街のTSUTAYAが閉店し、「子どもの頃から通っていた店がなくなった」「レンタルDVDを選ぶ楽しみがなくなった」と寂しさを感じる人は少なくありません。動画配信サービスや音楽ストリーミングの普及によって、DVD・CDレンタルを中心とした従来型TSUTAYAの店舗環境が厳しくなっているのは確かです。
しかし、TSUTAYAを展開してきたカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が、レンタル店の閉店とともに会社そのものを縮小して消えていく、という状況ではありません。CCCはすでに「レンタル店の会社」から、書店、カフェ、ラウンジ、IP・アート、ウエルネス、施設運営、地域創生、海外展開などを手掛ける会社へ大きく事業構造を変えています。
さらに2026年には、地域情報・リユースプラットフォームを展開する株式会社ジモティーに対する公開買付けを実施し、議決権ベースで約88%を取得しました。つまり、ゲオグループがセカンドストリートというリユース事業を育ててきたのとは形が違いますが、CCCも現在はリユース領域へ本格的に踏み込んでいます。この記事では、TSUTAYAの閉店が増えている背景と、CCCが今後どこへ向かおうとしているのかを整理します。
- TSUTAYAの店舗閉店とCCCという会社の消滅は別の話
- なぜ従来型TSUTAYAのレンタル店は厳しくなったのか
- ゲオも「レンタルだけ」の会社ではなくなっている
- TSUTAYA側にもレンタル以外の事業はかなりある
- 現在の代表的な柱の一つが「蔦屋書店」
- SHARE LOUNGEも急速に増えている
- 「レンタルする場所」から「滞在する場所」への転換
- TSUTAYA BOOKSTOREは海外でも展開している
- SHIBUYA TSUTAYAも「レンタル店」ではなくなった
- 2026年には「IP書店」も展開
- 実はTSUTAYAにもリユース事業への大きな動きがある
- 「ジモティースポット」がTSUTAYA店内にも登場している
- ゲオのセカンドストリートとジモティーではリユースの形が違う
- TSUTAYA Conditioningというフィットネス事業もある
- スターバックスとのBOOK&CAFEも重要な事業
- 図書館や公共施設の運営にも関わっている
- アート事業にも力を入れている
- Vポイント事業の関係も以前とは変わっている
- TSUTAYAという名前自体が完全になくなる可能性は低い
- 昔ながらのTSUTAYAは減る可能性が高い
- 閉店した場所が別のCCC業態に変わるケースもある
- なぜCCCはセカンドストリートのような事業をもっと早く持たなかったのか
- 2026年のジモティー取得はCCCにとって大きな転換点
- 今後はTSUTAYA店舗とジモティーが組み合わさる可能性もある
- 今後のTSUTAYAは店舗ごとの差がさらに大きくなりそう
- 「大量閉店=経営破綻寸前」とは限らない
- 昔のTSUTAYAと今後のTSUTAYAは別物になっていく
- それでも昔の店舗がなくなる寂しさは別問題
- まとめ:昔ながらのTSUTAYAは減っているが、CCCは別事業へ大きく転換している
TSUTAYAの店舗閉店とCCCという会社の消滅は別の話
最初に整理しておきたいのは、「近所のTSUTAYAが閉店すること」と「TSUTAYAを展開する企業が事業をやめること」は同じではないという点です。
TSUTAYAにはフランチャイズ店舗も多く、地域ごとの加盟企業が運営しているケースがあります。商圏、家賃、人件費、店舗規模、レンタル需要などの条件によって、個々の店舗が営業を継続できるかどうかは異なります。
そのため、レンタル中心の店舗が閉店する一方で、別の地域では蔦屋書店、TSUTAYA BOOKSTORE、SHARE LOUNGEなど新しい業態が出店するという動きが同時に進んでいます。
なぜ従来型TSUTAYAのレンタル店は厳しくなったのか
大きな理由は、映像・音楽の視聴方法そのものが変わったことです。映画やドラマはNetflix、Amazon Prime Video、Disney+などの動画配信サービス、音楽はSpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスで楽しめるようになりました。
以前は「見たい映画のDVDを借りに店へ行く」「新曲のCDをレンタルして取り込む」という行動が一般的でした。しかし現在は、自宅から数十秒でコンテンツを再生できるため、物理メディアを店舗へ借りに行く必要性が大きく低下しています。
