iPadでイラストを描くとき、「画面を直接タッチできるのだから左手デバイスは必要ないのでは?」と感じる人は少なくありません。確かにiPadは、液晶ペンタブレットや板型ペンタブレットとは違い、指で拡大・縮小したり、画面上のボタンを直接押したりできるため、左手デバイスがなくても十分にイラスト制作できます。
一方で、左手デバイスの役割は「画面を操作できないから補助する」というものだけではありません。取り消し、やり直し、ブラシ変更、消しゴム、スポイト、キャンバス回転など、頻繁に使う操作を物理ボタンへ割り当て、Apple Pencilを持つ手を止めずに作業することに大きなメリットがあります。
そのため、iPadでの左手デバイスは必需品ではありませんが、長時間イラストを描く人やショートカットを多用する人にとっては作業効率を上げる道具になります。この記事では、iPadで左手デバイスを使うメリットと必要性、タッチ操作との違い、プレゼントとして選ぶときの注意点まで詳しく解説します。
- iPadでイラストを描くのに左手デバイスは必須ではない
- それでもiPad用の左手デバイスに需要がある理由
- タッチ操作と左手デバイスは便利さの種類が違う
- Procreateでも外部ショートカットには意味がある
- CLIP STUDIO PAINTでは左手デバイスのメリットがさらに分かりやすい
- 左手デバイスが向いている人
- 逆に左手デバイスがなくても困りにくい人
- 「板タブや液タブには必要、iPadには不要」というわけではない
- 左手デバイスとBluetoothキーボードの違い
- プレゼントとして左手デバイスを選ぶなら対応アプリを必ず確認する
- プレゼントなら本人が左手デバイスを欲しがっているかも重要
- 左手デバイスが特に便利になる具体的な作業例
- まとめ:iPadの左手デバイスは必須ではないが本格的に描く人には十分需要がある
iPadでイラストを描くのに左手デバイスは必須ではない
まず結論として、iPadでイラスト制作を始めるために左手デバイスは必須ではありません。Apple Pencilと対応するイラストアプリがあれば、基本的な描画作業はiPadだけで完結できます。
iPadの大きな特徴は、ペン入力とタッチ操作を同じ画面上で行えることです。キャンバスを指で拡大・縮小したり、回転させたり、アプリ上のツールボタンをタップしたりできるため、キーボードや専用コントローラーがなくても操作できます。
例えばProcreateでは、ジェスチャー操作によってキャンバスの拡大・縮小や回転などを行えるほか、各種操作を画面上から呼び出せます。そのため、趣味でイラストを描く人や制作時間がそれほど長くない人なら、左手デバイスを使わずに快適に作業しているケースも珍しくありません。
それでもiPad用の左手デバイスに需要がある理由
左手デバイスが便利になるのは、同じ操作を何度も繰り返す場面です。イラスト制作では「一つ前に戻す」「ブラシと消しゴムを切り替える」「スポイトを使う」「選択範囲を解除する」などの操作を何十回、何百回と行うことがあります。
タッチ操作だけの場合、そのたびにApple Pencilを持った右手を止めたり、左手を画面上の特定位置まで動かしたりする必要があります。これに対して左手デバイスなら、よく使う操作を手元の物理ボタンへ登録しておき、左手の指を少し動かすだけで実行できます。
例えば「戻る」を左手デバイスの親指付近のボタンへ、「消しゴム」を人差し指付近へ割り当てておけば、Apple Pencilで線を引く→失敗したら左手で戻す→そのまま描き直す、という一連の動作をスムーズに行えます。
つまり左手デバイスの目的は、iPadでできない操作を可能にすることよりも、すでにできる操作をより速く、少ない動作で実行することにあります。
タッチ操作と左手デバイスは便利さの種類が違う
iPadでは指で直接操作できるため、「物理ボタンよりタッチのほうが早いのでは?」と思うこともあります。実際、キャンバスの拡大・縮小や回転などはマルチタッチ操作との相性が良く、左手デバイスを使わないほうが自然に感じる人もいます。
一方、タッチ操作では画面を見ながら指を動かす必要がある操作もあります。物理ボタンなら、一度配置を覚えれば画面を見なくても押せるため、描画へ集中しやすくなります。
| 操作方法 | 得意なこと |
|---|---|
| iPadのタッチ操作 | 拡大・縮小、キャンバス回転、画面上のツール選択など直感的な操作 |
| 左手デバイス | 取り消し、ツール切り替え、ショートカットなど繰り返し操作 |
| 外付けキーボード | 多数のショートカットを使い分ける作業 |
実際には「どちらか一方を使う」というより、キャンバス操作は指、頻繁なショートカットは左手デバイスという組み合わせが使いやすい場合があります。
Procreateでも外部ショートカットには意味がある
