「凸版印刷は一流企業なのか、それとも二流企業なのか」と気になることがあります。しかし、「一流」「二流」という区分には公的な基準がなく、企業を客観的に評価するなら、売上高、従業員数、上場市場、事業規模、業界内での位置付け、将来性など具体的な指標を見る必要があります。
なお、かつての「凸版印刷株式会社」は2023年10月1日に持株会社体制へ移行し、現在はTOPPANホールディングス株式会社となっています。主要事業はTOPPAN株式会社などの事業会社へ引き継がれているため、現在の企業評価を考える際にはTOPPANグループとして見るのが適切です。[参照:TOPPANホールディングス「凸版印刷は、TOPPANへ。」]
この記事では、旧・凸版印刷であるTOPPANグループについて、企業規模や業績、事業内容などの客観的なデータをもとに、その位置付けを分かりやすく解説します。
「凸版印刷」という会社名は現在TOPPANホールディングスになっている
まず現在の会社体制を整理しておきましょう。凸版印刷株式会社は2023年10月1日に持株会社体制へ移行し、商号を「TOPPANホールディングス株式会社」へ変更しました。
同時に、旧凸版印刷の主要部門を引き継ぐTOPPAN株式会社、グループのDXを推進するTOPPANデジタル株式会社などを中心とした新しいグループ体制へ移行しています。[参照:TOPPANホールディングス]
そのため、現在でも一般的な会話では「凸版印刷」と呼ばれることがありますが、企業としての正式な評価を調べる場合には「TOPPANホールディングス」「TOPPAN株式会社」といった現在の会社名も合わせて確認する必要があります。
企業規模だけを見ると「二流」と表現するのはかなり難しい
TOPPANホールディングスの2026年3月期の会社概要によると、グループの連結売上高は1兆8,050億3,300万円、連結営業利益は671億800万円、連結従業員数は54,371人となっています。[参照:TOPPANホールディングス「会社概要」]
売上高が1兆円を大きく超え、5万人以上の従業員を抱える企業グループは、日本企業全体で見てもかなり大規模です。そのため、少なくとも会社規模だけを基準に「二流企業」と分類するのは客観的とは言いにくいでしょう。
また、TOPPANホールディングスは東京証券取引所のプライム市場に上場しています。証券コードは7911です。[参照:TOPPANホールディングス「株式・株主の状況」]
「印刷会社」と考えると現在の実態を見誤りやすい
凸版印刷という旧社名から、新聞、雑誌、パンフレットなどを印刷する会社だけを想像する人もいるかもしれません。しかし、現在のTOPPANグループは印刷技術を基盤にしながら、かなり広い事業を展開しています。
公式の会社概要では、事業分野を情報ソリューション、生活・産業、エレクトロニクスの3分野として説明しています。出版・印刷関連だけでなく、デジタルサービス、パッケージ、半導体関連、ディスプレイ関連などにも事業領域を広げています。[参照:TOPPANホールディングス]
2023年の社名変更で「印刷」という言葉を外したのも、事業領域が従来の印刷だけでは説明できなくなっていることが背景にあります。TOPPANはDX(デジタルトランスフォーメーション)やSX(サステナブル・トランスフォーメーション)などを成長分野として掲げています。[参照:TOPPANホールディングス]
創業100年以上・上場70年以上という点も企業評価では無視できない
TOPPANの歴史も企業を評価する材料の一つです。公式情報によると、創業は1900年で、株式は1949年5月に東京および大阪証券取引所へ上場しました。現在は東京証券取引所に上場しています。[参照:TOPPANホールディングス「IRよくあるご質問」]
100年以上事業を続け、大規模な企業グループとして存続していることは、一定の顧客基盤、技術、事業基盤を維持してきたことを示しています。ただし、歴史が長いだけで「一流」と決まるわけではないため、業績や将来性とセットで見る必要があります。
企業の格付けを考える場合は、知名度だけではなく、長期的に利益を出せているか、新しい市場へ適応できているかといった点も重要です。
業界では大日本印刷と比較されることが多い
日本の印刷業界では、TOPPANと大日本印刷(DNP)が大手企業として比較されることが多くあります。出版印刷だけではなく、包装、情報処理、電子部材など幅広い分野で事業を展開している点も共通しています。
そのため、「印刷業界の中でどの程度の企業なのか」という観点なら、TOPPANは少なくとも大手企業群に入ると考えるのが自然です。会社規模や事業範囲を考えると、「無名の中堅企業」という位置付けではありません。
