安全なモバイルバッテリーの選び方|発火・爆発を避けるためのPSEマークと購入時のチェックポイント

スマートフォン

スマートフォンの充電に便利なモバイルバッテリーですが、リチウムイオン電池を搭載しているため、製品の不具合や強い衝撃、高温環境などによって発熱・発火する可能性があります。だからこそ、価格や容量だけではなく、安全性を確認して選ぶことが重要です。

ただし、特定のメーカーを選べば絶対に発火しないというものではありません。安全性を重視するなら、PSEマークだけで判断するのではなく、販売事業者の情報、リコール情報、保証やサポート、使い方まで含めて確認するのがポイントです。ここでは、日本でモバイルバッテリーを購入するときに確認したい基準をわかりやすく解説します。

モバイルバッテリーは本当に発火・爆発することがある?

モバイルバッテリーの多くにはリチウムイオン電池が使われています。小型・軽量でも多くの電力を蓄えられる便利な電池ですが、内部で異常が起きると発熱し、状況によっては発煙や発火につながることがあります。

NITE(製品評価技術基盤機構)は、2021年から2025年までの5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故が2,140件あり、製品別ではモバイルバッテリーの事故が最も多かったと公表しています。また、事故件数は気温の上昇とともに増加する傾向があり、8月にピークを迎えるとしています。[参照]

そのため、発火が怖いという理由で慎重に製品を選ぶこと自体は合理的です。ただし、リスクをゼロにする製品を探すというより、安全基準を確認した製品を選び、正しく使用・保管することで事故の可能性を下げると考えるのが現実的です。

購入するときはまずPSEマークを確認する

日本国内でモバイルバッテリーを購入する場合、最初に確認したい表示がPSEマークです。経済産業省によると、モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象となっており、2019年2月1日以降、規制対象となるモバイルバッテリーはPSEマークのない状態では販売できません。[参照]

PSEマークは単なるメーカー独自の安全マークではありません。対象となる電気用品について、製造・輸入事業者が技術基準への適合確認や必要な検査など、電気用品安全法上の義務を履行したことを示すための表示です。

ただし、PSEマークがある=絶対に発火しない、という意味ではありません。経済産業省も、製品情報やリコール情報、製造・輸入事業者や販売事業者、事業者の連絡先などを確認して購入するよう案内しています。[参照]

安全性を重視するならメーカー名より「販売元とサポート」を見る

モバイルバッテリー選びでは、有名メーカーかどうかだけで判断するのではなく、誰が日本国内で販売しているのか、問い合わせ先が明確なのかを確認することが大切です。

例えば、製品本体やパッケージ、公式サイトなどから販売事業者を確認でき、国内の問い合わせ窓口、保証期間、取扱説明書、製品型番などが明確になっている製品は、購入後に不具合やリコールが発生した場合にも対応先を把握しやすくなります。

一方、販売者の実態が分かりにくい製品、問い合わせ先が確認できない製品、商品説明の日本語が極端に不自然な製品、相場と比較して極端に安い製品については慎重に判断したほうがよいでしょう。NITEも、インターネット購入時には商品説明の日本語が不自然なものや、他と比較して極端に安い製品などに十分注意するよう呼びかけています。[参照]

おすすめを探す前に確認したい5つのチェックポイント

安全性を優先してモバイルバッテリーを選ぶ場合は、次の項目を確認すると製品を絞り込みやすくなります。

  • PSEマーク:規制対象製品では適切なPSE表示があることを確認する
  • 事業者情報:製造・輸入・販売事業者や問い合わせ先を確認できる
  • 保証・サポート:故障や異常が起きたときの問い合わせ方法が明確
  • 型番:製品を特定できる型番があり、リコール情報を検索できる
  • 購入先:メーカー公式ショップや信頼できる家電量販店など、販売元を確認しやすい店舗を選ぶ

特にネット通販では、同じ商品ページ内に複数の出品者が存在する場合があります。商品ブランドだけを見るのではなく、実際の販売元まで確認してから購入すると安心材料が増えます。

なお、PSEマークは重要な確認項目ですが、それだけで製品間の安全性をランキングできるものではありません。「PSEがあるから絶対安全」ではなく、PSE表示を最低限の確認事項の一つとして、事業者情報やサポート体制なども合わせて判断しましょう。

