フォトグラメトリーや衣服制作のために、市販のマネキンでは形状が合わず、3Dプリンターでオリジナルのマネキンを制作したいと考える方も増えています。特に、等身大フィギュアや人体モデルの制作には、大型3Dプリンターが必要ですが、予算や扱いやすさの面で最適な選択をすることが重要です。
本記事では、予算10万円以下で等身大マネキンを分割造形するのに適した3Dプリンターを紹介し、選び方のポイントや実際の制作手順について解説します。
等身大マネキン制作に適した3Dプリンターの選び方
等身大のマネキンを3Dプリントする場合、以下の要素を考慮して3Dプリンターを選ぶ必要があります。
✔ 1. FDM方式(熱溶解積層方式)を選ぶ
3DプリンターにはFDM(熱溶解積層方式)とSLA(光造形方式)などがありますが、等身大マネキンの制作にはFDM方式が最適です。
- 造形サイズが大きく、分割して出力しやすい
- 材料コスト(フィラメント)が安く、大量印刷に向いている
- PLAやPETGなど、強度のある素材が使える
一方で、SLA方式は高精細なモデル向きですが、大きなパーツの造形には向いていないため、等身大制作には適しません。
✔ 2. 大型の造形サイズが可能なプリンターを選ぶ
等身大のマネキンを一度にプリントすることは難しいため、分割造形が必要になります。そのため、1回の印刷でできるサイズ(ビルドボリューム)が大きい3Dプリンターを選びましょう。
おすすめのビルドボリューム
- 最低でも 300×300×400mm 以上のサイズが望ましい
- より大きなパーツを一度に出力できると、接合部分を減らせる
- 複数のパーツを一括でプリントできるプリンターが理想
✔ 3. 安定した印刷品質
等身大モデルの精度を維持するためには、印刷時の安定性が重要です。
- デュアルギアエクストルーダー搭載モデル → フィラメントの押し出しが安定し、層のズレが少ない
- オートベッドレベリング機能付き → 長時間の印刷でも安定しやすい
- リニアレール搭載モデル → 大型プリント時に振動を抑えて高精度な造形が可能
等身大マネキン制作におすすめの3Dプリンター(10万円以下)
以下の3Dプリンターは、大型造形が可能で、等身大マネキンの分割造形に適しています。
① Creality Ender 5 Plus
- ビルドボリューム: 350×350×400mm
- オートベッドレベリング機能搭載で安定した造形
- 強化フレーム構造で大型プリント時も振動が少ない
- 価格: 約7~9万円
✅ 大型造形でも安定した印刷が可能
② Anycubic Kobra Max
- ビルドボリューム: 400×400×450mm(超大型)
- 独自のレベリング機能で手間をかけずに印刷開始可能
- 高速印刷対応で、分割モデルを効率よく出力できる
- 価格: 約8~10万円
✅ 最大級のビルドボリュームで等身大パーツの出力に最適
③ Artillery Sidewinder X2
- ビルドボリューム: 300×300×400mm
- 静音設計で長時間の印刷でも快適
- ダイレクトドライブ方式で柔軟な素材にも対応
- 価格: 約6~8万円
✅ 高精度&静音で長時間の印刷に最適
等身大マネキンの制作手順
実際に3Dプリンターを使って等身大マネキンを制作する流れを説明します。
① 3Dデータの作成
- フォトグラメトリーでスキャンしたデータをMaya、Zbrush、Blenderなどで修正
- パーツごとに分割(上半身・下半身など)
- 接合部にダボ穴を作成し、後で組み立てしやすくする
② 3Dプリント
- 造形サイズに合わせてGコードをスライス(CuraやPrusaSlicerを使用)
- サポート材の設定を調整し、後処理しやすくする
- PLAまたはPETGフィラメントを使用(強度と軽量性のバランス)
③ 仕上げと組み立て
- サポート材を除去し、ヤスリがけで表面を滑らかに
- 接着剤またはネジでパーツを組み立て
- 必要に応じて塗装や仕上げを行う
まとめ
等身大のマネキンを3Dプリントするには、大型FDMプリンターを選ぶことが重要です。
- 最適な3Dプリンター:Ender 5 Plus、Kobra Max、Sidewinder X2
- FDM方式が適しており、PLAやPETGフィラメントを使用
- 分割造形&接合を工夫して、組み立てやすくする
これらのポイントを押さえれば、オリジナルの等身大マネキンを制作できます!
コメント