3Dプリンターの造形トラブルの多くは、実はプレート(ビルドプレート)の汚れが原因です。指の皮脂やホコリが付着すると、定着不良や反り、造形ズレが起こりやすくなります。本記事では、手指消毒用アルコールが使えるのか、無水エタノールとの違い、さらに他の洗浄方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。
手指消毒用アルコールはプレート清掃に使える?
結論から言うと、応急的には使用可能ですが、常用はおすすめできません。
市販の手指消毒用アルコールはエタノール濃度が70〜80%程度で、保湿成分(グリセリンなど)が含まれている場合があります。この成分がプレート表面に残留すると、かえって密着性が低下することがあります。
「とりあえず軽く拭く」程度なら問題ありませんが、定着不良が続く場合は別の方法を選ぶべきです。
無水エタノールが推奨される理由
3Dプリンターのプレート清掃で最も一般的に推奨されるのが無水エタノール(99%前後)です。
無水エタノールは揮発性が高く、皮脂や油分をしっかり除去しつつ、拭き跡や成分残りがほぼありません。PEIプレート、ガラスプレート、スチールシートなど、ほとんどの素材で安全に使用できます。
実際、多くのメーカーやユーザーガイドでも日常清掃の基本として無水エタノールが紹介されています。
他に使えるプレート洗浄方法
アルコール以外にも、状況に応じて有効な洗浄方法があります。
中性洗剤+水洗い
皮脂汚れがひどい場合は、中性洗剤(食器用洗剤)での水洗いが非常に効果的です。
プレートを取り外し、柔らかいスポンジで優しく洗い、しっかりすすいだ後、完全に乾燥させます。洗剤成分が残らないよう注意が必要です。
イソプロピルアルコール(IPA)
無水エタノールが手に入らない場合、IPA(イソプロピルアルコール)も代替として使えます。
脱脂性能は高いですが、濃度が低い製品や不純物入りのものは拭き跡が残る場合があります。
メラミンスポンジは注意
一部ではメラミンスポンジが紹介されますが、PEIコーティングを削る可能性があるため、常用は避けるべきです。
プレート清掃の頻度と正しい習慣
安定した造形を続けるためには、印刷前の軽い清掃を習慣化するのが理想です。
無水エタノールでの拭き取りは数回の印刷ごと、指で触れた後は必ず実施するとトラブルを大幅に減らせます。
やってはいけない清掃方法
シンナー、アセトン、研磨剤入りクリーナーなどは、プレート表面を傷める可能性があります。
特にPEIシートでは、表面劣化=密着不良に直結するため注意が必要です。
まとめ
手指消毒用アルコールは一時的な清掃には使えますが、保湿成分による悪影響の可能性があります。
日常的な清掃には無水エタノールが最適で、汚れがひどい場合は中性洗剤での水洗いが有効です。正しい清掃習慣を身につけることで、3Dプリンターの失敗率を大きく下げることができます。


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