しかもレンタル店舗は、多数のDVD・CD在庫を保有し、広い売場を確保し、返却・商品整理などのオペレーションを行う必要があります。利用者が減ると、固定費の大きさが経営上の負担になりやすいビジネスです。
ゲオも「レンタルだけ」の会社ではなくなっている
TSUTAYAと比較されやすいのがゲオです。ゲオグループもかつてはレンタルビデオ店のイメージが非常に強い企業でしたが、現在ではリユース事業の「セカンドストリート」が大きな柱になっています。
2026年にもゲオホールディングスは国内外でセカンドストリートの出店を続けており、国内では大型業態「スーパーセカンドストリート」の展開、海外ではタイ、香港、シンガポールなどへの出店を進めています。[参照:ゲオホールディングス 2026年度ニュースリリース]
つまりゲオはレンタル市場の縮小に対し、中古衣料、家具、家電、ホビーなどを扱うリユース市場へ早い段階から事業を広げ、その成長事業を持っていたことが大きな強みになっています。
TSUTAYA側にもレンタル以外の事業はかなりある
CCCの現在の公式な事業構成を見ると、DVD・CDレンタルだけを行っている会社ではないことが分かります。
CCCは事業を大きく、カスタマーエクスペリエンス、リテールビジネス、ライフデザインビジネス、パートナーコミュニケーション、データベースマーケティングなどに分けています。[参照:CCC 事業紹介]
リテール分野だけでも、蔦屋書店、SHIBUYA TSUTAYA、IPプロデュース、ウエルネス、スターバックス関連などを展開しています。従来の「DVDを借りるTSUTAYA」とはかなり異なる会社になっています。
現在の代表的な柱の一つが「蔦屋書店」
現在のCCCを象徴する業態の一つが蔦屋書店です。書籍を並べるだけではなく、カフェ、文具、家電、旅行、アート、食、ファッションなどを組み合わせ、「ライフスタイルを提案する空間」として店舗を設計しています。
代官山 蔦屋書店、二子玉川 蔦屋家電、京都 蔦屋書店など、従来型レンタルショップとは異なる大型施設も展開されています。
本が売れにくい時代に単純な書店だけを作るのではなく、「その場所へ行く理由」を空間全体で作る方向へ変化していると考えると分かりやすいでしょう。
SHARE LOUNGEも急速に増えている
CCCが近年力を入れている事業の一つがSHARE LOUNGEです。カフェとコワーキングスペース、ラウンジを組み合わせたような有料空間で、仕事、勉強、読書、打ち合わせ、休憩などに利用できます。
2026年2月には「SHARE LOUNGE馬事公苑」が全国50店舗目として開業しました。しかもこの場所は、TSUTAYA馬事公苑店の跡地を活用したものです。[参照:CCC SHARE LOUNGE馬事公苑]
つまり「TSUTAYAが閉店した場所が完全に消える」のではなく、時代に合った別業態へ転換されるケースもあります。
「レンタルする場所」から「滞在する場所」への転換
従来のTSUTAYAでは、DVDやCDを選び、レジで借りて家へ帰るという利用方法が中心でした。
SHARE LOUNGEでは逆に、お金を払ってその場所に長時間滞在すること自体がサービスです。ドリンクや軽食、Wi-Fi、電源、書籍などを利用しながら仕事や勉強ができます。
コンテンツを借りる需要がデジタルへ移ったため、実店舗は「デジタルでは代替できない場所・体験」を提供する方向へ変わっているわけです。
TSUTAYA BOOKSTOREは海外でも展開している
CCCは日本国内だけでなく、アジアを中心にTSUTAYA BOOKSTOREや蔦屋書店を展開しています。
例えば台湾では、もともと2012年にDVD・CDレンタルを中心とした事業から進出しましたが、2017年以降はTSUTAYA BOOKSTOREを本格展開しています。2026年5月には台湾・松山文創園区へTSUTAYA BOOKSTORE 松菸店をオープンし、SHARE LOUNGEも併設しました。[参照:CCC TSUTAYA BOOKSTORE 松菸店]
この変化はCCCの事業転換を象徴しています。「日本式レンタルショップ」を海外へ増やすのではなく、書店、カフェ、ラウンジ、文化体験を組み合わせた業態を輸出しています。
SHIBUYA TSUTAYAも「レンタル店」ではなくなった
東京・渋谷のスクランブル交差点前にあるSHIBUYA TSUTAYAも、かつては大量のCD・DVDを扱う巨大レンタル店として有名でした。
現在はIPコンテンツ、イベント、ポップアップ、ファンコミュニティなどを重視した施設へ大きく転換しています。
