マキタの充電式工具をそろえる際、「18Vを買い続けるべきか、それとも今後を考えて40Vmaxへ移行したほうがよいのか」は悩みやすいポイントです。18Vシリーズは長年にわたって製品が展開されており、すでに複数の18Vバッテリーを所有しているユーザーにとっては18V×2=36V製品も魅力があります。
一方、マキタが近年発売する高出力製品を見ると40Vmaxシリーズが非常に目立ちます。これは単なる印象ではなく、2026年にマキタが公表した経営資料でも、40Vmaxシリーズの浸透・拡販を成長戦略として明確に掲げています。
ただし、これを「18Vをやめて40Vmaxへ全面移行する」と解釈するのは正確ではありません。マキタが示した2030年度までのイメージでも18Vは大きな構成比を維持する計画であり、今後は用途によって18Vと40Vmaxを使い分ける形が続くと考えるのが自然です。
- 結論:マキタは今後40Vmaxをかなり重視する方針
- それでも18Vシリーズがなくなるわけではない
- 18V×2=36Vシリーズも現在はラインナップされている
- 40Vmaxは実際には36Vという理解でよい
- 同じ36Vクラスでも40Vmaxと18V×2の性能は同じとは限らない
- 40Vmaxを新しい主力にするメリット
- 18V×2には既存バッテリーを活用できる大きなメリットがある
- 18Vバッテリー2本使用にはデメリットもある
- 40Vmaxならバッテリー1本で高出力工具を設計しやすい
- さらに高出力が必要な製品では40Vmax×2=80Vmaxもある
- 40Vmaxの製品数はすでにかなり増えている
- それでも18Vを今から買う意味は十分にある
- 18Vと40Vmaxの選び方を整理
- 18Vと40Vmaxのバッテリーには直接互換性がない
- ネット通販の互換バッテリーを基準にプラットフォームを選ぶのはおすすめしにくい
- 18V×2を増やせば非純正バッテリーが減るとは限らない
- 18V×2の新製品を待つより用途に合う現行製品から判断する
- まとめ:40Vmaxは今後の成長軸だが18Vも主力として残る見通し
結論:マキタは今後40Vmaxをかなり重視する方針
2026年5月に公開されたマキタの2026年3月期決算説明会資料では、成長戦略として「40Vmaxシリーズの浸透・拡販」が明記されています。40Vmaxを高付加価値・高収益性の製品群として位置付け、プロユーザー向けの現場だけでなく、園芸用機器などさまざまな市場へ展開していく方針です。
さらに同資料では、充電製品売上の電圧別構成について、40Vmaxの構成比をFY2025の約10%からFY2030には約25%へ拡大するイメージが示されています。公式資料はマキタ「2026年3月期 決算説明会資料」[参照]で確認できます。
したがって「これからマキタは40Vmaxに力を入れるのか」という点については、公式の経営方針を見る限り、答えは明確に「力を入れていく」と考えてよいでしょう。
それでも18Vシリーズがなくなるわけではない
40Vmaxへの投資が強まっているからといって、18Vシリーズが近いうちに終了すると考える必要はありません。マキタ公式サイトでは現在も40Vmax、18V、18V×2をそれぞれ独立した電圧カテゴリーとして掲載しています。現在の製品カテゴリーはマキタ公式「製品」ページ[参照]で確認できます。
前述のFY2030に向けた資料でも、18V製品は充電製品売上の大きな構成比を維持する計画です。資料上では18VがFY2025の約75%からFY2030でも約70%を占めるイメージが示されており、40Vmaxが成長しても18Vが主力プラットフォームとして残る想定であることが分かります。
つまり今後は「18Vから40Vmaxへすべて置き換える」というより、日常的な工具や軽量性を求める用途では18V、高負荷・高出力を求める用途では40Vmaxを強化するという棲み分けが進む可能性が高いでしょう。
18V×2=36Vシリーズも現在はラインナップされている
18Vバッテリーを2本使用する18V×2シリーズも、現在マキタの公式製品ページに独立したカテゴリーとして残っています。製品一覧はマキタ「18V×2」製品一覧[参照]で確認できます。
たとえばレシプロソーでは40VmaxのJR003G・JR002G・JR001Gに加え、18V×2=36VのJR360Dも現在掲載されています。したがって、既存の18Vバッテリー資産を利用する36Vクラスの製品がすぐになくなる状況ではありません。
