雷のときブレーカーを落とせば家電は守れる?コンセントを抜く方法との違いと雷サージ対策を解説

家電、AV機器

雷が近づいているとき、テレビやパソコンなどの家電製品を守るために「コンセントを抜いたほうがよい」と聞いたことがある人は多いでしょう。一方で、家中のコンセントを1本ずつ抜くのは大変なので、「分電盤のブレーカーを落としてしまえば同じではないか」と考えることもあります。

ブレーカーを切ることにも雷被害を軽減する効果は期待できますが、家電の電源プラグをコンセントから物理的に抜く方法と完全に同じではありません。また、雷による異常電圧は電源線だけでなく、電話線、LANケーブル、テレビのアンテナ線などから侵入することもあります。

最も確実性を高めたいなら、雷が近づく前に重要な家電の電源プラグや外部配線を抜いておくことが基本です。ただし、すでに近くで雷が鳴っている最中にコンセントや配線へ触れるのは感電の危険があるため避けなければなりません。この記事では、ブレーカーとコンセントを抜く方法の違い、雷サージの仕組み、安全な対策方法を解説します。

雷で家電が壊れる主な原因は「雷サージ」

雷が家へ直接落ちなくても、近くへの落雷によって電線などに瞬間的な高電圧・大電流が発生することがあります。この異常な電圧・電流は一般に雷サージと呼ばれます。

東京電力パワーグリッドは、雷による電気機器故障の多くが雷サージによるものであり、電線だけでなく電話線、配管、大地など複数の経路から侵入する可能性があると説明しています。家電を守る対策として、電源プラグをコンセントから抜き侵入経路を断つ方法を案内しています。[東京電力パワーグリッド参照]

例えば近所の電柱や電線付近へ雷が落ちると、雷そのものが自宅へ直撃していなくても、電源配線を通じて大きな電圧が家電へ到達することがあります。テレビ、パソコン、ゲーム機、ルーターなど電子回路を多く搭載した機器では、この一瞬の過電圧で基板が故障する場合があります。

ブレーカーを落とすだけでも雷対策として効果はある

主幹ブレーカーを切れば、家庭内の電気回路を電力会社側の配線から通常時より切り離した状態にできます。そのため、雷サージによる家電への影響を軽減する対策として一定の効果があります。

一般財団法人家電製品協会も、落雷への対策として、家電の電源プラグをコンセントから抜く方法に加え、主幹ブレーカーを切ることもかなり効果があると案内しています。[家電製品協会参照]

また同協会のFAQでも、家電製品のプラグをコンセントから抜くか、分電盤の一番大きなブレーカーを落とすことで落雷被害を軽減できるとされています。[参照]

したがって、「ブレーカーを落としても意味がない」ということではありません。家全体をまとめて対策したい場合には有効な方法の一つです。

ただしブレーカーを落とすのとコンセントを抜くのは同じではない

ブレーカーをオフにすると回路は遮断されますが、電源プラグをコンセントから抜く場合ほど大きな物理的な絶縁距離を作れるとは限りません。雷による電圧は通常の家庭用100Vとは桁違いに大きくなるため、一般的なブレーカーは雷サージ専用の保護装置ではありません。

家庭用ブレーカーの本来の役割は、使い過ぎによる過電流やショート、漏電などから配線や人を保護することです。雷による瞬間的な異常電圧を吸収するために設計された機器は、SPDや避雷器など別の装置になります。

そのため、重要なパソコン、テレビ、ゲーム機などをできるだけ確実に雷から切り離したい場合は、ブレーカーを切るだけよりも電源プラグ自体を抜くほうが分かりやすい対策になります。

ただし後述するように、雷がすでに近くで鳴っている最中にコンセントへ触ることは危険です。プラグを抜くなら雷が接近する前に行うことが重要です。

電源コンセントを抜いてもLANやアンテナ線から雷サージが入ることがある

パソコンやテレビなどでは、電源コード以外にも外部からつながる配線があります。これらを見落とすと、電源プラグを抜いていても別経路から雷サージが侵入する可能性があります。

