夏にモバイルバッテリーやスマホは爆発する?発火の原因とポケット・空調服で安全に使うための注意点

スマートフォン

夏になると、モバイルバッテリーやスマートフォンの発火事故をニュースなどで目にする機会が増え、「ポケットに入れていて突然爆発しないのか」「バッテリーを使う空調服・ファン付きウェアは大丈夫なのか」と不安になることがあります。

モバイルバッテリーやスマートフォンなどに広く使われているリチウムイオン電池は、小型で大きなエネルギーを蓄えられる一方、異常発熱や内部ショートなどが発生すると発火・破裂につながる可能性があります。したがって、事故の可能性を完全に0と断言することはできません。

ただし、「夏だから普通に使っているだけで頻繁に爆発する」というものでもありません。製品の選び方や使用環境、バッテリーの状態を確認することでリスクを下げることができます。ここでは、NITE(製品評価技術基盤機構)などの公的機関が示す情報をもとに、夏場のリチウムイオン電池の安全な使い方を整理します。

夏はモバイルバッテリーの発火事故が増えやすい

NITEは、モバイルバッテリーやスマートフォンなどのリチウムイオン電池搭載製品について、事故が春から夏にかけて気温の上昇とともに増加する傾向があると注意喚起しています。2021年から2025年までの5年間にNITEへ通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件で、製品別ではモバイルバッテリーの事故が最も多く、月別では8月にピークを迎えたとされています。

リチウムイオン電池には可燃性の電解液が使われているため、電池内部で異常発熱などが起きた場合には火災につながるおそれがあります。特に高温、強い衝撃、電池の劣化、不具合のある製品などには注意が必要です。

一方で、この事故件数から「モバイルバッテリー1個あたり何%の確率で発火する」と計算することはできません。市場で使われている製品総数や使用条件が異なるためです。発火確率を具体的なパーセントで断定するより、発火につながる条件を避けることが実用的な対策になります。

なぜ夏の暑さでリチウムイオン電池が危険になるのか

リチウムイオン電池は熱の影響を受けるため、高温になる場所での使用・保管には注意が必要です。NITEも、高温下に置かれたモバイルバッテリーでは熱の影響によって異常な反応が起き、破裂・発火するおそれがあるとして注意を呼びかけています。

特に避けたいのが、真夏の車内や直射日光が当たる場所です。例えば、車のダッシュボード、炎天下の窓際、直射日光の当たる場所に置いたバッグの中などは温度が大きく上昇する可能性があります。

ただし、「気温が30℃を超えたら必ず危険」「ポケットに入れただけで発火する」といった単純な境界線があるわけではありません。使用できる温度範囲は製品ごとに異なるため、メーカーの取扱説明書に記載された使用・充電・保管条件を守ることが基本です。

スマホをポケットに入れていて爆発する可能性は?

スマートフォンにも一般的にリチウムイオン電池が搭載されているため、理論上、発火や破裂の可能性を完全に0とはいえません。しかし、正常なスマートフォンをメーカー指定の条件で使用している状況と、損傷・膨張・異常発熱しているバッテリーを使い続けている状況は分けて考える必要があります。

ポケットで特に気を付けたいのは強い圧力や衝撃、異常な発熱です。スマートフォンを落として大きく変形させた、バッテリーが膨張して画面や背面が浮いている、触れ続けるのが難しいほど異常に熱くなる、焦げ臭い、異音がするといった異常があれば使用を続けるべきではありません。

例えば、バッテリーが膨張して本体の背面が浮いているのに、ケースで強く押さえ込んで使い続けるような行為は避ける必要があります。NITEでは、膨張したモバイルバッテリーに外力を加えたことで内部ショートが生じ、異常発熱・発火したと考えられる事故事例も紹介されています。

空調服・エアジャケットのバッテリーも発火する可能性はある?

ファン付き作業服やいわゆる空調服・エアジャケットの中には、充電式バッテリーを電源として使用する製品があります。リチウムイオン電池を使用する製品であれば、スマートフォンやモバイルバッテリーと同様、電池に起因する事故の可能性を完全に0にすることはできません。

ただし、バッテリーを使っているという理由だけで危険な製品というわけではありません。重要なのは、指定された純正・対応バッテリーや充電器を使い、メーカーが定めた使用環境を守ることです。特にファン付きウェアは屋外作業など暑い環境で使われることが多いため、バッテリーを直射日光や極端な高温にさらさないよう注意が必要です。

また、衣服の中にバッテリーを収納する製品では、転倒や作業中の接触によってバッテリーへ強い衝撃が加わらないようにすることも大切です。製品ごとに指定バッテリー、充電器、使用可能温度などが異なるため、購入時の説明書を確認してください。

