特に確認すべきなのは、CPU補助電源・ATX24ピン・メモリ・グラボの4つです。この4つをしっかり押し込むだけで、起動するケースが非常に多いです。
焦らず順番に確認して、パソコンを復旧させましょう。

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