有名メーカーでもリコール情報は確認する

知名度の高いメーカーの製品であっても、リコールが発生する可能性はあります。そのため、購入時だけでなく、使用中にも製品型番でリコール情報を確認する習慣をつけると安心です。

消費者庁のリコール情報サイトには、モバイルバッテリーに関する注意喚起や回収・交換情報が掲載されています。実際に複数メーカーのモバイルバッテリーがリコール対象として掲載されています。[参照]

つまり、「有名ブランドだから確認不要」ではなく、メーカーを問わず、自分が持っている型番がリコール対象になっていないか定期的に確認することが重要です。対象製品だった場合は、異常がなくても使用を中止し、メーカーや販売事業者の案内に従います。

容量は必要以上に大きくしなくてもよい

安全性とは別の観点ですが、モバイルバッテリーは用途に合った容量を選ぶことも大切です。スマートフォンの外出時の補助充電が中心なら、5,000mAh~10,000mAh前後の製品でも使いやすいケースがあります。一方、複数回充電したい場合やタブレットなどにも使用する場合は、10,000mAh~20,000mAhクラスが候補になります。

容量が大きくなるほど一般的には本体も重くなるため、「大容量ほど良い」とは限りません。例えば毎日バッグに入れて持ち歩き、夕方にスマートフォンを少し追加充電する程度なら、小型の製品のほうが使いやすい場合があります。

また、USB PD対応スマートフォンやタブレット、ノートPCを充電する場合には容量だけでなく最大出力(W)も確認します。容量は「どれくらい電気を蓄えられるか」、出力は「どの程度の電力を機器へ供給できるか」という別の要素です。

安全な製品を買っても使い方が悪ければ危険性は高まる

モバイルバッテリーは購入後の扱いも非常に重要です。特に避けたいのが高温、強い衝撃・圧力、異常がある状態での継続使用です。

NITEは、リチウムイオン電池搭載製品を高温となる場所で使用・保管しないこと、強い衝撃や圧力を加えないこと、異常を感じた場合には使用を中止することなどを事故防止のポイントとして挙げています。[参照]

例えば夏の車内や直射日光が当たる窓際は高温になるため、モバイルバッテリーの保管場所には適しません。NITEも、高温下に放置したモバイルバッテリーが発火する再現実験を公開し、真夏の車内や直射日光が当たりやすい場所への放置を避けるよう注意喚起しています。[参照]

膨らみ・異臭・異常な発熱があったら使用をやめる

以前より明らかに熱くなる、ケースが膨らんでいる、変形している、異臭がする、充電動作がおかしいといった異常が見られる場合は、そのまま使い続けないことが重要です。

特に膨張したバッテリーを押し戻したり、穴を開けたり、分解したりするのは危険です。また、リチウムイオン電池搭載製品は一般の燃えるごみなどに混ぜると、ごみ収集車などで押しつぶされた際に発火する危険があります。廃棄方法は住んでいる自治体のルールを確認してください。[参照]

万が一、煙や炎が噴き出すなど発火した場合は、無理に近づかず身の安全を優先します。NITEは神戸市消防局監修の情報として、対応が困難と判断した場合は安全を確保して119番通報するよう案内しています。[参照]

まとめ|PSEだけでなく販売元・リコール・使い方まで確認しよう

発火や爆発のリスクをできるだけ抑えてモバイルバッテリーを選ぶなら、PSEマーク、事業者情報、問い合わせ窓口、保証、製品型番、リコール情報を確認することが基本です。極端な安さだけで製品を選ばず、販売元が明確で購入後のサポートを受けられる製品を選ぶと安心材料が増えます。

また、有名メーカーの製品でもリコールの可能性はゼロではありません。購入後も型番を控えておき、消費者庁などのリコール情報を確認できるようにしておくことが大切です。

そして、安全性は製品選びだけでは決まりません。高温の車内に放置しない、落下や圧迫を避ける、膨張・異臭・異常発熱などがあれば使用を中止するといった基本的な扱いも重要です。「信頼できる製品を選ぶ」「異常がないか確認しながら正しく使う」「リコール情報を確認する」という3点を意識すると、より安全にモバイルバッテリーを利用できます。

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