冷凍機の圧縮機では、すき間容積や圧力比が体積効率に大きく影響します。特に「圧力比が大きくなるほど体積効率が低下する」という関係は、往復動圧縮機の仕組みを理解するうえで重要なポイントです。
圧力比が高くなると、なぜ吸い込める冷媒量が減ってしまうのでしょうか。この記事では、圧縮機内部で起きている現象をイメージしやすいように、すき間容積との関係も含めて解説します。
体積効率とは何を表しているのか
体積効率とは、圧縮機の理論上の吸込容積に対して、実際に吸い込むことができた冷媒ガスの量の割合を示す値です。
式で表すと、体積効率は以下のようになります。
体積効率 ηv = 実際の吸込量 ÷ 理論押しのけ容積
つまり、同じ大きさの圧縮機でも、体積効率が高いほど多くの冷媒を吸い込むことができ、冷凍能力も高くなります。
逆に体積効率が低下すると、圧縮機が動いていても吸い込める冷媒量が減り、冷凍能力の低下につながります。
圧力比が大きくなると体積効率が低下する理由
圧力比とは、吐出圧力を吸込圧力で割った値です。つまり、圧縮機がどれだけ冷媒を圧縮しているかを示す指標になります。
圧力比が大きいということは、吸い込んだ低圧の冷媒を、より高い圧力まで圧縮しなければならない状態です。このとき、圧縮機内部のすき間容積に残る高圧ガスの影響が大きくなります。
往復動圧縮機では、ピストンが上死点まで移動しても、シリンダーとヘッドの間には完全になくならない空間があります。この空間がすき間容積です。
圧力比が高いとすき間容積の影響が増える仕組み
圧縮機の動作では、吐出後もすき間容積の中に高圧ガスが少量残ります。次の吸込工程では、この残ったガスがまず膨張する必要があります。
圧力比が小さい場合、残ったガスの圧力と吸込圧力の差が小さいため、膨張に必要なピストンの移動量も少なく済みます。そのため、新しい冷媒を吸い込む時間を十分確保できます。
しかし圧力比が大きい場合、すき間容積内には非常に高い圧力のガスが残っています。このガスが吸込圧力まで膨張するまで、ピストンが移動しても新しい冷媒を吸い込むことができません。
その結果、実際に冷媒を吸い込める容積が減少し、体積効率が低下します。
具体例で見る圧力比による吸込量の違い
例えば、自転車の空気入れを想像すると分かりやすくなります。空気入れ内部に高い圧力の空気が残っている場合、次に空気を取り込むまでに、その残った空気を押し戻す必要があります。
圧縮機でも同じように、内部に残った高圧ガスが邪魔をすることで、新しい冷媒を吸い込むタイミングが遅れます。
そのため、冷凍機の使用条件で圧縮比が高くなる冬期の暖房運転や、冷却温度を極端に低くする用途では、体積効率の低下が問題になることがあります。
圧力比以外にも体積効率へ影響する要素
体積効率は圧力比だけで決まるものではありません。実際の圧縮機では、以下のような要素も影響します。
- すき間容積の大きさ
- 吸込弁や吐出弁の抵抗
- 冷媒ガスの漏れ
- 圧縮機内部の温度上昇
- 圧縮機の回転速度
特にすき間容積は小さいほど体積効率を高めることができます。そのため、圧縮機メーカーでは構造上可能な範囲ですき間容積を小さくする設計が行われています。
また、配管抵抗や熱交換器の状態によって吸込圧力や吐出圧力が変化すると、結果的に圧力比も変わり、体積効率に影響します。
まとめ|圧力比が大きいほど体積効率が低下する理由
冷凍機の圧縮機では、圧力比が大きくなるほど体積効率が低下します。その主な理由は、すき間容積内に残った高圧ガスが膨張する時間が長くなり、新しい冷媒を吸い込める容積が減少するためです。
つまり、圧力比が高い状態では「圧縮する仕事が増える」だけでなく、「吸込工程で無駄になる時間や容積も増える」ということになります。
体積効率を理解するには、圧縮機が単純に冷媒を押し出しているだけではなく、内部に残るガスの影響を受けながら吸込と圧縮を繰り返している点を理解することが重要です。


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