1970年代のオーディオスピーカーでは、ダイアトーン、ヤマハ、ビクターなど多くの密閉型スピーカーが内部にぎっしりと吸音材を詰め込んでいました。現代のスピーカーと比べると、この設計は一見過剰に見えますが、音質向上や共振制御のために重要な役割を果たしていました。本記事では、なぜあれほど吸音材が必要だったのか、密閉型スピーカーの設計思想と具体例を交えて解説します。
密閉型スピーカーの基本構造
密閉型スピーカーは、箱の内部を完全に閉じることで音波の反射や共振をコントロールします。これにより低音の立ち上がりや音圧感が安定します。
箱の内部に吸音材を入れると、内部で発生する不要な反射音や波の干渉を減らすことができ、よりクリアな音を再生できます。
吸音材の役割と効果
吸音材は単に音を柔らかくするだけでなく、音の残響時間を調整し、低音の膨張や中高音の濁りを抑える役割を果たします。
具体例として、密閉型のビクタースピーカーでは、内部にグラスウールを詰めることで低域の伸びを確保しつつ、中高域の明瞭度を高めていました。
70年代スピーカーに多く用いられた理由
当時のスピーカー技術では、エンクロージャーの素材や内部構造の計算精度が現在ほど高くなかったため、吸音材を多めに詰め込むことで設計上の誤差を補正していました。
さらに、真空管アンプとの組み合わせで生じる共振や反射音を抑える目的もあり、結果として密閉型スピーカー内部はぎっしりとした吸音材で満たされることが一般的でした。
実際の音質への影響
吸音材を適切に配置することで、音の立ち上がりが速く、低音が締まった印象になります。また中高域の響きが明瞭になり、音楽の定位感や臨場感が向上します。
実際にヤマハのNS-1000などでは、内部の吸音材と密閉構造により、低音の過剰な膨張を抑えながら明瞭な中高域を実現していました。
まとめ
1970年代の密閉型スピーカーに吸音材がぎっしり入っていたのは、内部反射や共振を抑え、低音の安定と中高音の明瞭さを確保するためです。
現代のスピーカーでは計算や素材技術の進化により、同じ量の吸音材を必要としない場合もありますが、70年代の名機に詰め込まれた吸音材は、当時の音質追求の結果として重要な役割を果たしていました。


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