昭和20〜30年代の真空管ラジオでシャフトが長く揃っている理由とは?当時の製作背景と設計思想

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昭和20年代から30年代頃の真空管ラジオの製作例を見ると、シャーシから突き出したボリュームやスイッチ、トーンコントロールなどのシャフトが、同じ長さで何本も並んでいる構造がよく見られます。現代の感覚では不格好で危なそうにも見えますが、これには当時ならではの明確な理由がありました。

木製キャビネットへの組み込みを前提とした設計

最大の理由は、完成後に木製キャビネットへ組み込むことを前提としていた点にあります。

シャーシ単体の製作段階では、前面パネルやつまみがまだ存在せず、最終的なパネル厚や位置が確定していません。そのため、シャフトは余裕をもって長く残され、キャビネット完成後に適切な位置でつまみを取り付ける設計が一般的でした。

量産部品を使うための合理性

当時は現在ほど部品のバリエーションが豊富ではなく、シャフト長の異なる部品を細かく指定することが難しい時代でした。

そのため、標準的でやや長めのシャフトを持つボリュームやスイッチを共通部品として使い、最終的な見た目や操作性はキャビネット側で調整する、という合理的な方法が採られていました。

自作・雑誌工作記事文化の影響

当時の真空管ラジオは、メーカー製品だけでなく、雑誌の製作記事を参考にした自作やセミプロ的な製作も非常に多く存在しました。

工作途中の写真やシャーシ状態の写真では、完成形ではないため、シャフトが切断されずに長いまま写っている例が多く、それが「そのまま使われている」印象を与えている面もあります。

安全性や見た目より調整性を重視

現代では安全性や外観が強く重視されますが、当時はまず「調整しやすい」「確実に動作する」ことが重要でした。

長いシャフトは仮組み状態でも操作しやすく、測定や調整作業を行う上で都合が良かったため、製作途中ではあえて切らないケースも多かったのです。

最終的にはカットまたはノブで隠れる

実際に市販完成品として販売されるラジオでは、シャフトは適切な長さに調整され、つまみを装着することで露出部分は最小限になっています。

つまり、写真で見る「みっともなく危なそう」な状態は、完成形ではなく製作途中、あるいはシャーシ単体の姿である場合がほとんどです。

当時の設計思想を知る手がかりとして

シャフトが長く揃っている構造は、決して手抜きではなく、当時の部品事情・製作工程・キャビネット前提設計を反映した結果です。

こうした視点で眺めると、昭和期の真空管ラジオは非常に合理的で、作り手本位の奥深い設計思想を持っていたことが見えてきます。

まとめ

昭和20〜30年代の真空管ラジオでシャフトが長く揃っているのは、木製キャビネットへの後組み込み、部品共通化、調整作業のしやすさといった理由によるものです。

完成品では適切に処理される前提の構造であり、当時の技術環境と製作文化を理解することで、その合理性がよく分かります。

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