モバイルバッテリーを雨の中で落としたり、水たまりに水没させたりした場合、外見上は正常に見えても注意が必要です。特にモバイルバッテリーの多くに使われているリチウムイオン電池は、内部の異常によって発熱・発煙・発火につながる可能性があります。
水没後にランプが点灯したままになった、勝手に消灯した、充電できなくなったといった通常とは異なる挙動があった場合は、単に乾燥させて再利用するのではなく、使用・充電を中止して安全を優先した対応を取ることが重要です。
水没したモバイルバッテリーは発火する可能性がある
モバイルバッテリーが完全に水没した場合、乾いたように見えても内部まで正常とは限りません。水分によって回路や端子部分でショートが発生したり、腐食によって時間が経ってから異常が起きたりする可能性があります。
製品評価技術基盤機構(NITE)も、リチウムイオン電池搭載製品について、水没したり水が掛かったりした場合には使用時に異常が生じるおそれがあるとして、取扱説明書の確認やメーカー・販売店への相談を案内しています。また、濡れた直後に電源を入れるとショートによる異常発熱や発煙などが発生するおそれがあると注意喚起しています。[参照]
したがって、ランプが消えたから安全、完全に乾いたように見えるから安全、と判断することはできません。水没後に通常と違う挙動が確認された製品は、再使用しないことを基本に考えたほうが安全です。
Ankerもモバイルバッテリーは水気を避けるよう案内している
Anker Japanもモバイルバッテリーの安全な使用方法として、水気を避けるよう案内しています。モバイルバッテリーは精密機器であり、水濡れさせないために水気の近くや高湿度環境での使用・保管を避けることが推奨されています。[参照]
特に「大雨で少し濡れた」という程度ではなく、製品そのものが水没した場合には内部への浸水を否定できません。USB端子などの開口部から内部へ水が入っている可能性も考えておく必要があります。
また、乾燥した後に試しにスマートフォンを充電したり、充電器につないでモバイルバッテリー本体を充電したりすることも避けたほうがよいでしょう。通電させることで異常が表面化する可能性があるためです。
水没後にランプが点灯し続けた場合は特に注意
水没する前には起きていなかったランプの常時点灯などが発生したのであれば、内部回路が水分の影響を受けた可能性を考える必要があります。その後ランプが消灯したとしても、正常状態へ戻ったことを意味するとは限りません。
たとえば、残量確認ボタンを押していないのにLEDが点灯し続け、水没後しばらくして消えたというケースでは、内部の水分によって回路が一時的に意図しない動作をしていた可能性も考えられます。ただし、外から確認するだけでは原因を特定できません。
異常な点灯、発熱、膨張、変形、異臭、異音などが確認された場合には、使用を中止してください。特に膨張や発熱、煙などがある製品は触ったり分解したりせず、安全確保を優先する必要があります。
水没したモバイルバッテリーを家に置く場合の注意点
すぐに処分できず、一時的に自宅で保管しなければならないケースもあります。その場合は、少なくとも充電器やスマートフォンなどには接続せず、電源として使用しないことが重要です。
また、直射日光が当たる窓際、暖房器具の近く、夏場の自動車内など、高温になる場所には置かないようにします。NITEはリチウムイオン電池について、高温となる場所で使用・保管しないよう注意喚起しています。[参照]
紙類、衣類、布団、カーテンなど燃えやすい物のすぐ近くに置くことも避けましょう。また、子どもやペットが触れられる場所に放置するのも適切ではありません。異常がある製品を押したり、穴を開けたり、分解したりする行為は危険です。
「乾燥させればまた使える」と考えないほうがよい
スマートフォンなどの電子機器では「十分乾燥させたら動いた」という経験談が見つかることがあります。しかし、モバイルバッテリーには比較的大きなエネルギーを蓄えるリチウムイオン電池が入っているため、単純に動作するかどうかだけで安全性を判断するべきではありません。
水分がなくなった後でも、内部の腐食や損傷が残っている可能性があります。正常に充電できたとしても、それだけで内部に問題がないことを証明することはできません。
そのため、水没した製品については自己判断で再充電して確認するのではなく、メーカーのサポート窓口に製品名・型番と水没した状況を伝え、取り扱いを確認する方法が安全です。
処分するときは普通のごみに混ぜない
水没したモバイルバッテリーを処分する場合、燃えるごみなどへそのまま入れるのは避けてください。リチウムイオン電池は、ごみ収集車や処理施設で圧縮・破砕された際に発火し、火災につながることがあります。
環境省は、家庭から出る不要なリチウムイオン電池やリチウムイオン電池使用製品について、住んでいる市区町村のごみ捨てルールに従って処分するよう案内しています。[参照]
特に水没・膨張・変形などの異常があるモバイルバッテリーは、一般的な回収ボックスでは受け付けてもらえない場合があります。自治体の担当窓口やメーカーに「水没したリチウムイオン電池入りモバイルバッテリー」であることを伝え、処分方法を確認すると確実です。
発熱・発煙・発火が始まった場合はどうする?
保管中に本体が急激に熱くなる、膨らむ、異臭がする、煙が出るといった明らかな異常が発生した場合は、通常の保管状態とは異なります。無理に手で持って移動したり、分解したりしないでください。
NITEは、モバイルバッテリーが発火して煙や炎が噴き出している場合には絶対に近寄らず、対処が困難なら身の安全を確保して119番通報するよう案内しています。小型のモバイルバッテリーについては、火花が収まった後に大量の水を掛けて冷却する方法も示されています。[参照]
火災が発生した状況では、製品を守ることより人の安全確保が最優先です。煙や炎が激しい場合や、安全に対応できない場合には近づかず避難し、消防へ連絡してください。
まとめ:水没したモバイルバッテリーは再使用せず安全を優先する
水没したモバイルバッテリーは、表面が乾いたりランプが消えたりしても、内部まで安全になったとは判断できません。水分によるショートや内部損傷、時間が経ってから生じる異常などを考慮し、充電・給電を行わず再使用しないことが基本的な安全策です。
すぐ処分できない場合には高温になる場所や燃えやすい物の近くを避け、子どもやペットが触れないよう注意しながら、メーカーや自治体へ処分方法を確認します。水没後に異常なランプ点灯などがあった場合は、特に慎重に扱うべきです。
そして発熱、膨張、異臭、発煙などの異常が現れた場合には、無理に触ったり移動したりせず安全な場所へ避難し、必要に応じて119番通報してください。モバイルバッテリーは便利な製品ですが、水没後については「まだ動くか」ではなく「安全に扱えるか」を基準に判断することが大切です。


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