固定電話に警察官や警察署を名乗る人物から電話があり、見慣れない長い電話番号が表示されると、「国際電話なのか」「なぜ+が付いていないのか」と疑問に思うことがあります。近年は警察官をかたる特殊詐欺が問題になっており、国際電話番号だけでなく、実在する警察署の番号を着信画面へ偽装表示させる手口も確認されています。
特に知っておきたいのは、国際電話なら固定電話でも必ず「+」から始まって表示される、とは限らないことです。回線、通信事業者、発信側から送られる番号情報、ナンバー・ディスプレイ対応機器などによって表示方法が異なるため、「+がないから国内電話」「+があるから必ず海外の本人からの電話」と単純には判定できません。
この記事では、固定電話にかかってきた国際電話の番号表示の仕組み、12桁など見慣れない番号が表示された場合の考え方、警察を名乗る電話を安全に確認する方法について解説します。
国際電話番号の「+」は何を意味している?
国際形式で電話番号を表記するとき、先頭の「+」に続く数字は国番号を表します。例えば日本の国番号は「+81」、米国などは「+1」、英国は「+44」です。警察庁も、国際電話番号について「+1」「+44」などから始まる番号を例に注意を呼びかけています。[参照]
例えば日本国内の「03-1234-5678」を国際形式で表す場合、国内番号先頭の0を外して「+81-3-1234-5678」のようになります。この「+」は国際電話番号の表記を分かりやすくする記号です。
ただし、着信した固定電話機の液晶に、この国際形式がそのまま表示されるとは限りません。電話網からどのような発信者番号情報が通知され、それを電話機がどう表示するかによって実際の見え方は異なります。
固定電話でも国際電話に「+」が表示されるとは限らない
スマートフォンでは「+1……」「+44……」など国際形式の番号が着信画面に表示されることがあります。しかし、固定電話については「国際電話だから必ず+表示になる」という共通ルールとして考えないほうが安全です。
NTT東日本のナンバー・ディスプレイに関する案内では、発信者番号が通知される通話では電話番号を表示しますが、国際電話などで発信電話番号を通知できない通話では「表示圏外」などになる場合があるとされています。また、利用する通信機器によって表示内容が異なる場合があるとも案内されています。[参照]
そのため固定電話では、国際電話について「+番号が表示されるケース」「別の形式で番号が通知されるケース」「番号自体を表示できず表示圏外になるケース」などを想定しておく必要があります。「+が付くかどうか」だけを詐欺電話の判定基準にすることはできません。
12桁で0から始まる番号なら国際電話なのか
日本国内で普段使われる電話番号より桁数が長い番号が表示されると国際電話を疑いたくなりますが、「12桁で0から始まっている」という情報だけでは国際電話かどうかを確定できません。
国際電話では国番号を含めるため通常より長い番号になることがありますが、着信画面に表示される文字列は利用している回線や電話機によって異なる可能性があります。また後述するように、詐欺では発信者番号表示そのものを偽装する手口も確認されています。
したがって、「11桁なら安全」「12桁なら海外」「0から始まれば国内」といった桁数だけによる判断は避けたほうがよいでしょう。知らない番号から電話があり、内容が不審なら、番号の形式にかかわらず一度電話を切って確認するのが安全です。
警察を名乗る電話では「表示された番号」そのものを信用しない
現在特に注意したいのが、警察官をかたる特殊詐欺です。警察庁は、詐欺の犯人が実在する警察署などの電話番号を偽装して着信画面へ表示させる手口を確認したとして注意を呼びかけています。[参照]
警視庁も、警視庁代表番号や末尾が「0110」の警察署代表番号を偽装表示する手口について注意喚起しています。つまり、着信画面に本物の警察署と同じ番号が表示されていたとしても、それだけで本当に警察から発信された電話とは確認できません。[参照]
安全確認で最も重要なのは、着信番号へそのまま折り返さないことです。所属、氏名、用件を聞いて一度電話を切り、自分で警察署の公式電話番号を調べて、代表番号へかけ直して確認します。
「捜査対象になっている」と電話で言われた場合は要注意
警察庁は、警察官を名乗る人物から電話で「捜査対象となっている」などと告げられた場合には詐欺を疑い、電話を切って警察相談専用電話「#9110」へ相談するよう案内しています。[参照]