ただし新製品の投入状況を見る限り、高負荷製品を新たに開発する際の中心プラットフォームは40Vmaxへ移っていると見るのが妥当です。18V×2を今後どこまで新規展開するかについてマキタが終了時期や明確な縮小方針を公表しているわけではありませんが、経営戦略上の重点は40Vmaxに置かれています。
40Vmaxは実際には36Vという理解でよい
「40Vmax」という名称を見ると18V×2の36Vより電圧が高いように感じますが、電池の表記方法が異なります。マキタの公式資料では40Vmaxバッテリーについて直流36V(40Vmax)と表記し、「40Vmaxは満充電時のバッテリ電圧を表しています」と説明しています。
つまり40Vmaxは公称電圧で見ると36Vクラスです。18Vバッテリーを直列に2個使用する18V×2も36Vなので、電圧という数字だけを比較すれば両者は同じクラスになります。マキタの公式資料でも40Vmaxを「36V(40Vmax)」と表記している例があります。
「40Vmaxだから36Vの18V×2より約11%強力」という意味ではありません。40という数字は満充電時の最大電圧を基準にした名称であり、実際の工具性能は電圧だけでは決まりません。
同じ36Vクラスでも40Vmaxと18V×2の性能は同じとは限らない
公称電圧が同じだからといって、40Vmax工具と18V×2工具の出力が必ず同じになるわけではありません。電動工具の性能には、バッテリーが供給できる電流、セルの種類、内部抵抗、モーター、制御回路、冷却性能などが関係します。
40Vmaxは単に電圧表記を変更したシリーズではなく、マキタが高負荷用途を想定して新たに設計したバッテリーシステムです。工具・バッテリー・充電器間でデジタル通信し、バッテリー状態に応じて給電を制御する「スマートシステム」が採用されています。詳細はマキタ「40Vmaxシリーズ」[参照]で確認できます。
さらにBL4040F、BL4050F、BL4080Fなど高負荷用途向けの高出力バッテリーも用意されています。そのため、単純に「18V×2と40Vmaxはどちらも36Vだから性能も同じ」と考えるのではなく、工具ごとの最大出力や作業量を比較する必要があります。
40Vmaxを新しい主力にするメリット
40Vmaxは高出力だけでなく、高負荷工具で使うことを前提にバッテリー本体も設計されています。マキタによると、40Vmaxバッテリーでは耐衝撃性、防じん・防水性能、剛性を高めた構造を採用しています。
具体的には端子短絡防止構造、防水3層構造、衝撃吸収構造、高剛性レールなどが採用され、バッテリー単体の防じん・防水保護等級はIP56とされています。詳細はマキタ「40Vmaxシリーズ 高耐久」[参照]で確認できます。
大型工具や園芸機器ではバッテリー自体に大きな電流や振動、衝撃がかかります。そのため、高出力製品を今後増やすのであれば、既存の18Vバッテリー2本を組み合わせ続けるより、最初から高負荷用途を想定した専用バッテリーを中心に設計するメリットがあります。
18V×2には既存バッテリーを活用できる大きなメリットがある
一方、18V×2には40Vmaxにはない明確な魅力があります。すでに18V工具を何台も所有し、BL1860Bなどのバッテリーを複数持っているユーザーなら、新しく別規格のバッテリーと充電器を購入せず36Vクラスの工具を導入できます。
たとえばインパクトドライバー、丸ノコ、クリーナーなどで普段18Vバッテリーを使い、草刈機やレシプロソーなど高出力が必要なときだけ2本組み合わせるという使い方ができます。既存ユーザーにとって非常に合理的な仕組みです。
特に家庭用途やDIYでは、工具ごとに異なるバッテリーを増やしたくない人も多いため、18V×2が今でも便利な選択肢であることは変わりません。
18Vバッテリー2本使用にはデメリットもある
18V×2では2本のバッテリーを工具へ装着する必要があるため、1本だけで動かす40Vmaxに比べてバッテリーの着脱回数が増えます。工具側にも2か所のバッテリー取付部が必要となるため、設計上のスペースも必要です。
また2本を一組として使用する工具では、片方のバッテリー残量が少なくなれば継続運転できなくなります。そのため、残量や劣化状態が大きく異なる2本を組み合わせるより、同程度の状態で管理したバッテリーを使用するほうが扱いやすくなります。