映画や音楽を「借りる場所」から、アニメ、ゲーム、キャラクター、アーティストなどのファンが現地で体験し、交流し、商品を購入する場所へ役割を変えているのです。
2026年には「IP書店」も展開
CCCはIP、つまりアニメ、ゲーム、キャラクターなどの知的財産を活用した店舗展開にも力を入れています。
2026年4月には、SHIBUYA TSUTAYA、TSUTAYA EBISUBASHIに続く3店舗目として京都 蔦屋書店内に「京都 IP書店」を開業しました。[参照:CCC 京都 IP書店]
ストリーミング時代になっても、好きな作品のグッズを買う、展示を見る、限定イベントへ参加するといった「ファン体験」は実店舗と相性がよいため、レンタルとは違う収益源になります。
実はTSUTAYAにもリユース事業への大きな動きがある
ゲオと比較したとき特に興味深いのが、2026年にCCC自身もリユース事業へ本格的に踏み込んだことです。
CCCは2026年5月、地域情報サイトやリユースサービスを展開する株式会社ジモティーの株式を公開買付けによって取得すると発表しました。その公開買付けは6月29日に終了し、CCCは議決権ベースで87.99%を取得しました。[参照:CCC ジモティー公開買付け結果]
さらにCCCはジモティーを連結子会社化し、最終的には完全子会社化・非公開化する方針を示しています。つまり2026年現在では、CCCにもゲオのセカンドストリートとは異なる形ではありますが、リユース領域の新しい柱が生まれつつあります。
「ジモティースポット」がTSUTAYA店内にも登場している
ジモティーはネット掲示板だけでなく、「ジモティースポット」という実店舗型のリユース拠点も展開しています。
不要になった家具や家電、生活用品などを地域住民から持ち込んでもらい、必要な人へ販売・譲渡することで、ごみとして処分される物を減らす仕組みです。
2026年6月には「ジモティースポット枚方牧野高校前店」がTSUTAYA牧野高校前店内へオープンしました。TSUTAYA店舗内へジモティースポットが出店する初の事例です。[参照:CCC・ジモティー ジモティースポット枚方牧野高校前店]
ゲオのセカンドストリートとジモティーではリユースの形が違う
両社ともリユース市場へ関わっていますが、ビジネスモデルは同じではありません。
| 企業グループ | 代表的リユース事業 | 特徴 |
|---|---|---|
| ゲオグループ | セカンドストリート | 店舗で商品を買い取り、販売する総合リユースショップ |
| CCC | ジモティー・ジモティースポット | 地域内で不要品を循環させるプラットフォーム・拠点 |
セカンドストリートは全国的な大型チェーンとして衣料、家具、家電などを売買するモデルが中心です。一方、ジモティーは個人間取引や自治体との連携を含め、地域の中で物を循環させる仕組みに強みがあります。
TSUTAYA Conditioningというフィットネス事業もある
CCCは意外な分野にも事業を広げています。その一つが「TSUTAYA Conditioning」です。
一般的なトレーニングジムとは少し異なり、「鍛えるではなく整える」という考え方を掲げ、本に囲まれた空間でヨガ、ピラティス、有酸素運動などを行える施設を展開しています。[参照:CCC リテールビジネス]
2026年にもTSUTAYA Conditioning PILATESの新店舗を展開しており、ヘアカラー専門サービス「TSUTAYA Conditioning COLOR」などにも事業を広げています。
スターバックスとのBOOK&CAFEも重要な事業
蔦屋書店やTSUTAYA BOOKSTOREでは、スターバックスを併設したBOOK&CAFE型店舗を多く見ることができます。
コーヒーを飲みながら本を選び、長時間過ごせる空間を作ることで、オンライン書店とは異なる価値を作っています。
CCCは公式事業紹介でもスターバックス事業をリテールビジネスの一つとして位置付けています。レンタルから店舗空間・滞在体験へシフトしていることが、この点からも分かります。
図書館や公共施設の運営にも関わっている
CCCは民間店舗だけではなく、自治体と連携した図書館や公共施設の運営・企画にも関わっています。
2026年5月には大阪府門真市で「門真市立文化創造図書館KADOMADO」が開業し、CCCは地域と人をつなぐ公共空間づくりにも取り組んでいます。
「本を貸す」という機能だけではなく、イベント、交流、学習、地域活動などを組み合わせた場所を作るノウハウもCCCの事業になっています。
アート事業にも力を入れている
近年の蔦屋書店では、美術作品や写真、現代アートなどを大きく扱う店舗が増えています。