代表的なものは、テレビのアンテナ線、電話線、屋外から直接入る通信線、LAN関連設備などです。パナソニック ホームズも雷への備えとして、電気製品の電源プラグに加えて、電話線やテレビのアンテナ線などを外す方法を案内しています。[Panasonic参照]

例えばテレビの場合、コンセントだけ抜いても屋外アンテナにつながる同軸ケーブルが接続されたままなら、アンテナ側から異常電圧が侵入する可能性があります。デスクトップPCの場合も、ルーターや通信機器を経由する配線が別の侵入経路になる可能性があります。

機器 確認したい接続
テレビ・レコーダー 電源コード、アンテナ線、LAN
デスクトップPC 電源コード、LAN、周辺機器
ルーター・ONU 電源、通信回線
電話・FAX 電源、電話線

「ブレーカーを落としたから絶対安全」とは言えない

主幹ブレーカーを切ることは雷対策として有効ですが、絶対的な保護方法ではありません。非常に大きな雷サージや直撃雷では、想定を超える電圧が発生するためです。

また、電源以外の経路から侵入する雷サージは、電源側のブレーカーを切っただけでは防げません。テレビアンテナや電話線などにつながった機器では、その経路も考慮する必要があります。

パナソニックが提供している分電盤用の避雷器でも、誘導雷サージから家電を守ることを目的とする一方、直撃雷や電話線、テレビアンテナなどから侵入する雷サージに対しては機器を保護できない場合があると明記されています。[Panasonic公式参照]

つまり雷対策には、「これを一つやれば100%安全」という方法はありません。複数の対策を組み合わせて被害の可能性を下げる考え方が基本です。

雷が鳴ってからコンセントを抜きに行くのは危険

非常に重要なのが作業するタイミングです。「雷が鳴ったらコンセントを抜く」とよく言われますが、すでに自宅の近くで雷鳴や落雷が発生しているときに、慌てて電源プラグやケーブルへ触れるのは危険です。

家電製品協会は、近くで落雷が発生している場合は感電のおそれがあるためコンセントやケーブルに触れないようにすると案内しています。[参照]

家電を守るために人が感電してしまっては本末転倒です。天気予報や雷注意報を確認し、雷雲が近づくことが分かった段階で、まだ安全なうちにパソコンなど重要機器の電源を切ってコンセントを抜いておく方法が適切です。

「ゴロゴロ聞こえてから慌てて抜く」のではなく、「雷が来そうな段階で先に抜く」と覚えておくとよいでしょう。

雷サージ対応タップを使えばコンセントを抜かなくても大丈夫?

市販の電源タップには「雷ガード」「雷サージ保護」などと表示された製品があります。内部のサージ保護素子によって一定範囲の異常電圧を抑え、接続機器を保護する仕組みです。

雷のたびにコンセントを抜くことが難しいテレビ、パソコン、ゲーム機などには、こうした雷サージ対応タップを普段から使用することも有効な対策の一つです。

ただし雷ガード付きタップも万能ではありません。家電製品協会も、雷サージ対応タップなどの対策について強力な雷では機器を保護できない場合があると案内しています。[参照]

また、雷サージ保護素子には繰り返しのサージによる劣化が起こる製品もあります。雷ガード表示灯を備える製品なら、そのランプが正常に点灯しているか定期的に確認するとよいでしょう。

より本格的に守るなら分電盤用SPD・避雷器という方法もある

家全体の家電製品を雷サージから守りたい場合には、分電盤へSPD(サージ防護デバイス)や避雷器を設置する方法があります。

パナソニックでは、雷サージをアース側へ逃がす避雷器を搭載した住宅分電盤を提供しています。電源側やアース側から侵入した異常電圧を避雷器で処理し、分電盤につながる機器への影響を抑える仕組みです。[Panasonic避雷器]

既存の分電盤へ後付けできるケースもありますが、設置には電気工事が必要になることがあります。住宅全体の雷対策を検討する場合は、電気工事店や住宅設備業者へ相談するとよいでしょう。

ただし分電盤の避雷器も直撃雷を含めすべての雷被害を完全に防げるものではありません。重要な機器については、SPDとコンセントを抜く対策を組み合わせるとさらに安全性を高められます。

冷蔵庫やエアコンなど簡単にプラグを抜けない家電はどうする?

