オーディオ機器で差動伝送(バランス伝送)を使用する場合、GND(シールド)の扱いや基準電位の設定は初心者にとって混乱しやすいポイントです。差動伝送では信号の正負相を利用するため、基本的に信号はシールドなしでも伝送できますが、外来ノイズ対策や基準電位の整合を考慮することが重要です。
差動伝送とは何か
差動伝送では、2本の信号線(+、-)に対して逆位相の信号を流します。受信側ではこの2本の差を取り、外来ノイズは打ち消す仕組みになっています。これにより長距離伝送やノイズの多い環境でも安定した音声信号が得られます。
この方式では、信号線自体がノイズキャンセル機能を持つため、必ずしもGNDが必要ではありません。しかし、外来ノイズが多い場合やラック間接続では、シールドを適切に使用することで安定性が向上します。
キャノンケーブルでのシールドの扱い
キャノン(XLR)ケーブルではピン1がシールド用です。差動伝送で機器にGNDがない場合でも、シールドをラックグランドに落とすことで、ノイズループを避けつつ機器を保護できます。
実例として、EIAラックに複数機器を設置し、各コネクタのシールドをラックに落とす接続を行うと、外来ノイズの影響が軽減され、音質が安定します。
基準電位の合わせ方
差動伝送でGNDが無い場合、機器間の基準電位は直接接続されませんが、シールドを共通のラックグランドに落とすことで、事実上の基準電位が整合されます。これにより、片方の機器で発生したノイズが差動信号で打ち消され、クリアな信号伝送が可能です。
さらに、長距離伝送や異なるラック間では、アイソレーショントランスやバランス入力対応のDIボックスを使用すると、より安全に信号を伝送できます。
実例: ラック間差動伝送の接続
あるスタジオでは、アンプやプロセッサーをEIAラックに設置し、各機器のキャノンケーブルシールドをラックに落とす方式で接続しました。結果、外来ノイズはほぼなく、GNDが無い機器でも安定して音声信号が伝送されました。
別の例では、長距離伝送で発生するハムノイズ対策として、DIボックスを導入したところ、差動伝送の利点を最大限活かしつつ、GNDループによる問題を回避できました。
まとめ
差動伝送(バランス伝送)では、GNDが無くても信号は伝送可能ですが、外来ノイズ対策としてシールドをラックグランドに落とすことが有効です。また、シールドを共通グランドに落とすことで機器間の基準電位を整合させることができます。長距離伝送ではアイソレーション機器の使用も検討すると、安全かつクリアなオーディオ伝送が可能です。


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