自作PCで「CPU:Ryzen 7 9800X3D」「グラフィックカード:RX 9070 XT」というハイエンド構成を検討中で、CPUクーラーをThermalright Phantom Spirit 120 SEにしたいと思っているなら、本記事では「このクーラーで性能十分か」「必要な冷却仕様は何か」「実践的に確認すべきポイント」を整理します。
Ryzen 7 9800X3Dの冷却要件から確認
Ryzen 7 9800X3DはTDP 120 W/MTP 162 Wという仕様で、レビューではAMD公式で「少なくとも240‑280mmクラスの液冷(AIO)またはそれに相当する空冷」が推奨されています。[参照]
このことから、空冷クーラーを選ぶ際には「ハイエンド空冷として実力が十分か」「ケースのエアフロー・ファン構成も整っているか」という構成設計が重要になります。
Phantom Spirit 120 SEの性能と実例
Thermalright Phantom Spirit 120シリーズはレビューで「7本のヒートパイプ+デュアルタワー構造で約234 Wを処理可能」と評価されており、コストパフォーマンスとして非常に優秀です。[参照]
ユーザーレポートによれば、Ryzen 7 9800X3Dでも「Phantom Spirit系でギリギリ運用できている」という声がありますが、「高負荷連続時には冷却余裕が少ない」「ファン回転数・ケース冷却が追い付いていない場面あり」との報告も。[参照]
実践チェックリスト:構成が合致していれば十分という条件
このクーラーで安心運用するためには、以下の条件が揃っていることが望ましいです。
- ケース内エアフローが良好(前面から取り入れ・上/背面から排気ファンあり)
- CPUファンとリア排気/トップ排気ファンとの干渉・温度上昇リスクが低い
- CPUクロック・PBO/OCを控えめに運用、また長時間負荷(レンダリング・エンコード)を少なめに想定している
- ケース内温度(夏場含む)で80 ℃以上にならない確認がある
もしこれらが揃っていない場合、冷却に“やや不安”が残ると考えたほうが良いでしょう。
こんな場合はクーラーのアップグレードを検討すべきケース
以下のような運用を想定している場合は、Phantom Spirit 120 SEよりも冷却余力のあるモデルを検討するほうが安心です。
- CPUを長時間高負荷で使う(例:動画編集・3Dレンダリングを毎日)
- 夏場など室温が高く、ケースが密閉構造/排熱が弱いケースを使用している
- PBOやOC(オーバークロック)を最大限運用して、CPUクロックを高めに維持したい
例えば複数レビューでは、「Ryzen 7 9800X3Dには240/280mm AIO、あるいは大口径空冷(例:Noctua NH‑D15級)を推奨する」との記載があります。[参参]
まとめ:条件次第で“十分”だが、余裕ある運用が望ましい
まとめると、Thermalright Phantom Spirit 120 SEは非常に優れた空冷クーラーで、構成・ケース・使用用途が限定的であればRyzen 7 9800X3Dとの組み合わせでも十分運用可能です。
しかし、冷却余裕を多く確保したい、長時間高負荷をかけたい、ケースエアフローがあまり良くないと感じるなら、もう一段上の冷却(大型空冷またはAIO水冷)を検討したほうが安心です。構成に合わせて“冷却の設計”をしっかりしておきましょう。


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