高齢者宅の固定電話に知らない相手から電話があり、その後、注文した覚えのない安価な商品が届いた場合は注意が必要です。中身が100円程度の雑貨や粘土などだったとしても、「安い物だから問題ない」と判断するのではなく、電話で何を話したのか、誰が発送したのか、代金請求があるのかを確認することが大切です。
ただし、身に覚えのない荷物が届いたという事実だけで、直ちに詐欺だと断定することはできません。誤配送、家族による注文、懸賞やサンプル、事業者からの一方的な送り付けなど複数の可能性があります。特に電話の直後に届いた場合は偶然とは限らないため、高齢者本人だけに対応を任せず、家族などと一緒に状況を整理するのがおすすめです。
注文も契約もしていない商品を事業者が一方的に送り付けた場合、日本では原則として代金を支払う必要はありません。消費者庁も、売買契約に基づかず一方的に送付された商品について、消費者に支払い義務はなく、一定の条件に該当する送り付け商品は直ちに処分できると案内しています。消費者庁・身に覚えのない商品が届いた場合[参照]
- 知らない電話のあとに荷物が届いたら、まず詐欺を疑うべき?
- 100円程度の粘土が届いただけでは目的は判断できない
- 荷物に送り主が書かれていない場合はどうする?
- 注文していない商品なら代金を支払う必要はない
- ただし電話で本当に注文していた場合は話が変わる
- 「無料です」と言われた場合も追加契約がないか確認する
- 代引きの荷物なら絶対にその場で払わない
- クレジットカードや口座から引き落とされていないか確認する
- 高齢者の場合は「次の電話」を特に警戒する
- 70歳以上なら固定電話の番号表示・非通知拒否も確認したい
- 送り主に直接電話する前に電話番号を調べる
- 今すぐ確認する項目を順番に整理
- 荷物はすぐ捨ててもいい?
- 「返品してください」と言われても自分で送料を払わない
- 消費者ホットライン188に相談する目安
- 警察に相談したほうがよいケース
- 周囲の人が高齢者を手伝うときに確認したいこと
- 「安い物が届いただけだから放置」で終わらせない
- まとめ:詐欺とは断定できないが、不審な電話と身に覚えのない荷物の組み合わせは要確認
知らない電話のあとに荷物が届いたら、まず詐欺を疑うべき?
最初に考えるべきなのは、「詐欺かどうかを即断すること」ではなく、本人が何らかの注文や契約をしていないかを確認することです。高齢者の場合、電話の内容を十分理解しないまま返事をしてしまったり、「はい」「分かりました」と答えたことを申込みとして扱われたりするトラブルも考えられます。
例えば電話で「無料で送ります」「試供品をお送りします」「確認のため住所を教えてください」などと言われ、その後に商品が届いた場合には、電話と荷物が関係している可能性があります。一方で、電話と荷物がたまたま同時期だった可能性もあるため、中身が安価であることだけから犯行目的を推測するのは避けるべきです。
特に確認したいのは、今後高額な請求、追加の商品、別の電話が続かないかという点です。最初に安価な商品が届いた段階で支払いが発生していなくても、後から「定期購入を契約している」「代金が未払いだ」などと言われた場合は、その場で支払わず消費生活センターへ相談しましょう。
100円程度の粘土が届いただけでは目的は判断できない
非常に安価な商品が送られてきた場合、「住所が実在するか確認するためではないか」「次の詐欺の準備ではないか」と考えることもできます。しかし、個別の荷物について発送者や電話の内容が分からない以上、その目的を断定することはできません。
インターネット上では、安価な商品を注文していない人へ送る行為について、送り付け商法のほか、配送先情報の確認や通販サイト上の不正な取引に関連した荷物など、さまざまなケースが語られます。しかし、100円の商品が届いたという事実だけでは、どのパターンに当たるかは分かりません。
大切なのは「なぜ粘土なのか」を推測し続けることより、発送元、配送業者、伝票、電話番号、請求の有無を証拠として確認することです。
荷物に送り主が書かれていない場合はどうする?