ただし「2個挿しだから構造的に壊れやすい」とまでは一概にいえません。18V×2製品もメーカーがその構造を前提として設計・試験しているため、バッテリーが2個あることだけを理由に耐久性が低いと判断するのは適切ではありません。
40Vmaxならバッテリー1本で高出力工具を設計しやすい
40Vmaxでは36Vクラスの電圧を1個のバッテリーパックで得られるため、18V×2のように2個のパックを同時に装着する必要がありません。この違いは、大型工具だけでなく軽量化や取り回しを重視する製品でも意味があります。
たとえば工具の形状によってはバッテリー取付部を1か所にまとめられるため、重量バランスやグリップ周辺の設計自由度を高められます。また工具と1個のバッテリーを直接通信させて電力制御できる点も、40Vmax専用設計の特徴です。
このような理由から、マキタが今後の高出力製品を40Vmax中心に開発することには製品設計上の合理性があります。
さらに高出力が必要な製品では40Vmax×2=80Vmaxもある
興味深いのは、マキタが40Vmaxを1個で完結させているわけではない点です。公式製品カテゴリーには40Vmax×2=80Vmaxも用意されています。
つまりマキタの考え方は「バッテリーは絶対に1個にする」というものではなく、必要な出力に応じて40Vmaxをさらに2本使う製品まで展開するというものです。
これは、18V×2を減らす理由を単純に「2個挿しは構造的に不利だから」と説明できないことも示しています。より大きなポイントは、今後の高出力製品をどのバッテリープラットフォームで統一して開発していくかにあります。
40Vmaxの製品数はすでにかなり増えている
40Vmaxは登場当初のような「一部のプロ向け工具だけのシリーズ」ではなくなっています。マキタは2026年1月時点の企業向け案内で、40Vmaxバッテリーを共通使用できる製品が250モデル以上あると説明しています。
さらに2026年だけを見ても、インパクトドライバー、チェンソー、小型集じん機、リンスクリーナ、スクリード、背負ブロワ、チップソーカッタ、グラウンドトリマ、インパクトレンチ、ポータブルバンドソーなど、多数の40Vmax新製品が発表されています。最新情報はマキタ「ニュース」[参照]で確認できます。
この新製品投入ペースからも、40Vmaxを長期的な主要プラットフォームとして育てていることが読み取れます。
それでも18Vを今から買う意味は十分にある
これからマキタを初めて購入するからといって、必ず40Vmaxを選ぶ必要はありません。18Vには軽量・コンパクトな工具が多く、用途によっては40Vmaxの出力が必要ないからです。
たとえば家庭での簡単な穴あけ、ネジ締め、クリーナー、軽作業などが中心なら18Vで十分なケースがあります。すでに18Vバッテリーを複数所有しているなら、その資産を活用して工具本体だけ追加できるメリットも大きいでしょう。
逆に、これから一式を新規購入し、チェンソー、草刈機、ハンマドリル、切断工具など高負荷製品を長期的に増やしていく予定なら、40Vmaxからそろえる合理性が以前より高くなっています。
18Vと40Vmaxの選び方を整理
どちらを買うべきかは「今後どちらが残るか」だけでなく、現在持っているバッテリーと使用する工具で判断するのがおすすめです。
| 条件 | 向いている選択 |
|---|---|
| 18Vバッテリーをすでに多数所有 | 18V・18V×2を継続するメリットが大きい |
| DIY・軽作業中心 | 18Vでも十分な場合が多い |
| これから一式を新規購入 | 40Vmaxも積極的に検討 |
| 高負荷作業が多い | 40Vmaxが有力 |
| 園芸・エンジン工具代替を増やしたい | 40Vmaxが特に有力 |
| 既存18Vを使って36Vクラスが必要 | 18V×2対応製品が合理的 |
| 今後10年程度を見て新しい工具を増やしたい | 40Vmaxの将来性を重視しやすい |
18Vと40Vmaxはどちらか一方が正解という関係ではありません。工具によっては18Vの軽さが有利で、高負荷作業では40Vmaxの専用設計が有利というように、用途ごとの違いがあります。
18Vと40Vmaxのバッテリーには直接互換性がない
購入前に特に注意したいのがバッテリー互換性です。40Vmax工具へ18Vバッテリーをそのまま装着したり、18V工具へ40Vmaxバッテリーを装着したりすることはできません。