CCCではアートラボ事業を展開しており、店舗での作品販売や展示、アーティスト支援、アートイベントなどへ事業領域を広げています。
これはレンタルDVDと一見まったく関係がないように見えますが、「文化やライフスタイルを編集して提案する」というCCCの方向性では共通しています。
Vポイント事業の関係も以前とは変わっている
かつてTSUTAYAといえばTポイントの印象も非常に強いものでした。現在はTポイントと三井住友カードのVポイントが統合され、「Vポイント」として展開されています。
また2026年4月には、Vポイント事業を担うVポイントマーケティングについて三井住友カードによる子会社化が行われています。つまりCCCの現在の事業構成は、以前の「TSUTAYA+Tポイント」という単純な形から大きく変化しています。[参照:CCC 2026年ニュース]
CCCは店舗、空間、IP、地域、データなど複数の分野へ軸足を移していると見るほうが現在の姿に近いでしょう。
TSUTAYAという名前自体が完全になくなる可能性は低い
従来型のDVD・CDレンタル店としてのTSUTAYAは今後も減少する可能性があります。しかし「TSUTAYA」というブランドそのものが近いうちに消滅すると断定できる状況ではありません。
現在もTSUTAYA、TSUTAYA BOOKSTORE、SHIBUYA TSUTAYA、TSUTAYA Conditioningなど複数の形でブランドが使われています。
海外でもTSUTAYA BOOKSTOREの新規出店が続いています。そのため「レンタルショップとしてのTSUTAYA」と「ブランドとしてのTSUTAYA」は分けて考える必要があります。
昔ながらのTSUTAYAは減る可能性が高い
一方で、DVDやCDが大量に並び、週末になると家族でレンタル作品を選ぶような昔ながらのTSUTAYA店舗については、同じ姿のまま全国で維持されることは難しくなっています。
これはTSUTAYAだけの問題ではなく、レンタルビデオ市場そのものが配信サービスに置き換えられたことによる構造的な変化です。
その意味では、「思い出のTSUTAYAがなくなって悲しい」という感覚と、「CCCという企業がなくなりそう」という話は別です。店舗の思い出という意味では、確かに一つの時代が終わりつつあると言えます。
閉店した場所が別のCCC業態に変わるケースもある
すべての閉店店舗が別業態へ転換されるわけではありませんが、旧TSUTAYAの場所をCCCの新事業へ変える例は実際にあります。
例えばSHARE LOUNGE馬事公苑はTSUTAYA馬事公苑店跡地、SHARE LOUNGE神谷町駅前は旧TSUTAYA BOOKSTORE神谷町店の跡地へ開業しました。[参照:CCC SHARE LOUNGE神谷町駅前]
「レンタル店を閉じる=その地域からCCCが完全撤退」とは限らないのです。
なぜCCCはセカンドストリートのような事業をもっと早く持たなかったのか
企業ごとに得意分野や投資の方向性が違うためです。ゲオグループは店舗で中古品を仕入れて再販売するリユース事業を早くから拡大しました。
一方CCCは、蔦屋書店、BOOK&CAFE、図書館、空間デザイン、データマーケティングなど、「人が集まる場所や体験を企画する」方向へ強く投資してきました。
どちらが正解だったかを単純に判断することはできませんが、レンタル市場が急縮小した局面では、成長市場であるリユースを持っていたゲオの強みが目立ちやすかったと言えます。
2026年のジモティー取得はCCCにとって大きな転換点
その意味で、CCCによるジモティー取得は非常に象徴的な出来事です。
CCCは2026年6月に終了した公開買付けで、ジモティーの株券等について87.99%の所有割合となり、その後はCCCのみを株主とする非公開化手続きを進める方針を発表しました。[参照:CCC ジモティーTOB結果]
つまり「TSUTAYAにはセカンドストリートのようなリユース事業がない」という認識は、2026年現在では少し状況が変わっています。CCCはジモティーという強い地域リユースサービスをグループへ取り込み、TSUTAYA店舗との連携まで始めています。
今後はTSUTAYA店舗とジモティーが組み合わさる可能性もある
すでにTSUTAYA牧野高校前店内へジモティースポットが出店しているため、今後ほかのTSUTAYA・CCC関連店舗でもリユースサービスが組み合わされる可能性があります。
例えば書籍、雑貨、カフェ、ラウンジ、リユースなどを同じ施設へ集めれば、DVDレンタル需要が減っても店舗へ人が来る新しい理由を作れます。