危険性が高まっている可能性があるバッテリーのサイン

リチウムイオン電池は、異常が現れている状態でそのまま使用し続けないことが重要です。NITEも、充電・使用時には様子を確認し、異常を感じた場合には使用を中止するよう注意喚起しています。

特に注意したい状態として、次のようなものがあります。

  • バッテリーや本体が膨らんでいる
  • 以前より明らかに異常な熱を持つ
  • 落下や衝突などでケースが割れたり変形したりしている
  • 充電中に異臭や異音がする
  • 液漏れしているように見える
  • 充電や動作が明らかに不安定になった
  • リコール対象になっている

このような異常がある製品は「まだ動くから大丈夫」と使い続けず、メーカーなどに対応方法を確認するのが安全です。膨らんだ電池を押して元に戻したり、穴を開けたり、分解したりする行為は危険なので避けてください。

モバイルバッテリー購入時はPSE表示だけでなく販売元も確認する

日本でモバイルバッテリーを選ぶ際にはPSE表示を確認することが基本の一つです。ただし、表示だけを見ればあらゆる事故を防げるという意味ではありません。

NITEは、購入前に販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報、表示マークなどを確認するよう呼びかけています。また、連絡先が確認できない販売者の商品や、極端に安価な商品などについても慎重に判断したほうがよいでしょう。

スマートフォンや空調服についても、メーカーが指定していない充電器や互換性が確認できないバッテリーを自己判断で組み合わせるのではなく、メーカーの指定・対応情報を確認することが安全につながります。

夏場に避けたいモバイルバッテリーの使い方

事故リスクを下げるためには、日常的な扱い方が重要です。特に夏場は次のような使い方を避けましょう。

  • 炎天下の車内にモバイルバッテリーやスマートフォンを放置する
  • 直射日光が当たる場所に長時間置く
  • 異常に熱くなった状態で充電・使用を続ける
  • 膨張・変形したバッテリーを使用する
  • バッテリーへ強い衝撃や圧力を加える
  • リコール対象製品をそのまま使う
  • メーカーが指定していない方法で充電する

例えば、夏のドライブ中にモバイルバッテリーを使用した後、そのまま車内に置いて買い物へ行くといった使い方には注意が必要です。車から離れる場合はスマートフォンやモバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池搭載製品を高温の車内へ放置しないことが重要です。

また、ポケットやバッグに入れる場合も、鍵などの硬い物で製品を傷つけたり、重い荷物で強く圧迫したりしないよう扱いましょう。

もしモバイルバッテリーが発煙・発火したらどうする?

発火時は、まず自分や周囲の人の安全確保を優先してください。NITEは、煙や炎が噴き出しているときには近寄らないよう注意喚起しています。

NITEが消防機関の監修のもと案内している小型モバイルバッテリーの例では、火花が収まった後に大量の水を掛けて消火し、消火後は可能な限り水没させた状態で消防機関へ通報する方法が示されています。ただし、安全に対応できない状況では無理に近づかず、119番通報して消防の指示に従うことが優先されます。

衣服のポケット内など身体に近い場所で異常な発熱、異臭、煙などに気付いた場合も、無理な対応でやけどを負わないことが最優先です。火災が発生している、または発火の危険が切迫している場合は安全な場所へ離れ、119番へ通報してください。

「爆発する確率は0ではない」をどう考えればいい?

リチウムイオン電池を使用している以上、モバイルバッテリー、スマートフォン、ファン付きウェアなどで発火・破裂事故が起きる可能性を完全に0とはいえません。一方、事故情報だけから個々の利用者について「何万分の1」「何%」といった正確な発火確率を示すことも困難です。

そのため、「可能性が0ではないから使わない」と考えるよりも、高温・衝撃・劣化・膨張・不適切な製品や充電方法といったリスク要因を減らすことが現実的です。

特に夏は、正常な製品であっても車内放置や直射日光を避け、普段と違う熱さや膨張などがないか確認する習慣を付けるとよいでしょう。

まとめ|夏はバッテリーの「高温・衝撃・異常」を見逃さない

モバイルバッテリーやスマートフォン、リチウムイオン電池を使用する空調服・エアジャケットでは、発火や破裂の可能性を完全に0にすることはできません。またNITEの事故情報では、リチウムイオン電池搭載製品の事故は夏に増加する傾向が確認されています。

だからといって、夏にスマートフォンをポケットへ入れたり、適切なファン付きウェアを使用したりするだけで直ちに爆発すると考える必要はありません。信頼できる製品を選び、高温環境への放置や強い衝撃を避け、膨張・異常発熱・異臭などがあれば使用を中止することが重要です。

特に真夏の車内への放置は避け、使用しているモバイルバッテリーや機器がリコール対象になっていないかも定期的に確認しておきましょう。事故の可能性を「0か100か」で考えるのではなく、リスクが高くなる条件を知り、一つずつ避けることが安全な利用につながります。

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