40Vmax用急速充電器DC40RAなどには、アダプタADP10を使用することで一部の14.4V・18Vバッテリーを充電できる仕組みがありますが、これは充電器側の互換性です。工具本体のバッテリー互換を実現するものではありません。
したがって18Vユーザーが40Vmax工具を導入する場合は、基本的に40Vmax用バッテリーも新しく用意する必要があります。この初期投資が、既存18Vユーザーにとって40Vmaxへ移行しにくい理由の一つになります。
ネット通販の互換バッテリーを基準にプラットフォームを選ぶのはおすすめしにくい
18Vシリーズは普及期間が長いため、通販サイトでは多数の「マキタ互換」とされる非純正バッテリーが販売されています。しかし、価格が安いことと純正品と同等の性能・安全性があることは別問題です。
マキタは公式に、非純正リチウムイオンバッテリーによる事故が増えているとして注意喚起しています。非純正品には他社製互換バッテリー、模倣品、内部セルを交換したリサイクル修理品などが含まれ、性能や安全性を損ない、発熱・発煙・発火・火災などにつながるおそれがあるとしています。詳細はマキタ「『非純正』リチウムイオンバッテリの事故急増についてのお知らせ」[参照]で確認できます。
またマキタは、非純正バッテリーやリサイクル修理されたバッテリーに起因する事故・故障について責任を負わないと案内しています。18V×2なら互換バッテリーが安く手に入るという理由だけでシステムを選ぶより、必要な性能と純正バッテリーを含めた総費用で考えるほうが安全です。
18V×2を増やせば非純正バッテリーが減るとは限らない
18V×2製品が増えれば「2本を同時使用するので純正バッテリーを買う人が増えるのでは」という考え方もできます。しかし、マキタが18V×2と40Vmaxの製品戦略を非純正バッテリー対策として決めているという公式情報は確認できません。
非純正バッテリーに対しては、マキタは製品プラットフォームとは別に安全上の注意喚起を行っています。そのため40Vmaxを推進している理由については、互換バッテリーの排除よりも、公式資料で示されている高出力・高耐久・高付加価値製品の拡大を中心に考えるほうが根拠があります。
40Vmaxでも今後市場規模が大きくなれば非純正品が販売される可能性はあるため、「40Vmaxなら互換バッテリー問題がなくなる」とも言い切れません。
18V×2の新製品を待つより用途に合う現行製品から判断する
既存の18Vユーザーにとっては、今後もっと18V×2製品を増やしてほしいという希望は自然です。ただし、マキタ自身が40Vmaxを成長戦略の中心に据えている以上、将来の高出力新製品について18V×2だけを待ち続けるのは選択肢を狭める可能性があります。
現在欲しい工具に18V×2モデルがあり、手持ちの18V純正バッテリーを活用できるなら、それを選ぶメリットは十分あります。一方、新型では40Vmaxだけが用意されている、あるいは40Vmax版の性能が用途に合っているなら、新しいバッテリープラットフォームを追加することも検討できます。
18Vを持っているから40Vmaxへ全面移行する必要があるわけではなく、18Vと40Vmaxを用途別に併用する方法も現実的です。
まとめ:40Vmaxは今後の成長軸だが18Vも主力として残る見通し
マキタの今後の方向性については、2026年の公式決算説明資料で40Vmaxシリーズの浸透・拡販を成長戦略に掲げ、FY2030に向けて充電製品売上に占める40Vmaxの構成比を約10%から約25%へ高めるイメージを示しています。最近の新製品投入状況を見ても、高出力製品を中心に40Vmaxへかなり力を入れていく方針は明確です。
一方、同じ資料では18VもFY2030時点で約70%という大きな構成比を維持するイメージになっています。18Vと18V×2の製品カテゴリーも現在存在するため、「これから18Vがすぐ旧規格になる」と心配する必要はないでしょう。
また40Vmaxは名称上40Vですが、公称電圧では36Vクラスであり、18V×2も36Vです。ただし工具の性能は電圧だけでは決まらず、40Vmaxには高負荷用途を想定したバッテリー構造、デジタル通信、高出力バッテリーなど専用設計があります。既存の18V資産を最大限活用するなら18V・18V×2、これから高負荷工具を中心に新しくそろえるなら40Vmaxという考え方が、現在のマキタのラインナップと今後の方向性に合った選び方です。

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