SONY α9(初代)とFE 100-400mmクラスの望遠ズームは、スポーツや野鳥だけでなく、屋外の表彰式やイベント撮影にも十分活用できる組み合わせです。ただし、人物撮影では野鳥撮影とは少し考え方が異なり、被写体の顔に確実にピントを合わせること、手ブレ・被写体ブレを防ぐこと、明るさの変化に対応することが重要になります。
特に表彰式は撮り直しが難しいため、画質を限界まで追求するよりも、多少ISO感度が上がってもピントとシャッター速度を確保する設定のほうが失敗を減らせます。ここでは、16時~17時ごろの屋外でSONY α9と100-400mmを使うケースを想定し、実践しやすい設定と撮影方法を解説します。
まず設定したい表彰式撮影の基本設定
屋外の表彰式で最初に試しやすい設定は、絞り優先またはマニュアル露出+ISO AUTO、AF-C、人物の顔・瞳を優先するAFです。慣れていない場合は、シャッター速度までカメラ任せになる通常の絞り優先より、シャッター速度を自分で確保できるマニュアル露出+ISO AUTOのほうが安心できる場面があります。
設定例としては、撮影モードをM、シャッター速度を1/500秒前後、絞りをF5.6~F8程度、ISOをAUTO、フォーカスモードをAF-C、ドライブモードを連写にします。100-400mmを400mm近くで使用する場合には、手ブレだけでなく人物自身の動きも考え、明るさに余裕があれば1/640秒程度まで速くしてもよいでしょう。
一方、表彰状を受け取った後に並んで静止してもらえる記念写真なら、1/250~1/500秒程度でも撮影しやすくなります。重要なのは「必ずこの数値」ということではなく、その場の明るさと人物の動きに応じてシャッター速度を確保することです。
| 項目 | 設定の目安 |
|---|---|
| 撮影モード | M+ISO AUTO、またはA(絞り優先) |
| シャッター速度 | 1/500秒前後を基準 |
| 絞り | F5.6~F8程度 |
| ISO | AUTO |
| フォーカス | AF-C |
| 顔・瞳AF | 人物を優先 |
| ドライブ | 連写 |
| ホワイトバランス | AWBで開始して問題なし |
| 記録形式 | 可能ならRAW+JPEG |
人物撮影ではAF-Cと顔・瞳AFを活用する
野鳥撮影に慣れていても人物写真でピントを外してしまうことは珍しくありません。人物撮影では、服や表彰状ではなく基本的に顔、可能なら瞳にピントが来るようにするのがポイントです。
SONY α9はファームウェアのバージョンによって利用できる機能やメニュー構成に違いがありますが、Ver.5以降では「顔/瞳AF設定」でAF時の顔/瞳優先を有効にできます。ソニーのヘルプガイドでも、フォーカスエリア内や周辺に顔・瞳がある場合には、それらへ優先的にピントを合わせる仕組みが説明されています。詳しい操作は[参照]で確認できます。
フォーカスモードはAF-C(コンティニュアスAF)が扱いやすいでしょう。AF-Cはシャッターボタンを半押ししている間、被写体へのピント合わせを継続するため、受賞者が歩いて壇上へ移動する場面や、賞状を受け取るために身体を動かす場面にも対応しやすくなります。
ピント外れをできるだけ減らしたい場合
α9にはAF-C使用時にピントとレリーズのどちらを優先するか決める設定があります。ソニー公式ヘルプでは「フォーカス優先」「レリーズ優先」「バランス重視」の違いが説明されています。[参照]
絶対に枚数を稼ぎたいからとレリーズ優先にすると、ピントが十分でなくてもシャッターを切れる場合があります。人物撮影に慣れておらずピント外れを特に避けたいなら、フォーカス優先またはバランス重視を候補にするとよいでしょう。
100-400mmではシャッター速度を遅くしすぎない
100-400mmのような望遠レンズでは、わずかなカメラの動きが写真に影響しやすくなります。手ブレ補正があるからといってシャッター速度を極端に遅くするのは、表彰式ではおすすめできません。手ブレ補正はカメラ側の揺れを軽減できても、歩いている人物や手を動かしている人物の被写体ブレまでは止められないためです。
例えば400mmで賞状を受け取る瞬間を撮影するなら、1/500~1/800秒程度を確保できると安心感があります。人物が完全に静止している記念撮影なら、状況によってはもう少し遅くできます。
夕方になって光量が落ちると、このシャッター速度ではISO感度が上がります。しかし、ISOを低く保った結果としてブレたりピントを外したりするより、多少ノイズが増えてもシャープな写真を残すほうが表彰式では実用的です。
絞りはF5.6~F8を目安に人数で変える
一人の受賞者を撮影する場合は、100-400mmの開放付近でも撮影できます。一方、受賞者と授与する人の二人を同時に撮る場合や、複数人が横一列に並ぶ場合には、少し絞ったほうが安全です。
例えば二人がほぼ同じ距離に並んでいるならF5.6前後でも撮影できますが、前後方向に位置がずれている場合にはF7.1~F8程度まで絞ることで、双方を被写界深度内に収めやすくなります。ただし、絞るほどISO感度が上がりやすくなるため、必要以上にF11やF16まで絞る必要はありません。
また400mmでかなり離れた位置から撮影すると背景を整理しやすく、人物を目立たせた写真になります。逆に表彰台、看板、会場の雰囲気まで残したいカットでは100~200mm程度へズームアウトするなど、同じ場所から画角を変えると記録写真としてのバリエーションを増やせます。
手持ちと三脚はどちらが表彰式に向いている?
