3DプリンターのAnycubic Mega Sで印刷速度を100mm/sに設定しても、実際には30mm/s程度しか出ていないという問題が発生することがあります。この現象はプリンターの故障ではなく、設定や接続方法に起因している可能性が高いです。本記事では、印刷速度が遅くなる原因とその解決策について詳しく解説します。
1. 印刷速度の設定は正しく適用されているか?
3Dプリンターの印刷速度設定には、スライサーソフトの設定とファームウェアの制限の両方が関係します。
- スライサーソフト側の設定:スライサーソフト(CuraやPrusaSlicerなど)で設定した速度が、Gコードに正しく反映されているか確認しましょう。
- ファームウェアの最大速度制限:プリンター本体のファームウェアにより、最大速度が制限されている可能性があります。
対策:
- スライサーの「印刷速度」設定を確認し、Gコード内の速度指示(F値)をチェックする。
- プリンターの設定画面で、最大速度の制限がかかっていないか確認する。
2. USB接続による通信遅延の可能性
SDカードではなくUSB接続を使用している場合、パソコンの処理速度やUSBの通信速度が影響している可能性があります。
特に、USB経由でプリントすると、パソコン側の負荷や通信遅延により、印刷速度が遅くなることがあります。
対策:
- 可能であれば、SDカードにGコードを保存し、プリンターの内蔵スロットから直接印刷する。
- USB接続を使用する場合は、プリンターとパソコンの間の通信を安定させるために、専用のソフトウェア(Repetier-Hostなど)を利用する。
- パソコンの不要なバックグラウンドプロセスを停止し、USBのデータ転送速度を向上させる。
3. ステップパーミリメートル(Steps/mm)設定の影響
プリンターのモーター制御に関わる「Steps/mm」設定が適切でない場合、設定した速度が実際の速度と異なる可能性があります。
これは、ファームウェアの設定により、モーターの動作ステップ数が変更されていることが原因で発生します。
対策:
- Gコードの「M503」コマンドを使用して、現在のステップ設定を確認する。
- 適切な「M92」コマンドを使用して、X/Y軸のステップ値を調整する。
4. 加速度やジャーク設定の影響
印刷速度の設定を100mm/sにしても、加速度(Acceleration)やジャーク(Jerk)設定によって、実際の速度が制限されることがあります。
プリンターの安全性を確保するために、標準設定では加速度が低めに設定されていることが多いため、速度が遅く感じられることがあります。
対策:
- Gコードで「M503」コマンドを実行し、加速度とジャークの設定値を確認する。
- 加速度(Acceleration)やジャーク(Jerk)の値を適切に調整し、M500コマンドで保存する。
5. まとめ
Anycubic Mega Sの印刷速度が設定よりも遅くなる原因として、以下の点が考えられます。
- スライサーソフトやファームウェアの最大速度制限
- USB接続による通信遅延
- ステップパーミリメートル(Steps/mm)設定の影響
- 加速度やジャーク設定の影響
解決策として、まずはSDカードで直接印刷を試し、それでも遅い場合はファームウェア設定を確認するのがおすすめです。これにより、プリンター本来の性能を最大限に引き出すことができます。
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