拠点間VPNでプリンター名解決やWSD共有を行う方法|GRE over IPsecとmDNS・NetBIOSの注意点

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離れた2つの自宅をVPNで接続すると、同じネットワーク内のようにプリンターや共有機器を利用したくなることがあります。しかし、単純にIPsec VPNを構築しただけでは、WindowsのWSD検索やmDNSによるプリンター検出、NetBIOS名前解決などがそのまま動作するとは限りません。

この記事では、拠点間VPN環境でプリンターを利用する場合に必要となる仕組みや、GRE over IPsecの役割、mDNS・NetBIOSを利用する際の考え方、より安定した構成方法について解説します。

拠点間VPNだけではプリンター検索ができない理由

自宅1と自宅2をIPsec VPNで接続すると、通常は2つのネットワーク間でIP通信が可能になります。しかし、プリンター検索で利用されるプロトコルの多くは、ルーティングを超えて届かない仕組みになっています。

例えば、WindowsのWSD(Web Services on Devices)やmDNS(Multicast DNS)は、同一セグメント内で機器を発見するためにマルチキャスト通信を利用します。

一般的なIPsec VPNはユニキャスト通信をトンネルする仕組みであり、ブロードキャストやマルチキャストをそのまま別拠点へ転送することはありません。そのため、VPN接続後にIPアドレス指定では接続できても、プリンター一覧に表示されないという問題が発生します。

GRE over IPsecならmDNSやNetBIOSは利用できるのか

GRE over IPsecは、GREトンネルでネットワーク間を接続し、そのGRE通信をIPsecで暗号化する構成です。

GREはIP以外のプロトコルやブロードキャスト系通信を扱いやすいため、単純なIPsec VPNより柔軟な拠点間接続が可能になります。

ただし、GRE over IPsecを構築しただけで、必ずmDNSやNetBIOSが自動的に利用できるわけではありません。mDNSやNetBIOSは、それぞれ独自の仕組みで名前解決を行うため、追加の設定が必要になる場合があります。

例えば、NetBIOSの場合はブロードキャスト転送やWINSサーバーなどを利用する方法があります。一方、mDNSの場合はAvahiなどのmDNSリピーター機能を利用して拠点間へ中継する構成が一般的です。

プリンター利用でおすすめされる構成方法

拠点間でプリンターを安定して利用したい場合、必ずしもWSD検索に頼る必要はありません。最も安定する方法は、プリンターをIPアドレスで直接登録する構成です。

例えば、自宅2にあるプリンターのIPアドレスが192.168.2.50の場合、自宅1側のパソコンから「\\192.168.2.50」のように指定して接続します。

この方法では名前解決やブロードキャスト通信に依存しないため、VPN環境でも動作しやすくなります。家庭内や小規模オフィスでは、この構成が最もトラブルが少ない方法です。

mDNSを拠点間で利用したい場合の方法

最近のネットワーク機器やApple製品、対応プリンターなどではmDNS(Bonjour)が利用されています。しかし、mDNSは通常同一LAN内向けの仕組みであり、ルーターを越えることを前提としていません。

複数拠点でmDNSを利用したい場合は、mDNSリフレクターやmDNSゲートウェイ機能を持つルーターを利用します。

例えば、対応ルーターで自宅1と自宅2のLAN間でmDNSリレーを有効にすると、離れた場所にあるAirPrint対応プリンターなどを検出できる場合があります。

ただし、すべてのVPN機器がmDNS転送に対応しているわけではありません。利用しているルーターやファイアウォール機器の仕様確認が必要です。

NetBIOS名前解決を利用する場合の注意点

Windows環境ではNetBIOSによる名前解決が利用される場合がありますが、現在ではDNSを利用した名前解決へ移行することが推奨されています。

NetBIOSはブロードキャスト通信に依存するため、拠点間VPNではそのまま利用できないケースが多くあります。

複数拠点でWindows共有やプリンター共有を行う場合は、ローカルDNSサーバーを用意し、プリンターやPCに固定IPアドレスとホスト名を登録する方法が管理しやすい構成です。

VPN環境でプリンターを使う場合の実用的な選択肢

方法 特徴
IPアドレス直接指定 最も安定しやすく設定が簡単
DNS登録 名前で接続でき管理しやすい
mDNSリピーター 対応機器なら自動検出が可能
GRE over IPsec 柔軟な拠点間接続が可能だが追加設定が必要

家庭利用であれば、プリンターを固定IP化しDNSまたはIP指定で利用する方法が最も現実的です。

一方で、複数のスマート家電やApple製品なども含めて同じLANのように扱いたい場合は、mDNSリレー対応ルーターやL2延伸に近い構成を検討するとよいでしょう。

まとめ

自宅1と自宅2をIPsec VPNで接続しても、WSDやmDNS、NetBIOSなどの名前解決機能は自動的には共有されません。

GRE over IPsecは通常のIPsec VPNより柔軟な通信が可能ですが、mDNSやNetBIOSを利用するにはリレー機能や追加設定が必要になります。

プリンター利用だけが目的なら、固定IPアドレス設定とDNS登録、またはIPアドレス直接指定が最も安定した方法です。ネットワーク全体を同じ環境のように利用したい場合は、利用目的に合わせてmDNSリレーや高度なVPN構成を検討するとよいでしょう。

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