Nikon Z fで低速限界を10秒にできる?星景タイムラプスのシャッタースピード設定を解説

デジタル一眼レフ

Nikon Z fで星景タイムラプスを撮影するとき、「ISO感度設定」の低速限界を10秒にしたいのに、希望する秒数が選べないと戸惑うことがあります。特にF2.8からF1.8の明るいレンズへ変更した場合、露光時間を短くして星の流れを抑えたり、撮影全体の時間を短縮したりしたくなるでしょう。

ここで重要なのは、「低速限界設定」と「実際に撮影するシャッタースピード」は別の設定だという点です。低速限界設定は、PまたはAモードでISO感度自動制御を使う際に「このシャッタースピードより遅くなりそうなら、まずISO感度を上げる」という基準を決める機能です。

星景タイムラプスで露光時間を10秒に固定したいのであれば、低速限界設定で10秒を指定するより、撮影モードをMにしてシャッタースピードを10秒へ直接設定する方法が分かりやすく確実です。Nikon Z fはシャッタースピードダイヤルを「1/3STEP」に合わせることで、メインコマンドダイヤルから1/3段刻みで10秒を選択できます。

Nikon Z fの「低速限界設定」とは何をする機能?

Z fの静止画撮影メニューには「ISO感度設定」があり、その中に「感度自動制御」と「低速限界設定」があります。ニコン公式マニュアルによれば、低速限界設定は撮影モードPまたはAで、ISO感度の自動制御が働き始めるシャッタースピードを設定する項目です。設定範囲は1/4000秒から30秒です。[ニコン公式:ISO感度設定]

例えばAモードでF1.8、ISO100を設定し、低速限界を1/60秒にしたとします。周囲が暗くなって1/60秒では露出不足になると、カメラは原則としてシャッターをさらに遅くする前にISO感度を上げて適正露出を確保しようとします。

つまり低速限界とは「シャッター速度をその値に固定する機能」ではありません。さらにニコンは、ISO感度が設定した上限まで上がっても露出不足の場合には、低速限界より遅いシャッタースピードになる場合があると説明しています。

星景撮影で「必ず10秒露光にしたい」という目的なら、この自動制御に任せるよりMモードで10秒を指定するほうが意図した露出時間を維持できます。

Z fはシャッタースピードを10秒に設定できる

Nikon Z fそのものは10秒露光に対応しています。ニコン公式マニュアルでは、シャッタースピードダイヤルを「1/3STEP」にすると、メインコマンドダイヤルまたはタッチ操作で1/8000秒から30秒までを1/3ステップで設定できると案内されています。[ニコン公式:撮影モードとシャッタースピード]

1/3段刻みなので、長秒側でも4秒、5秒、6秒、8秒、10秒、13秒、15秒……といった細かな設定が可能です。そのため「Z fでは10秒露光そのものが使えない」ということではありません。

カメラ上面のシャッタースピードダイヤルだけを見ると、長秒側には1秒、2秒、4秒など限られた値しか直接印字されていません。10秒などダイヤルにない値を使うときに「1/3STEP」が重要になります。

10秒にする具体的な方法はシャッターダイヤルを「1/3STEP」へ

星景タイムラプスで10秒露光を使いたい場合は、まず撮影モードをM(マニュアル)にしておくと設定が分かりやすくなります。

次に上面のシャッタースピードダイヤルを「1/3STEP」へ合わせます。1/3STEPから別の位置へ移動するときや、そこへ合わせる操作では、シャッタースピードダイヤルロックボタンを押しながら回す必要があります。

1/3STEPにしたら、メインコマンドダイヤルを回します。画面上のシャッタースピードを確認しながら10秒まで動かせば設定完了です。ニコン公式仕様でも、メインコマンドダイヤル使用時は1/8000~30秒を1/3ステップで選択可能とされています。[ニコン公式:Z f主な仕様]

「低速限界の一覧に10秒が見当たらない」と「シャッタースピードを10秒にできない」は別問題です。撮影時のシャッタースピードなら1/3STEPを使って10秒を直接指定できます。

星景タイムラプスでは低速限界よりMモードが使いやすい

星空は通常のスナップ写真とは違い、撮影中に明るさが大きく変化しない場面が多いため、露出を固定したMモードと相性がよい撮影です。

例えば「F1.8・10秒・ISO1600」の組み合わせで星が十分な明るさになったなら、その設定を固定したまま連続撮影できます。Aモード+ISO AUTOでは、カメラの測光結果によってISOやシャッタースピードが変化し、コマごとの明るさが意図せず変化する可能性があります。

タイムラプスでは何百枚もの写真をつなげるため、1枚ずつの露出が安定していることは重要です。星景と地上景の明るさが時間とともに変わる撮影では自動露出や露出平滑化を利用する方法もありますが、完全に暗い時間帯だけを撮るならMモードで固定する方法は非常に分かりやすいでしょう。

F2.8からF1.8なら10秒でも同程度以上の露出を得られる?