ただし、業界最大手だからすべての事業で最強という意味でもありません。事業分野ごとに競合企業が異なり、IT、半導体、包装、広告、出版など、それぞれの市場では専門企業との競争があります。
「一流企業かどうか」は何を基準にするかで答えが変わる
そもそも一流企業という言葉に法律上・経済上の公式な定義はありません。人によって重視する要素が違うためです。
| 評価基準 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 企業規模 | 売上高・従業員数・時価総額など |
| 安定性 | 利益、財務状況、事業分散など |
| 知名度 | 一般消費者・法人市場での認知度 |
| 業界での地位 | シェア、主要競合との比較 |
| 就職先としての評価 | 給与、福利厚生、働き方、勤務地など |
| 将来性 | 成長事業、研究開発、DXなどへの投資 |
例えば「売上高が大きければ一流」と考える人もいれば、「平均年収が高い企業こそ一流」と考える人もいます。逆に、規模は小さくても世界シェアの高い製品を持つ企業を一流と評価する人もいます。
したがって、「凸版印刷は一流か二流か」という二択だけでは企業の実態を正確には評価できません。
就職先として評価するなら会社の格より仕事内容を見る
もし「二流企業か」という疑問が就職・転職先としての評価を意味しているのであれば、企業規模だけで判断するのはおすすめできません。同じTOPPANグループでも、会社、職種、配属部署、勤務地によって仕事内容はかなり変わります。
例えば営業、企画、IT・デジタル、研究開発、エレクトロニクス、製造などでは求められるスキルもキャリアパスも異なります。会社全体の売上高が大きくても、自分が希望する仕事ができるとは限りません。
就職先として比較する場合には、給与水準、年間休日、残業時間、転勤の可能性、福利厚生、配属制度、仕事内容、キャリア形成などを求人票や採用情報、有価証券報告書などで確認することが重要です。
大企業にもデメリットや課題はある
大手企業であることは、すべての人にとって働きやすいことを意味するわけではありません。大企業では組織が大きいため、意思決定に時間がかかったり、部署間の調整が多かったりすることがあります。
また、印刷市場そのものはデジタル化の影響を受けているため、従来型の印刷事業だけに依存せず、デジタル、半導体、パッケージなどへ事業構造を変えていくことがTOPPANにとって重要な経営課題です。
実際にTOPPANグループは2023年の持株会社移行について、DX・SXなどの成長事業への投資や事業ポートフォリオ変革を進めることを目的の一つとして説明しています。[参照:TOPPANホールディングス]
企業を見るときはネット上の「一流・二流ランキング」を鵜呑みにしない
インターネット上には「一流企業ランキング」「就職偏差値」「勝ち組企業」といった表現がありますが、多くは作成者独自の基準によるものです。公的機関が企業を一流・二流に分類しているわけではありません。
特に就職偏差値などは、入社難易度や知名度を中心に作られていることがあり、企業の収益性や働きやすさ、本人との相性まで反映しているとは限りません。
企業を客観的に確認するなら、公式IR情報、有価証券報告書、決算資料などを見るほうが信頼性があります。TOPPANホールディングスも売上高や営業利益などをIRページで公開しています。[参照:TOPPANホールディングス「財務・業績」]
まとめ:TOPPANを客観的な企業規模から「二流」と断定するのは適切ではない
旧・凸版印刷であるTOPPANホールディングスは、2026年3月期の連結売上高が約1兆8,050億円、連結従業員数が約5万4,000人の大規模企業グループです。東京証券取引所プライム市場にも上場しており、企業規模だけを見れば日本を代表する大手企業の一つと評価できます。
また、現在は従来の印刷だけではなく、情報ソリューション、生活・産業、エレクトロニクスなど幅広い分野へ事業を展開しています。2023年には「凸版印刷」という社名からTOPPANへ変更し、事業ポートフォリオの転換も進めています。
したがって、「凸版印刷は二流企業」という表現を客観的な企業規模や上場区分から裏付けるのは難しいでしょう。一方で、「一流」という言葉にも公式な基準はないため、就職先として評価するなら企業のネームバリューだけでなく、給与、仕事内容、勤務地、働き方、将来性など、自分が重視する条件で判断することが大切です。


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