ビル空調や大型施設の冷凍機設備で使用されるクーリングタワーは、冷却水の熱を大気中へ放出する重要な設備です。その過程では大量の水が蒸発しますが、この蒸発した水は下水へ流れるわけではありません。そのため、多くの自治体では一定の条件を満たした場合、蒸発分の水量を下水道使用料の算定から除外できる制度が設けられています。
しかし実際には、クーリングタワーでどれだけの水が蒸発したのかを直接測定しているケースは少なく、補給水量やブロー排水量などをもとに管理されています。この記事ではクーリングタワーの蒸発水量の考え方や計算方法、下水道料金との関係について解説します。
クーリングタワーではなぜ水が蒸発するのか
クーリングタワーは冷凍機で温められた冷却水を散水し、空気と接触させることで熱を放出します。
このとき冷却水の一部が蒸発し、その蒸発潜熱によって残った水が冷やされます。つまり、クーリングタワーの冷却能力は水の蒸発を利用しているのです。
例えば冷却水が37℃でタワーに入り、32℃で戻るような運転では、その温度差によって放出された熱量に応じた蒸発水が発生します。
蒸発水量はどのように計算するのか
クーリングタワーの蒸発量は熱収支から概算できます。
一般的な空調設備では次のような経験式がよく使用されます。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 蒸発損失量 | 循環水量×温度差×0.0008~0.001 |
例えば循環水量が500m³/h、冷却水温度差が5℃の場合は次のようになります。
500×5×0.001=約2.5m³/h
つまり1時間あたり約2.5トンの水が蒸発している計算になります。
ただし実際の蒸発量は気温、湿度、運転条件、冷凍機負荷などによって変動するため、設備管理では概算値として扱われることが一般的です。
補給水・蒸発水・ブロー水の関係
クーリングタワーでは蒸発によって水だけが失われるため、水中のミネラルや不純物は濃縮されていきます。
そこで濃縮を防ぐために一部の冷却水を排水する操作を行います。これがブロー(ブローダウン)です。
| 水の種類 | 内容 |
|---|---|
| 蒸発水 | 大気中へ蒸発する水 |
| 飛散損失水 | 風などで外部へ飛散する水 |
| ブロー水 | 濃縮防止のため排水する水 |
| 補給水 | 失われた水を補うため供給する水 |
設備管理では一般的に次の関係が成立します。
補給水量=蒸発水量+飛散損失量+ブロー排水量
そのため補給水メーターとブロー排水メーターを設置している施設では、両者の数値から蒸発量を推定することができます。
下水道料金の算定でブローメーターが使われる理由
クーリングタワーの蒸発水は大気中へ放出されるため、下水道へ流れません。
しかし水道使用量だけで下水道料金を計算すると、蒸発した水まで下水として扱われてしまいます。
そのため多くの自治体では、クーリングタワーの補給水量やブロー排水量を測定し、実際に下水へ流れた量を算定する制度を設けています。
このとき質問にあるブロー排水用のメーターは非常に重要な役割を持っています。
補給水量から蒸発量を推定する際や、下水へ排出された実流量を確認する際の根拠資料として利用されることがあるためです。
実際の施設ではどのように管理されているのか
大型オフィスビルや商業施設では、補給水系統に専用メーターを設置しているケースが多く見られます。
さらに自治体の指導や条例に応じて、ブロー排水量を測定する排水メーターを設置している施設もあります。
例えば年間で補給水量が10,000m³、ブロー排水量が2,000m³であれば、理論上は約8,000m³が蒸発や飛散によって失われたと推定できます。
こうしたデータをもとに下水道料金の減免申請や使用実績管理が行われています。
まとめ
クーリングタワーでは冷却水の一部が蒸発することで冷却効果を得ています。この蒸発水は下水へ流れないため、多くの自治体では下水道料金算定の対象外として扱われる場合があります。
蒸発量は直接測定するのではなく、補給水量やブロー排水量、循環水量と温度差などから推定されることが一般的です。
また、ブロー排水メーターは単なる設備管理だけでなく、下水道料金の算定根拠としても重要な役割を果たしています。クーリングタワーの水収支を理解すると、設備運用やコスト管理の仕組みも見えやすくなります。


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