F2.8からF1.8への変更は、星景撮影ではかなり大きな差があります。レンズが取り込む光量はF値の二乗に反比例するため、同じシャッタースピードとISOならF1.8はF2.8より約2.4倍の光を取り込めます。

段数で考えると、F2.8からF1.8は約1.3段明るくなります。そのため、例えばF2.8で約20~25秒必要だった露出なら、条件次第ではF1.8で10秒前後まで短縮して同程度の明るさを狙える計算になります。

具体例としてF2.8・20秒・ISO3200で適正だった場合、F1.8へ変更すると同じISOのまま約8秒前後でも理論上は近い露出量になります。実際にはレンズの実効透過率、周囲の明るさ、絞り開放時の周辺減光なども影響するため、現地で試し撮りしてヒストグラムや星の写りを確認することが重要です。

したがって「F1.8へ変えたので10秒程度に短縮したい」という考え方そのものは、露出の観点では十分合理的です。

10秒にすると星が点に近い状態で写りやすくなる

星景写真では地球の自転によって星が少しずつ移動するため、露光時間を長くすると星が点ではなく短い線として写る「星流れ」が発生します。

例えば20mmや24mmなどの広角レンズでも、画素数が高いカメラで拡大すると15秒・20秒程度から星の移動が目立つことがあります。10秒へ短縮すれば、15秒や30秒より星を点に近い状態で残しやすくなります。

ただし許容できる露光時間は焦点距離によって大きく変わります。14mmなど超広角なら比較的長い露光でも星流れが目立ちにくい一方、35mmや50mmでは10秒でも移動が目立つ可能性があります。

そのため「星が十分明るいか」だけでなく、撮影した画像を拡大して星がどれくらい伸びているかも確認しましょう。

500ルールだけで決めるより試し撮りがおすすめ

星を点として写すシャッタースピードの目安として、以前から「500ルール」が知られています。フルサイズカメラの場合、500をレンズの焦点距離で割った秒数を一つの目安にする方法です。

例えば24mmなら500÷24≒21秒となります。しかし現在の高画素デジタルカメラでは、この計算値では星流れが目立つことがあります。

より厳密なNPFルールなどもありますが、最終的にはレンズ、画素数、プリントサイズ、画像を見る倍率によって許容範囲が異なります。

星景タイムラプスならまず10秒で1枚撮影し、100%表示などで星の形を確認します。問題なければ10秒、流れが気になるなら8秒、もう少し光量が欲しければ13秒というように調整するのが実践的です。

タイムラプスの「撮影間隔」とシャッタースピードは別に考える

Nikon Z fには「タイムラプス動画」と「インターバルタイマー撮影」があり、どちらでも一定間隔で自動撮影できます。ただし設定する撮影間隔は、シャッタースピードとは別の意味を持ちます。

ニコン公式のインターバルタイマー撮影マニュアルでは、撮影間隔は想定されるシャッタースピードに1回の撮影コマ数を掛けた値より長く設定するよう案内されています。実際には露光時間だけでなく、画像処理などの時間も必要だからです。[ニコン公式:インターバルタイマー撮影]

例えばシャッタースピードを10秒にした状態で、撮影間隔まで10秒にすると処理時間が足りなくなる可能性があります。11秒や12秒以上など、ある程度余裕を持たせるほうが安全です。

RAW保存やノイズ低減処理などによって必要な時間は変わるため、実際の撮影設定でテストしてから長時間撮影を始めることをおすすめします。

「撮影間隔優先」をONにすると露光時間よりインターバルが優先される

Z fのタイムラプス動画には「撮影間隔優先」という設定があります。これをONにすると、PまたはAモードでは露光時間より設定した撮影間隔を優先して撮影します。[ニコン公式:タイムラプス動画]

さらに感度自動制御をONにしている場合、低速限界設定が撮影間隔より長いと、撮影間隔を守るためISO感度が自動調整される仕組みになっています。

つまり、星景タイムラプスで「露出時間を必ず10秒にしたい」のであれば、Aモードの低速限界や撮影間隔優先を組み合わせるより、Mモードで10秒を直接指定したほうが設定意図を把握しやすくなります。

一方、夕暮れから夜へ移行するタイムラプスのように明るさが大きく変わる場合には、ISO AUTOや露出平滑化を使う方法も検討できます。

長秒時ノイズ低減はタイムラプスでは注意が必要

Z fには「長秒時ノイズ低減」があります。長時間露光で生じるむらや輝点などを低減できる機能ですが、星景タイムラプスでは撮影間隔への影響を考える必要があります。

長秒時ノイズ低減では、長時間露光の後にノイズ処理のため追加時間が必要になる場合があります。その結果、次のコマを予定したタイミングで撮影できず、タイムラプスの間隔が不均一になる可能性があります。

