家庭用の光造形(SLA)プリンターは、高精度な造形が可能であり、FDM方式では実現しにくい細かいディテールを美しく表現できます。では、直径1.5mmの円柱や厚さ2mmの板などの小さな部品を大量に作る用途に適しているのでしょうか?本記事では、光造形プリンターの特性と活用方法について解説します。
光造形プリンターとFDMプリンターの違い
まず、FDM(熱溶解積層方式)と光造形(SLA/DLP)プリンターの違いを理解しましょう。
1. 造形精度
光造形プリンターは紫外線で液体樹脂を硬化させるため、FDMよりも細かいディテールを表現できます。特に1mm以下の造形や鋭利なエッジを再現する場合に強みを発揮します。
2. 角のシャープさ
FDM方式ではノズル径や積層の影響でエッジが丸まりやすく、1×2×1mmの直方体のような小さな部品は再現性が低くなります。光造形方式ではレーザーやLCDスクリーンを使用して硬化するため、細かい角の表現も可能です。
3. 表面の滑らかさ
FDM方式では積層跡が目立ち、表面がザラザラしがちですが、光造形方式では滑らかな仕上がりになります。直径1.5mmの円柱や厚さ2mmの板でも、滑らかで均一な表面を得ることができます。
家庭用光造形プリンターのおすすめ機種
小さな部品を大量生産するのに適した家庭用光造形プリンターをいくつか紹介します。
1. Elegoo Mars 3
- 解像度: 4K LCD
- 最小積層ピッチ: 10μm(0.01mm)
- メリット: 高精度で小型部品の製作が可能
2. Anycubic Photon Mono X
- 解像度: 4KモノクロLCD
- 最小積層ピッチ: 10μm
- メリット: 大型造形にも対応し、同時に多数の部品を作成可能
3. Phrozen Sonic Mini 8K
- 解像度: 8K LCD(22μm XY解像度)
- 最小積層ピッチ: 10μm
- メリット: 極小パーツの精密な再現が可能
光造形プリンターを使う際の注意点
小さな部品を大量に作る際には、いくつかの点に注意する必要があります。
1. サポート材の処理
光造形プリンターではサポート材が必要になることが多く、部品が小さいと除去の際に破損しやすいので、適切な配置を考えることが重要です。
2. 洗浄と後処理
造形後にはIPA(イソプロピルアルコール)での洗浄とUV硬化が必要です。小さな部品を大量に作る場合、効率的な洗浄方法を考える必要があります。
3. 精度を保つためのレジン選び
耐久性のあるレジンや高精度向けの低収縮レジンを選ぶことで、よりシャープな仕上がりが得られます。
まとめ
家庭用光造形プリンターは、FDMでは再現が難しい小さな部品の造形に向いています。特に以下の条件に当てはまる場合は、光造形プリンターが適しています。
- 直径1.5mmの円柱や厚さ2mmの板を高精度で作成したい
- 角のシャープな1×2×1mmの直方体を作成したい
- 滑らかな表面仕上げを求めている
- 大量生産するための効率的な造形方法を探している
上記のおすすめ機種を参考に、自分の用途に合った光造形プリンターを選び、より高品質な部品を作成しましょう。
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