iPad向けの代表的なイラストアプリであるProcreateはタッチ操作に最適化されていますが、外付けキーボードによるショートカットにも対応しています。Procreate公式ハンドブックでは、Bluetoothなどで互換性のあるキーボードを接続すると、スポイト、取り消し、カラー、選択などさまざまな機能へキーボードショートカットでアクセスできると案内されています。[参照]
これは、タッチ操作が可能なiPadであっても「物理的なショートカット入力には別の利点がある」ことを示しています。左手デバイスも、対応する入力方法を利用して同様にショートカット操作を効率化する目的で使われます。
例えばProcreateで頻繁に使う操作をキーボードや対応デバイスから呼び出せれば、画面上のメニューを開いて機能を探す回数を減らせます。特に制作時間が長くなるほど、1回数秒の短縮でも積み重なると大きな差になります。
CLIP STUDIO PAINTでは左手デバイスのメリットがさらに分かりやすい
CLIP STUDIO PAINTのように、PC版に近い豊富な機能を持つアプリでは、ショートカットを使うメリットがさらに大きくなります。CLIP STUDIO PAINTのiPad版ではキーボードショートカットを利用でき、ショートカットキーの割り当てを変更できる機能もあります。[参照]
また、CLIP STUDIO PAINTのシンプルモードでもキーボードなどからショートカットコマンドを呼び出せることが公式サポートで案内されています。[参照]
CLIP STUDIO PAINTではブラシ、消しゴム、選択、変形、レイヤー操作、色の切り替えなど多くの機能を頻繁に行います。このようなアプリを本格的に使う人ほど、ショートカット入力を手元へまとめる左手デバイスの恩恵を感じやすいでしょう。
左手デバイスが向いている人
iPad用の左手デバイスは、すべてのイラスト制作者へ同じようにおすすめできるものではありません。使い方によって必要性はかなり変わります。
特に相性が良いのは、次のような使い方をする人です。
- iPadで毎日のように絵を描く
- 1回の制作時間が数時間になることが多い
- CLIP STUDIO PAINTなどショートカットが多いアプリを使う
- 取り消し・ブラシ変更・消しゴムなどを頻繁に使う
- 画面上のボタンを押すためにApple Pencilの動きを止めるのが気になる
- PCでイラスト制作をしており、キーボードショートカットに慣れている
- イラスト制作の作業効率を少しでも上げたい
特にPC+液タブ環境でキーボードショートカットを多用していた人がiPadへ移行すると、「左手でショートカットを押せないこと」に不便さを感じる場合があります。そのような人には左手デバイスの需要があります。
逆に左手デバイスがなくても困りにくい人
一方、iPadのタッチ操作に慣れている人や、趣味として気軽にイラストを描く人なら、左手デバイスを購入してもあまり使わない可能性があります。
例えばProcreateで指のジェスチャーを多用し、画面上のUIも使いやすいと感じている人なら、あえて別の機器を机の上へ置く必要性を感じないかもしれません。
また、ソファやベッド、外出先などでiPadを手に持って描く人にも左手デバイスは相性が分かれます。左手デバイスを使うには本体を置くスペースが必要になる場合があり、「iPad一枚だけですぐ描ける」という手軽さが失われることもあります。
そのため、短時間の趣味制作が中心、タッチ操作が好き、外出先でよく描くという人なら、左手デバイスなしのほうが快適なケースも十分あります。
「板タブや液タブには必要、iPadには不要」というわけではない
板タブではパソコンの画面を見ながら手元のタブレットを操作するため、画面を直接タッチするiPadとは操作体系が異なります。液タブでも機種によっては本体にショートカットボタンがなく、キーボードや左手デバイスを併用する人がいます。
iPadの場合は画面を直接操作できるため、左手デバイスへの依存度が低くなる傾向はあります。しかし、「直接タッチできる」ことと「すべての操作をタッチするのが最速」ということは同じではありません。
例えば描画中に消しゴムへ切り替える場合、画面上のアイコンへApple Pencilを移動してタップするより、左手のボタンを押すだけのほうが素早いことがあります。さらに元のブラシへ戻す操作まで考えると、ショートカットを手元に用意するメリットが分かりやすくなります。
したがってiPadでは、左手デバイスが「操作するために必要な道具」というより、作業速度や快適さを上げるための追加アクセサリという位置付けになります。
左手デバイスとBluetoothキーボードの違い
ショートカットを使いたいだけなら、専用の左手デバイスではなくBluetoothキーボードを使う方法もあります。iPad自体が外部キーボードに対応しており、Appleもキーボードショートカットを利用できることを案内しています。[参照]
キーボードのメリットは、使えるキーの数が多いことです。Procreateも外部キーボードによるショートカットに対応しているため、すでにBluetoothキーボードを持っているなら、まずキーボードでショートカットを試す方法があります。