荷物に受取人の氏名・住所は書かれているものの、送り主が分からないというケースはあります。まず配送伝票、包装、封筒、同封物などを確認し、発送元、販売会社、問い合わせ番号、送り状番号が残っていないか調べます。
すぐに包装を捨てるより、スマートフォンなどで荷物全体、配送ラベル、中身、同封されていた紙を撮影しておくと安心です。後から請求や電話が来た際に、いつ何が届いたのかを説明しやすくなります。
もし文字どおり受取人の宛名すらなく、なぜその家へ配達されたのか分からないのであれば、送り付け商法とは別に誤配の可能性があります。その場合は中身を勝手に処分する前に、荷物を配達した運送会社や郵便事業者へ確認するのが適切です。
注文していない商品なら代金を支払う必要はない
消費者庁によれば、売買契約の申込みも契約締結もしていないのに事業者が一方的に商品を送ったとしても、それだけで売買契約が成立するわけではなく、消費者は代金を支払う必要がありません。特定商取引法ガイド・一方的に送付された商品に関するQ&A[参照]
2021年7月6日以降、事業者が金銭を得る目的で契約なしに一方的に送り付けた商品については、従来のように14日間待つ必要はなく、消費者は直ちに処分できるルールになっています。また、開封したことや処分したことを理由に代金を支払う必要もありません。
例えば「注文していない粘土を開封してしまったから買い取らなければならない」「捨てたので商品代を払え」と後から言われても、契約のない送り付け商品について、そのような理由だけで支払い義務が生まれるものではありません。
ただし電話で本当に注文していた場合は話が変わる
注意したいのは、一方的な送り付けなのか、電話中に本人が何らかの契約をしていたのかが曖昧な場合です。「送ってください」「買います」など、本人が電話で申込みをしていた場合には、単純な送り付け商法とは異なります。
事業者から電話をかけて勧誘し、その電話をきっかけに商品購入の契約をした場合は、特定商取引法上の電話勧誘販売に該当する可能性があります。電話勧誘販売では、法律で定められた書面を受け取った日から原則8日以内であれば、書面または電磁的記録によるクーリング・オフが可能です。消費者庁 特定商取引法ガイド・電話勧誘販売[参照]
本人が電話の内容をよく覚えていない場合は、事業者へ一人で電話して話を進めるより、契約書、請求書、電話番号などをそろえて消費者ホットライン「188」へ相談したほうが安全です。
「無料です」と言われた場合も追加契約がないか確認する
電話で「無料」「お試し」「プレゼント」などと言われ、本当に無料の商品だけが送られている場合もあります。しかし、別の商品やサービスが契約されていないかは確認しておきましょう。
例えば最初の荷物は100円程度の商品でも、その後「先日の商品について」と電話をかけてきたり、別の商品を定期的に送ったりする可能性は否定できません。もちろん、このような展開になると決まっているわけではありませんが、不審な電話と荷物が連続したなら警戒しておく価値があります。
高齢者本人には、「次に電話が来ても名前・生年月日・口座番号・カード番号を答えない」「何かを買う話になったらいったん切る」という簡単なルールを共有しておくと安心です。
代引きの荷物なら絶対にその場で払わない
身に覚えのない荷物が代金引換で届いた場合は、受け取らず、支払いもしないことが重要です。国民生活センターも、心当たりのない代引き荷物について、受取や支払いをせず、判断できない場合は配送業者に事情を伝えて一度持ち帰ってもらうよう案内しています。国民生活センター・代引きで身に覚えのない荷物が届いた場合[参照]
高齢者宅では、本人だけでなく家族にも「注文した人が分からない代引き商品には支払わない」というルールを共有しておくと安全です。
すでに代引き代金を支払ってしまった場合は、配送業者だけで解決できるとは限りません。発送元や販売事業者を確認し、返金を求めるとともに、188へ相談するのがよいでしょう。
