ソニーの初代α7とα7 IIは、どちらも35mmフルサイズセンサーを搭載しており、マウントアダプターを利用してMFのオールドレンズを楽しむためのカメラとして現在でも検討されることがあります。特に50mmや58mmといった昔ながらの標準レンズを本来に近い画角で使いたい場合、APS-C機とは違った魅力があります。
一方、オールドレンズ専用機として考えると、α7 IIには大きな強みであるボディ内手ブレ補正があり、初代α7には軽さと中古価格の安さというメリットがあります。単純に新しいα7 IIを選べばよいとは限らず、撮影スタイルと中古価格の差から判断することが重要です。
α7とα7 IIはどちらもオールドレンズをフルサイズで楽しめる
初代α7とα7 IIはいずれも有効約2430万画素の35mmフルサイズセンサーを搭載しています。そのため、フルサイズ用として設計された50mmのオールドレンズなら、基本的には50mmらしい画角で撮影できます。
APS-C機では同じ50mmレンズでも画角が狭くなります。ソニーのAPS-Cでは35mm判換算で約1.5倍となるため、50mmなら約75mm相当、58mmなら約87mm相当の画角です。ポートレートには便利ですが、室内撮影や街歩きでは少し狭いと感じることがあります。
たとえば昔の50mm F1.4を日常のスナップに使いたい場合、フルサイズのα7系なら標準レンズらしい自然な画角を楽しめます。オールドレンズ本来の画角を味わいたいという目的だけなら、初代α7でもα7 IIでも条件を満たしています。
また初代α7にもMFアシストによるピント拡大とピーキングが搭載されているため、MFレンズだからα7 IIでなければ使いにくいというわけではありません。ソニー公式仕様でも初代α7はフルサイズ時5.9倍・11.7倍のMFアシストとピーキングに対応しています。[参照]
最大の違いはα7 IIの5軸ボディ内手ブレ補正
MFオールドレンズ用途でα7 IIを選ぶ最大の理由は、ボディ内手ブレ補正です。α7 IIはイメージセンサーシフト方式の5軸手ブレ補正を搭載し、ソニー公称では条件を満たした場合に4.5段の補正効果があります。[参照]
一方、初代α7にはボディ内手ブレ補正がありません。ソニー公式仕様でも手ブレ補正は交換レンズ側対応とされているため、手ブレ補正機構を持たない昔のMFレンズを装着すると補正なしで撮影することになります。[参照]
この違いが効きやすいのは夕方、室内、夜の街、望遠レンズなどです。たとえば50mmレンズを使っていて光量が不足し、1/30秒や1/15秒までシャッター速度を落としたい場面では、ボディ内手ブレ補正のあるα7 IIのほうが手持ち撮影の自由度を上げやすくなります。
さらにMFではピント拡大を使うことがあります。α7 IIは手ブレ補正の効果をピント拡大やMFアシストによる拡大表示中にもライブビューで確認できるとソニーが説明しています。拡大した画面の揺れを抑えながらピントを追い込みやすい点は、オールドレンズ用途と相性のよい特徴です。[参照]
昼間中心なら初代α7でも十分使える
だからといって、オールドレンズを使うなら必ずα7 IIというわけではありません。明るい昼間の屋外撮影が中心で、1/125秒や1/250秒といった手ブレしにくいシャッター速度を確保できるなら、ボディ内手ブレ補正の重要性は低くなります。
たとえば休日の昼間に50mmや35mmのオールドレンズを付けて街を歩き、絞り優先でスナップする用途なら、初代α7でも十分楽しめます。ピーキングとピント拡大も利用できるため、MFでのピント合わせをサポートする基本機能は備わっています。
三脚を頻繁に使う場合も同様です。カメラを固定して撮影するのであれば、α7 IIのボディ内手ブレ補正に追加費用を払うメリットは相対的に小さくなります。
したがって昼間のスナップ中心で、とにかく安くフルサイズのオールドレンズ母艦を作りたい人には初代α7にも十分な価値があります。
軽さでは初代α7がかなり有利
オールドレンズ用カメラでは重量も意外に重要です。初代α7は本体のみ約416g、バッテリーとメモリーカード込みで約474gです。[参照]
α7 IIは本体のみ約556g、バッテリーとメモリーカード込みでは約599gです。つまり実際に持ち歩く状態ではα7 IIのほうが約125g重くなります。[参照]
| 比較項目 | α7 | α7 II |
|---|---|---|
| センサー | 35mmフルサイズ | 35mmフルサイズ |
| 有効画素数 | 約2430万画素 | 約2430万画素 |
| ボディ内手ブレ補正 | なし | 5軸 |
| MFピーキング | 対応 | 対応 |
| ピント拡大 | 対応 | 対応 |
| 本体のみの重量 | 約416g | 約556g |
| 向いている用途 | 軽量・低予算のオールドレンズ機 | 手持ち中心のオールドレンズ機 |
小型のM42レンズやレンジファインダー系レンズなどを付け、コンパクトなフルサイズ機として持ち歩きたい場合には初代α7の軽さが魅力になります。一方、大きめのオールドレンズを装着する場合は、グリップ形状が見直されたα7 IIのほうが持ちやすいと感じる可能性があります。
α7 IIの手ブレ補正はどんなオールドレンズで価値が高い?