パソコンやテレビなら比較的簡単にコンセントを抜けますが、冷蔵庫、エアコン、給湯器などは毎回プラグを抜くことが現実的でない場合があります。

こうした機器では、雷サージ対応の分電盤やSPDなど住宅設備側での対策が有効です。また、取扱説明書に雷時の具体的な対応が記載されている製品では、その指示を優先してください。

冷蔵庫については、雷のたびに長時間電源を切ると食品保存へ影響するため、単純に「すべての家電を抜けばよい」とはいえません。高価な家電や常時稼働機器を多数使用している家庭では、住宅全体の雷サージ対策を検討する価値があります。

雷が近づく前に行う対策を順番に整理

雷が予想されているときは、安全なうちに次のような順番で対策すると分かりやすいでしょう。

  1. パソコンなど重要機器のデータを保存する
  2. 機器を通常の手順でシャットダウンする
  3. 電源プラグをコンセントから抜く
  4. 必要に応じてアンテナ線や外部通信線も外す
  5. 抜くことが難しい機器は雷サージ対策機器を活用する
  6. 家全体を停止して問題ない状況なら主幹ブレーカーを切ることも検討する

重要なのは、これらを雷が接近する前に行うことです。すでに激しい雷鳴や落雷が始まっている場合はコンセントや配線へ触れず、人の安全を優先してください。

停電後にすぐ全部の家電を動かさないほうがよい理由

雷では停電が起きることもあります。停電が復旧すると、エアコン、冷蔵庫、パソコン周辺機器など複数の機器が同時に動き始める場合があります。

家電製品協会は、停電から復帰した際に家庭内の家電が一斉に運転を始めると大きな電流が流れ、ブレーカーが作動するなどの影響が考えられるため、機器ごとに動作を確認することを案内しています。[参照]

落雷後に家電から焦げ臭いにおいがする、電源が入らない、異音がする、動作がおかしいといった症状がある場合は、何度も電源を入れ直さず使用を中止してください。雷サージによって内部部品が損傷している可能性があります。

ブレーカーとコンセント、雷ガードの違いを比較

家庭でできる代表的な雷対策を比較すると、それぞれ役割が異なることが分かります。

対策 特徴 注意点
電源プラグを抜く 電源線との物理的接続を切り離せる 雷接近中に触らない
主幹ブレーカーを切る 家全体をまとめて切り離し、被害軽減が期待できる 雷サージ専用保護装置ではなく、他の侵入経路もある
雷サージ対応タップ 日常的なサージ対策として使いやすい 強力な雷では保護できない場合がある
分電盤用SPD・避雷器 住宅全体の誘導雷サージ対策に向く 直撃雷などすべてを防げるわけではない

まとめ:ブレーカーを落とすのも有効だが、重要な家電は事前にコンセントを抜くのが確実

雷の際に主幹ブレーカーを落とすことは無意味ではなく、家電製品協会も落雷被害を軽減する対策として有効性を案内しています。そのため「家中の家電を1台ずつ抜けないので、主幹ブレーカーを落とす」という方法には一定の効果があります。

ただし、ブレーカーを落とすことと、家電の電源プラグをコンセントから物理的に抜くことは完全に同じではありません。一般的なブレーカーは雷サージ専用装置ではなく、非常に強い雷や、アンテナ線・電話線など別経路から侵入する雷サージまで完全に防げるわけではありません。

パソコン、テレビ、ゲーム機など特に守りたい機器については、雷が近づくことが分かった段階で正常に電源を切り、電源プラグを抜いておく方法が確実です。テレビならアンテナ線など、外部につながっている別の配線も必要に応じて確認します。東京電力パワーグリッドも、雷による家電故障対策として電源プラグを抜いて侵入経路を断つ方法を案内しています。[参照]

そして最も重要なのは人の安全です。すでに近くで雷が鳴っている場合は、コンセントやケーブルに触れてはいけません。普段から雷サージ対応タップや分電盤用SPDを利用し、雷が予想される日は接近前に重要機器を切り離しておくという二段構えにすると、雷による家電故障のリスクを減らしやすくなります。

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