CCCとジモティーは地域コミュニティの活性化なども共同で進める方針を示しており、単なる中古品店とは異なる展開になる可能性があります。
今後のTSUTAYAは店舗ごとの差がさらに大きくなりそう
今後は「TSUTAYAなら全国どこでも同じ」という店舗モデルではなくなる可能性があります。
ある地域では書店中心、別の地域ではカフェ・ラウンジ中心、都市部ではIP・イベント中心、別の場所ではフィットネスやリユースを組み合わせるなど、立地に合わせて役割を変える方向です。
これは昔ながらのレンタルショップを知る人からすると寂しく感じる一方、ブランドを残すための事業転換とも言えます。
「大量閉店=経営破綻寸前」とは限らない
店舗数が減っているニュースを見ると、企業そのものが危ないように感じます。しかし成熟・縮小した事業の店舗を閉めながら、別の成長事業へ投資することは企業経営では珍しくありません。
重要なのは「何店舗閉店したか」だけでなく、その企業が次にどこへ投資しているかです。
CCCの場合、SHARE LOUNGE、IP、蔦屋書店、海外、ウエルネス、公共施設、ジモティーなどへ投資を続けています。少なくとも2026年現在、「レンタル店を閉めながら何もせず縮小しているだけ」という見方では実態を十分に説明できません。
昔のTSUTAYAと今後のTSUTAYAは別物になっていく
1990年代から2000年代のTSUTAYAは、「映画や音楽というコンテンツへアクセスする場所」でした。新作DVDを借り、CDを探し、漫画を借りること自体が店舗へ行く理由でした。
現在ではコンテンツへのアクセス部分はスマートフォンへ移りました。そのため実店舗は、スマートフォンでは得られない空間、交流、イベント、限定商品、飲食、体験などへ役割を変えています。
名前はTSUTAYAでも、中身は昔のレンタルビデオ店からまったく違うものになっていく可能性があります。
それでも昔の店舗がなくなる寂しさは別問題
企業が新しい事業へ転換していることと、昔から通っていた店舗がなくなる寂しさは別の話です。
子どもの頃に家族と映画を選んだこと、友達とCDを探したこと、レンタル開始日に店へ行ったことなど、TSUTAYAが生活の一部だった人にとっては、単なる小売店の閉店以上の意味があります。
ストリーミングサービスは便利ですが、「棚を眺めて偶然知らない映画を見つける」「ジャケットを見ながら何を借りるか悩む」という体験までは完全には置き換えません。そうした文化が失われることへの寂しさは自然なものです。
まとめ:昔ながらのTSUTAYAは減っているが、CCCは別事業へ大きく転換している
DVD・CDレンタルを中心とする従来型TSUTAYAは、動画・音楽配信サービスの普及によって厳しい環境にあり、今後も店舗の閉店や業態変更が進む可能性があります。そのため、昔ながらの「レンタルショップとしてのTSUTAYA」が全国で今まで通り残り続けるとは考えにくい状況です。
しかし、CCCがTSUTAYAを閉店するだけで何も別事業を持っていない、というわけではありません。現在のCCCは蔦屋書店、TSUTAYA BOOKSTORE、SHARE LOUNGE、SHIBUYA TSUTAYAのIP事業、TSUTAYA Conditioning、スターバックス、アート、公共施設、海外事業など幅広い事業を展開しています。[参照:CCC 事業紹介]
さらに2026年にはジモティーへの公開買付けを実施し、議決権ベースで87.99%を取得しました。TSUTAYA店舗内へ「ジモティースポット」が初出店するなど、リユース事業との連携もすでに始まっています。[参照:CCC ジモティー公開買付け結果][参照:ジモティースポット枚方牧野高校前店]
ゲオグループがセカンドストリートという大規模な店舗型リユース事業を育てたのに対し、CCCは「本・文化・空間・地域・コミュニティ」を中心に事業を変えてきました。そして現在はジモティーを通じてリユースにも踏み込んでいます。方向性は違いますが、どちらもレンタル市場の縮小に合わせて「レンタル以外の会社」へ変化していると言えます。
これからTSUTAYAという名前がすぐ消えるというより、昔ながらのレンタル店が減り、蔦屋書店、ラウンジ、IP施設、地域サービスなど別の形へ置き換わっていく可能性が高いでしょう。昔通っていた店舗そのものがなくなる寂しさは残りますが、「TSUTAYAの会社がただ閉店を続けて消えていく」という状況ではなく、ブランドと店舗の役割を大きく作り替えている途中と考えるのが現在の実態に近いでしょう。


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