α7 IIへの追加予算が特に有効なのは、50mmより長い焦点距離のレンズを手持ちで使う場合です。85mm、100mm、135mm、200mmと焦点距離が長くなるほど、ファインダー上でも手の揺れが目立ちやすくなります。
たとえば135mm F3.5のような昔の望遠レンズを夕方に使う場合、初代α7ではISO感度を上げるかシャッター速度を速くして手ブレを防ぐ必要があります。α7 IIならボディ内手ブレ補正という選択肢が加わるため、撮影条件への対応力が高くなります。
反対に28mmや35mmの広角オールドレンズを昼間中心で使うのであれば、もともと手ブレが目立ちにくいためα7 IIとの差を感じにくいケースもあります。何mmのレンズを使う予定なのかは、価格差を払う価値を判断する重要なポイントです。
予算が限られるなら本体だけでなくレンズ代まで含めて考える
中古カメラでは、ボディの価格差だけを比較すると判断を誤ることがあります。オールドレンズを使うにはレンズ本体のほか、対応するマウントアダプターも必要です。さらに予備バッテリーやSDカードなどが必要になる場合もあります。
たとえばα7 IIを購入した結果、予算を使い切ってレンズを1本しか買えないのであれば、安い初代α7と35mm・50mm・135mmなど複数のレンズを組み合わせたほうが、オールドレンズ趣味として楽しめる可能性があります。
オールドレンズはレンズごとにコーティング、ボケ、逆光耐性、色の出方などが大きく異なります。カメラ本体の性能を追求するより、余った予算で性格の異なるレンズを試すという考え方にも十分合理性があります。
逆に一度購入したボディを長く使い、夕方や室内でも積極的に撮影する予定なら、最初からα7 IIを購入するほうが後悔を減らせるでしょう。
中古のα7・α7 IIは状態を優先して選びたい
現在これらの機種を購入する場合、基本的には中古個体を検討することになります。そのため、α7かα7 IIかという機種差だけでなく、個体のコンディションが非常に重要です。
確認したいのは、イメージセンサーの傷や汚れ、液晶やEVFの状態、ダイヤルやボタン、SDカードスロット、バッテリー室、マウント部分、端子類などです。可能なら実際にレンズを装着し、撮影・再生・MF拡大など一通り操作してから購入すると安心です。
特にオールドレンズではマウントアダプターを何度も着脱することがあるため、マウント周辺に大きなガタつきがないかも確認しておきたいところです。また非常に安い個人売買品より、初期不良保証のある中古カメラ店の個体を選ぶ方法もあります。
状態の悪いα7 IIより、状態のよいα7を選んだほうが結果的に満足できる場合もあります。中古品では機種名だけで判断しないことが大切です。
結局、オールドレンズ専用ならα7とα7 IIのどちらがおすすめ?
オールドレンズ専用機という条件なら、α7 IIに追加予算を出す最大の意味は5軸ボディ内手ブレ補正にあります。夜間・室内・夕方の撮影が多い、50mm以上のレンズをよく使う、135mmなどの望遠オールドレンズも楽しみたいという人なら、α7 IIを選ぶメリットは大きくなります。
一方、明るい時間帯の街歩きやスナップが中心で、35mmや50mm程度のレンズを使い、とにかく安くフルサイズの画角を楽しみたいのであれば、初代α7でも目的は十分達成できます。約416gという軽いボディも、サブ機としては魅力です。
特にすでにAPS-Cの新しいカメラをメイン機として所有しており、フルサイズ機にはAF性能や連写性能ではなく、MFオールドレンズを楽しむ役割だけを求める場合、初代α7を安く購入して差額をレンズに回す考え方は合理的です。
最終的には、手ブレ補正にお金を払うならα7 II、低価格と軽さを優先するならα7という基準で考えると選びやすくなります。中古価格の差が小さければα7 IIの優位性が高まり、差額が大きければ初代α7のコストパフォーマンスが際立ちます。購入時は価格だけでなく個体の状態も含めて比較することが、長くオールドレンズを楽しむための重要なポイントです。

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