ニコン公式も長時間露出ではノイズが発生する可能性があり、長秒時ノイズ低減によってむらや輝点を低減できると案内しています。[ニコン公式]

連続した星景タイムラプスを撮影する場合は、長秒時ノイズ低減をOFFにして後処理でノイズを調整する運用も一般的です。用途に応じて選択しましょう。

F1.8開放では周辺の星像もチェックする

明るいF1.8レンズは露光時間を短くできる大きなメリットがありますが、必ずF1.8開放が最高画質になるとは限りません。

星景撮影では、画面中央だけでなく四隅の星が鳥の羽のように広がるコマ収差、周辺減光、非点収差などが目立つことがあります。レンズによってはF1.8からF2やF2.2程度へ少し絞るだけで周辺の星像がかなり改善する場合があります。

例えばF1.8・10秒で十分明るく撮影できたとしても、四隅の星が大きく崩れるならF2~F2.2へ絞り、その分ISOを少し上げるという選択肢もあります。

レンズを買い替えた直後は、F1.8・F2・F2.8など数パターンでテストし、露出だけでなく星の形まで比較すると最適値を見つけやすくなります。

星景タイムラプス向けの設定例

星空の明るさや焦点距離によって適正値は大きく変わりますが、フルサイズのZ fと広角F1.8レンズを使う場合の出発点として、次のような設定を試すことができます。

項目 設定例
撮影モード M
シャッターダイヤル 1/3STEP
シャッタースピード 10秒から試す
絞り F1.8~F2.2程度からテスト
ISO ISO1600~6400程度から現地調整
フォーカス MFで星へ合わせて固定
撮影間隔 露光時間より少し長く設定
長秒時ノイズ低減 連続撮影ではOFFも検討

これは万能な設定ではありません。月齢、光害、天の川の位置、レンズ焦点距離などによってISOや露光時間は大きく変わるため、撮影開始前に数枚テストしてください。

10秒に短縮するとタイムラプス全体も短くなる?

露光時間を15秒から10秒へ変更すれば、撮影間隔も短縮できる余地が生まれます。そのため同じ枚数を撮影する場合、タイムラプス全体の撮影時間を短縮することは可能です。

例えば300枚を16秒間隔で撮影すると約80分必要ですが、11秒間隔なら約55分です。約25分短縮できます。

ただし完成動画上では、撮影間隔が短いほど星や雲の移動がゆっくり滑らかに見えます。単純に撮影時間を短くするだけでなく、完成動画でどのくらいの速度感にしたいかも考える必要があります。

30fpsの動画なら300枚で約10秒の映像になります。1枚ごとの露出時間、撮影間隔、必要枚数の3つを組み合わせて撮影計画を立てると分かりやすいでしょう。

低速限界と10秒固定の違いを整理

設定 役割
ISO感度設定の「低速限界設定」 P・AモードでISO AUTOが働き始めるシャッター速度の基準
Mモードのシャッタースピード 実際の露光時間を固定する
1/3STEP 10秒など上面ダイヤルにない値を1/3段刻みで指定できる
撮影間隔 次の写真を撮り始めるまでの時間を設定

この違いを理解すると、「低速限界で10秒を探す」のではなく、星景タイムラプスでは実際の露光時間を直接設定するという考え方へ切り替えられます。

まとめ:Z fは10秒露光にできる。星景タイムラプスならMモード+1/3STEPが分かりやすい

Nikon Z fは10秒のシャッタースピードに対応しています。ニコン公式によれば、シャッタースピードダイヤルを1/3STEPに合わせれば、メインコマンドダイヤルから1/8000~30秒まで1/3段刻みで設定できます。[ニコン公式]

一方、静止画撮影メニューの「低速限界設定」は実際の露光時間を固定するための項目ではありません。これはPまたはAモードで感度自動制御を使っているとき、どのシャッタースピードからISOを上げ始めるかを指定する機能です。[ニコン公式:低速限界設定]

星景タイムラプスで「1枚を必ず10秒で撮りたい」なら、撮影モードをM、シャッタースピードダイヤルを1/3STEPにし、メインコマンドダイヤルで10秒へ設定する方法がおすすめです。

またF2.8からF1.8へ変更すると約1.3段明るくなるため、同じISOなら露光時間をかなり短縮できます。10秒程度へ短縮する考え方は十分成立し、星流れを抑えられるメリットもあります。ただし焦点距離や空の明るさによって適正露出は変わるため、F1.8・10秒を基準にISOを調整し、星の明るさと形を確認しながら決めるとよいでしょう。

タイムラプスでは、10秒露光なら撮影間隔を10秒ぴったりではなく、画像処理時間を考慮して少し長めに設定するのもポイントです。ニコンも撮影間隔について、想定されるシャッタースピードより十分長く設定するよう案内しています。[ニコン公式:インターバルタイマー撮影]

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