左手デバイスのメリットは、キーボードより小さく、イラスト制作で頻繁に使うボタンだけを手元へまとめやすいことです。ダイヤルを搭載した製品なら、ブラシサイズ変更やキャンバス操作などを回転操作へ割り当てられる場合もあります。
つまり、「たくさんのキーを使いたいならキーボード」「コンパクトな手元操作を重視するなら左手デバイス」という違いがあります。
プレゼントとして左手デバイスを選ぶなら対応アプリを必ず確認する
左手デバイスをプレゼントする場合に最も重要なのが、使っているiPadとイラストアプリに対応しているかです。左手デバイスはBluetoothで接続できれば何でも自由に使える、というわけではありません。
製品によってはWindowsやmacOS専用だったり、iPadでは一部のアプリしか対応しなかったりします。また、ボタンへ任意のショートカットを割り当てられる製品と、決められた操作しかできない製品があります。
プレゼントとして購入する前には、少なくとも次の点を確認しておくと失敗を防ぎやすくなります。
- 使用しているiPadモデルに対応しているか
- 現在のiPadOSに対応しているか
- Procreate、CLIP STUDIO PAINTなど本人が使うアプリに対応しているか
- ボタンのカスタマイズが可能か
- Bluetooth接続なのかUSB接続なのか
- 充電式か電池式か
- 左利き・右利きでも使いやすい配置か
特にアプリ対応は重要です。製品ページに「iPad対応」と書かれていても、本人が利用するイラストアプリで希望する操作を割り当てられるとは限りません。
プレゼントなら本人が左手デバイスを欲しがっているかも重要
左手デバイスは便利な一方、イラスト制作のスタイルによって評価が大きく分かれるアクセサリです。そのため、Apple PencilやiPadケースほど万人向けのプレゼントではありません。
すでにiPadで長くイラストを描いている人で、タッチジェスチャーだけの操作スタイルが完成している場合、左手デバイスを渡しても「なくても困らない」と感じる可能性があります。逆に「取り消しをもっと楽にしたい」「ショートカットが欲しい」と話している人なら、かなり実用的なプレゼントになります。
親戚などへサプライズで贈る場合は、使用しているアプリだけでも事前に確認しておくとよいでしょう。「Procreateを使っている」「CLIP STUDIO PAINTを使っている」などが分かれば、対応製品を絞り込みやすくなります。
本人に直接聞ける関係なら、「iPadで絵を描くときショートカット用の機器って使う?」と軽く聞いてみるのも有効です。左手デバイスは好みが強く出る道具なので、完全なサプライズよりもニーズを確認してから選んだほうが失敗しにくいでしょう。
左手デバイスが特に便利になる具体的な作業例
例えばキャラクターの線画を描いているとします。右手にはApple Pencilを持ったまま、左手デバイスへ「取り消し」「やり直し」「消しゴム」「ブラシ」「スポイト」を割り当てておけば、線を描く作業のほとんどを右手を止めずに続けられます。
色塗りでも、ブラシサイズ変更やスポイトを頻繁に使う場合には便利です。画面上のスライダーやボタンまで指を動かす回数を減らし、描画位置へ集中できます。
一方、ラフを短時間描くだけなら、二本指タップによる取り消しなどiPadアプリのジェスチャーだけでも十分です。この違いからも、左手デバイスは「あるかないかで描ける・描けないが決まるもの」ではなく、制作量が増えるほど価値を感じやすい道具だと分かります。
まとめ:iPadの左手デバイスは必須ではないが本格的に描く人には十分需要がある
iPadは画面を直接タッチできるため、左手デバイスがなくてもイラスト制作できます。拡大・縮小やキャンバス回転なども指で直感的に行えるため、趣味で描く程度ならApple PencilとiPadだけでも十分です。
しかし、左手デバイスの価値は「タッチ操作の代用品」ではなく「頻繁に使うショートカットを手元の物理ボタンで素早く実行できること」にあります。取り消し、ブラシ変更、消しゴム、スポイトなどを頻繁に繰り返す人ほど効果を感じやすくなります。
Procreateは外部キーボードによる各種ショートカットに対応しており、CLIP STUDIO PAINTもiPadでショートカット操作を利用できます。そのため、iPadでも物理的なショートカット入力を活用する需要は十分にあります。[Procreate参照] [CLIP STUDIO PAINT参照]
ただし左手デバイスはユーザーによって必要性が大きく異なります。プレゼントとして選ぶ場合は、本人が使用しているアプリ、ショートカットを普段使っているか、机にiPadを置いて長時間描くタイプかを確認することが重要です。すでに「もっと操作を速くしたい」と感じている人には有力なプレゼントですが、タッチジェスチャー中心で満足している人には必須ではないアクセサリと考えると選びやすいでしょう。


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