クレジットカードや口座から引き落とされていないか確認する
商品自体に請求書が付いていなくても、本人が知らないうちに支払い情報を伝えていた可能性を完全には排除できません。クレジットカードを持っている場合は、利用明細に身に覚えのない請求がないか確認してください。
銀行口座についても、不審な引き落としがないか通帳やインターネットバンキングで確認します。国民生活センターも、身に覚えのない商品が届いた際には、クレジットカード等に該当する不審な請求がないか確認するよう案内しています。国民生活センター・身に覚えのない荷物への対処[参照]
不正利用と思われる請求が見つかった場合は、商品の発送元と交渉するだけでなく、カード会社や金融機関へ速やかに連絡してください。
高齢者の場合は「次の電話」を特に警戒する
身に覚えのない商品が一度届いただけで金銭的被害がなかったとしても、不審な電話が先にあった場合は、その後しばらく固定電話への着信に注意したほうがよいでしょう。
警察庁は特殊詐欺対策として、犯人と電話で話さないことが重要だと案内しており、知らない番号からの電話には出ない、非通知電話を拒否するといった対策を推奨しています。警察庁・固定電話の特殊詐欺対策[参照]
知らない番号から再度連絡があった場合、「先日の商品を受け取ったか」「本人確認をしたい」「返金するので口座を教えてほしい」などと言われても、その場で個人情報を伝えず一度電話を切ります。
70歳以上なら固定電話の番号表示・非通知拒否も確認したい
警察庁によると、NTT東日本・NTT西日本では、70歳以上の契約者、または70歳以上の人と同居している契約者を対象に、一定の条件のもとでナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストの月額利用料や工事費を無料にする取り組みがあります。申込みや対応機器などの条件があります。警察庁・番号表示・非通知拒否サービス[参照]
高齢者が一人で暮らしている場合には、電話機そのものを迷惑電話防止機能付きへ変更する方法もあります。登録されていない番号からの電話に警告メッセージを流したり、通話を録音したりできる電話機もあります。
今回のような出来事をきっかけに、荷物だけでなく固定電話への入口そのものを対策することには意味があります。
送り主に直接電話する前に電話番号を調べる
荷物に電話番号が書かれていても、すぐにその番号へ高齢者本人から電話をかけることはおすすめできません。不審な事業者だった場合、電話をかけることで「この番号は本人につながる」と確認される可能性を心配する場面もあるためです。
まず会社名、住所、電話番号をインターネットで確認します。有名企業や行政機関の名前が書かれていても、伝票に印刷された電話番号ではなく、その企業や機関の公式サイトに掲載されている問い合わせ先から真偽を確認すると安全です。
消費者庁を名乗って注文していない商品を着払いで送り付ける事例も過去に報告されており、消費者庁自身が注意喚起しています。消費者庁をかたる商品の送り付けへの注意[参照]
今すぐ確認する項目を順番に整理
不審な荷物が届いたときは、慌てて送り主へ連絡するより、次の順序で確認すると状況を整理しやすくなります。
- 本人や家族が本当に注文していないか確認する
- 直前にかかってきた電話で何を話したか思い出せる範囲で確認する
- 着信履歴の電話番号を写真やメモに残す
- 荷物、送り状、中身、同封書類を写真に残す
- 発送元、配送会社、送り状番号を確認する
- 代引きや請求書がある場合は支払わない
- カード・銀行口座に不審な請求がないか確認する
- 判断できなければ消費者ホットライン188へ相談する
電話の日付と時間、荷物が到着した日もメモしておくと相談しやすくなります。
荷物はすぐ捨ててもいい?