表彰式では、基本的には手持ち、または自由に方向を変えられる一脚のほうが対応しやすいケースが多いでしょう。受賞者が歩いてくる方向、表彰状を渡す瞬間、記念撮影などで構図が次々と変わるためです。
三脚を使用する場合は、固定してしまうというより、自由にカメラを振れる雲台を利用すると追いやすくなります。400mm付近を長時間構え続けるのであれば、三脚や一脚には重量を支えて疲労を軽減できるメリットがあります。
ただし、式典会場では三脚が通行の邪魔になったり、設置場所が制限されたりする場合があります。主催者から撮影位置が指定されている場合は、その範囲内で使用することが前提です。
16時から17時の屋外撮影で注意したい露出
夕方の屋外は、撮影開始時と終了時で明るさが大きく変わる可能性があります。また晴天でも、被写体が日なたから日陰へ移動すると露出条件が急変します。そのため、固定ISOよりISO AUTOが便利です。
Mモードでシャッター速度を1/500秒、絞りをF5.6~F8程度に設定してISO AUTOにすると、撮影者はブレと被写界深度をコントロールしつつ、明るさの変化をISOで吸収できます。撮影中はISO値だけでなく、人物の顔が明るすぎたり暗すぎたりしていないかモニターやファインダーで確認してください。
特に西日が人物の背後から当たる逆光では、背景に引っ張られて顔が暗くなることがあります。その場合は露出補正などを使って顔の明るさを調整します。白いシャツや表彰状が極端に白飛びしていないかも確認すると安心です。
表彰式では連写して「目つぶり」を防ぐ
人物撮影で意外に多い失敗が目つぶりです。ピントも露出も完璧なのに、受賞者がちょうど瞬きをしていたということがあります。そこで重要な瞬間では1枚だけで終わらせず、短い連写を使います。
例えば表彰状を渡す瞬間なら、「差し出す」「受け取る」「二人が正面を見る」という流れをそれぞれ数枚撮影しておきます。高速連写を何秒も続ける必要はなく、必要な瞬間に短く区切って撮るだけでも成功率はかなり変わります。
また、撮影後すぐに拡大表示して瞳付近を確認できれば理想的です。式が進行していて確認する時間がない場合でも、最初の受賞者を撮影した直後だけはピントと露出をチェックし、その設定を基準に残りの撮影へ進むと大きな失敗を防ぎやすくなります。
本番前に必ず試し撮りをしておく
表彰式のように撮り直しができない撮影では、設定の理論以上に本番前のテスト撮影が重要です。開始前にスタッフや家族などに表彰位置へ立ってもらえるなら、実際の距離から数枚撮影します。
撮影した画像をカメラで拡大し、顔や瞳にピントが合っているか、シャッター速度が十分か、ISOが極端に高くなっていないか、人物が明るすぎたり暗すぎたりしていないかを確認します。人物を用意できない場合でも、表彰台付近の看板や物体を使って距離感と画角だけは確認できます。
100-400mmは画角の変化が大きいため、「全身を撮るなら何mm程度」「上半身なら何mm程度」と事前に確認しておくと、本番中にズーム操作で迷いにくくなります。メモリーカードの空き容量とバッテリー残量も開始前に確認しておきましょう。
表彰式で残しておきたい写真のパターン
表彰式は表彰状を受け取る瞬間だけ撮ればよいわけではありません。一連の流れを撮っておくと、後から見たときに式の様子が伝わりやすくなります。
- 受賞者が表彰場所へ歩いてくる場面
- 表彰状や賞品を渡す瞬間
- 握手をする瞬間
- 受賞者と授与者が正面を向いた写真
- 受賞者単独の写真
- 複数の受賞者による集合写真
- 表彰台や会場全体が分かる引きの写真
特に「表彰状を持って正面を向いた瞬間」は後から使いやすい定番カットです。400mmだけに頼らず、必要に応じて100~200mm側も使い、人物のアップと会場の雰囲気が分かる写真の両方を残しておくとよいでしょう。
まとめ|α9のAF性能を活かし、速めのシャッター速度で確実に残す
SONY α9と100-400mmで屋外の表彰式を撮影する場合は、AF-C、人物の顔・瞳を優先するAF、1/500秒前後以上のシャッター速度、F5.6~F8程度、ISO AUTOを出発点にすると設定を組み立てやすくなります。人物が動く場面ではシャッター速度を速くし、集合写真では必要に応じて少し絞るという考え方です。
以前人物撮影でピントを外した経験がある場合は、AF-Cと顔・瞳AFが正しく設定されているかを本番前に確認することが特に重要です。α9の顔・瞳AFはファームウェアによって機能が拡張されているため、使用している本体のバージョンも確認しておくとよいでしょう。
そして表彰式では、最高画質の1枚を狙いすぎるよりも、ブレないシャッター速度を確保し、短い連写で複数枚残し、開始前に試し撮りすることが失敗を減らす近道です。最初の数枚を拡大確認して問題がなければ、その設定を基準に撮影を進めると安心して本番に臨めます。


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