典型的な手口では、「あなた名義の口座が犯罪に使われている」「逮捕した犯人があなたのキャッシュカードを持っていた」などと不安をあおり、SNSやビデオ通話へ誘導します。その後、資産確認などを名目に送金を要求するケースがあります。
警察を名乗っていても、電話で銀行口座の残高を確認させる、資金を別口座へ移させる、SNSへ誘導する、捜査のために送金するよう求めるといった話が出た場合は応じないようにします。
固定電話で国際電話を見分けるのが難しい理由
固定電話のナンバー・ディスプレイは、電話網から送られてきた発信者番号情報を対応電話機へ表示する仕組みです。しかし、すべての着信で同じ形式の番号情報が届くわけではありません。
NTT東日本によると、番号を通知できない一部の国際電話などでは「表示圏外」などと表示されることがあります。また非通知、公衆電話などもそれぞれ異なる表示となります。[参照]
つまり固定電話では、スマートフォンでよく見る「+から始まる番号」だけを国際電話の目印にすると取りこぼす可能性があります。見慣れない番号、表示圏外、警察や官公庁を名乗る不審な電話については、番号形式とは別に用件そのものを確認することが重要です。
海外との電話が不要なら固定電話の国際電話を止める方法もある
普段、海外との電話を固定電話で利用しない家庭では、国際電話を利用休止することも特殊詐欺対策になります。警察庁は、固定電話について国際電話の利用休止を推奨しており、国際電話不取扱受付センターを案内しています。[参照]
警視庁も、固定電話・ひかり電話について国際電話番号からの発信・着信を無償で休止できる制度を案内しています。海外へ電話する必要がない家庭では、迷惑電話対策として検討する価値があります。[参照]
ただし、海外の家族や企業などと固定電話で通話する場合には利用への影響を確認してから申し込みましょう。
不審な着信があったときの安全な確認手順
警察、金融機関、役所などを名乗る電話がかかってきた場合は、相手の電話番号がどのように表示されたかよりも、次のような確認手順を習慣にすると安全性を高められます。
- その場で個人情報や口座情報を伝えない
- 相手の所属部署、氏名、用件を確認する
- いったん電話を切る
- 着信履歴の番号ではなく、公式サイトなどから組織の代表番号を自分で調べる
- 代表番号へ電話して、本当にその人物・用件が存在するか確認する
- 不審であれば#9110などへ相談する
例えば「○○警察署の捜査二課です」と言われたなら、「分かりました。一度切って代表番号から確認します」と伝えて電話を切れば十分です。相手が「電話を切るな」「秘密の捜査なのでほかの警察へ問い合わせるな」などと強く制止する場合は、むしろ詐欺を疑う材料になります。
「+表示」は参考になるが決定的な見分け方ではない
国際電話詐欺対策として「+1」「+44」など見慣れない国際電話番号には出ないという方法は有効です。警察庁も国際電話番号を利用した特殊詐欺が多発しているとして注意を呼びかけています。[参照]
しかし、この情報を逆にして「+がない電話なら安全」と考えるのは危険です。固定電話では番号の通知・表示方法に違いがありますし、実在する国内の警察署番号を偽装して表示させる手口まで確認されています。
そのため、「+が付いていれば国際電話を疑う。ただし+が付いていなくても安全とは判断しない」という考え方が適切です。
まとめ|固定電話では国際電話が必ず「+」表示になるわけではない
国際電話番号は一般に「+1」「+44」「+81」のような国際形式で表されますが、固定電話への着信時に必ず「+」付きで表示されるとは限りません。利用している回線、通信事業者、発信者番号の通知状況、電話機などによって表示が異なり、国際電話でも番号を通知できなければ「表示圏外」などになるケースがあります。
また、12桁で0から始まるなど見慣れない番号が表示されたとしても、その桁数だけから国際電話だと断定することはできません。さらに現在は、警察署の実在する電話番号そのものを偽装表示する特殊詐欺も確認されています。
したがって警察を名乗る不審な電話では、番号の形式を分析して本物かどうか判定するより、いったん電話を切り、自分で公式の警察署番号を調べてかけ直す方法が確実です。海外との固定電話が不要なら、国際電話の発着信を休止する制度を利用することも有効な特殊詐欺対策になります。


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