注文も契約もしておらず、事業者が金銭を得る目的で一方的に送り付けた商品に該当する場合は、消費者庁の案内上、商品を直ちに処分でき、開封・処分しても支払い義務は生じません。消費者庁・送り付け商品のルール[参照]
ただ、今回のように電話との関係や送り主自体が分からない段階では、急いで捨てる実益はあまりありません。相談する可能性があるなら、少なくとも配送ラベル、包装、同封物、中身を写真に撮り、しばらく状況を確認する方法が安心です。
また、他人宛ての誤配だった場合は話が別です。本人宛てではない荷物は勝手に処分せず、配送会社へ連絡してください。
「返品してください」と言われても自分で送料を払わない
一方的な送り付けであるにもかかわらず、後から「不要なら返送してください」「送料はそちらで負担してください」と言われても、その場で対応を約束しないほうが安全です。
注文していない商品について、自分で送料を負担して知らない住所へ返送する必要があるとは限りません。契約の有無が不明な場合も含め、188で状況を説明してから対応を決める方法があります。
また、「返品手続きのため」と称して銀行口座、クレジットカード番号、暗証番号、SMS認証コードなどを求められたら特に注意してください。返金を理由に重要な認証情報を教える必要はありません。
消費者ホットライン188に相談する目安
消費者ホットライン「188」は、最寄りの消費生活センター等につながる全国共通番号です。単に商品が届いただけでも、電話で契約したか分からない、高齢者本人が説明を覚えていない、請求が届いた、といった場合には相談できます。
特に、電話勧誘で何かに同意してしまった可能性がある場合は早めの相談がおすすめです。電話勧誘販売に該当すれば、法定書面を受け取った日から原則8日間のクーリング・オフなどを検討できる場合があるためです。
相談時には、電話番号、着信日時、配送伝票、商品、契約書らしい書類、請求書などを手元に用意しておくと話がスムーズです。
警察に相談したほうがよいケース
身に覚えのない商品が届いただけで、必ず警察へ被害届を出さなければならないわけではありません。まず188で消費者トラブルとして相談できるケースも多くあります。
一方で、相手が警察や役所、銀行員などを装っている、現金を要求された、キャッシュカードを取りに行くと言われた、脅迫されている、不審者が自宅へ来る予定になっている、といった場合は警察への相談を優先します。緊急性がなければ警察相談専用電話「#9110」、今まさに危険が迫っている場合は110番を利用します。
高齢者の場合、本人が「大したことではない」と考えていても、家族や周囲の人から相談することもできます。
周囲の人が高齢者を手伝うときに確認したいこと
本人へ強く問い詰めるより、「どんな電話だったか一緒に思い出してみよう」という形で確認するほうが情報を集めやすくなります。本人が電話口で何か答えていたとしても、それだけで責める必要はありません。
確認したいのは、氏名、住所、生年月日、銀行名、口座番号、カード番号、暗証番号などを話していないかです。住所と電話番号がすでに相手に知られている可能性がある場合でも、これ以上の情報を追加で伝えないことが重要です。
また、本人の携帯電話や固定電話の着信履歴を許可を得て確認し、不審な番号が何度もかかってきていないか調べてみるとよいでしょう。
「安い物が届いただけだから放置」で終わらせない
100円程度の商品が2個届いただけなら、金銭的損失はほとんどないように見えます。しかし今回のように直前に不審な固定電話があった場合、本当に確認したいのは商品の市場価格ではありません。
何らかの契約が成立したことにされていないか、今後請求されないか、個人情報を伝えていないか、不審な電話が続かないかを確認することが重要です。
逆に、これらを確認して何も問題がなく、単純な一方的送り付けや誤配送だと分かれば、必要以上に恐れる必要もありません。「100円の粘土だから絶対に詐欺」「安いから絶対に安全」というどちらの断定もしないことが適切です。
まとめ:詐欺とは断定できないが、不審な電話と身に覚えのない荷物の組み合わせは要確認
高齢者宅へ知らない電話がかかってきた後、注文した覚えのない商品が届いた場合、その時点で詐欺と断定はできませんが、放置せず一度状況を確認したほうがよいケースです。中身が100円程度の粘土だったとしても、金額の安さだけで安全性は判断できません。
まず本人と家族に注文の心当たりがないか確認し、電話の着信履歴、荷物の配送ラベル、発送元、中身を記録します。注文・契約をしていない事業者から一方的に送付された商品であれば、それだけで契約が成立するものではなく、原則として代金を支払う必要はありません。
一方、電話で本人が何らかの申込みをしてしまった可能性があるなら、電話勧誘販売としてクーリング・オフなどを利用できる場合があります。本人の記憶が曖昧、送り主が分からない、請求がある、再び電話が来たという場合には、消費者ホットライン188へ早めに相談すると安心です。
さらに、口座やカード情報を聞かれた、行政機関や警察を名乗る、現金やキャッシュカードを要求するなど詐欺を強く疑う展開になった場合は、警察相談専用電話#9110などへの相談も検討してください。高齢者の場合は本人だけに対応を任せず、家族や周囲の人が一緒に電話と荷物を確認し、次の不審な連絡を受けない環境まで整えることが重要です。


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