ホリゾンの製本機でくるみ製本をしたとき、背表紙が左右でずれて斜めになったり、背文字が傾いて見えたりすることがあります。この症状は「のりの付き方だけ」が原因とは限らず、本身の突き揃え、表紙の直角精度、表紙送り、筋入れ位置、ニッピング部など複数の要素から発生します。
特に重要なのは、まず「本身そのものが斜めなのか」「表紙だけが斜めなのか」「背の成形だけ左右で違うのか」を切り分けることです。原因を分けずに機械の調整箇所を次々触ると、かえって基準位置が分からなくなることがあります。
ホリゾンには卓上型のBQ-P65・BQ-P80から、BQ-160、BQ-270系、BQ-300、BQ-500など複数のくるみ製本機があり、具体的な調整方法や調整可能箇所は機種によって異なります。そのため、この記事では共通して確認したい考え方を解説しつつ、機種固有の調整は必ず該当機種の取扱説明書に従うことを前提にします。
- 最初に「何が斜めなのか」を確認する
- 最初に確認したいのは表紙が本当に直角に断裁されているか
- 本身も天地・小口をしっかり突き揃える
- 背表紙が斜めなら表紙の「送り方向」を疑う
- 「毎回同じ方向に斜め」か「毎回バラバラ」かで原因を分ける
- 表紙が反っていると斜め送りの原因になる
- 表紙ガイドを広げすぎない
- 筋入れ位置がずれていると背が斜めに見える
- 背幅の入力値が間違っていないか確認する
- ニッピング部の左右差でも背の形が崩れる
- 「背文字が斜め」と「背そのものが斜め」は分けて考える
- 表紙にテスト用の基準線を印刷すると原因が見えやすい
- 斜めのズレを数値化すると調整しやすい
- 調整は一度に1項目だけ変える
- 同じジョブを数冊続けて作って再現性を見る
- 薄い本と厚い本で症状が変わるかも確認する
- 表紙紙質や厚さによっても仕上がりは変わる
- 筋入れが浅すぎても深すぎても安定しないことがある
- 糊量だけで「斜め」が直るケースは多くない
- ホットメルト周辺を自己流で調整しない
- BQ-270系なら「表紙角度調整」という調整箇所がある
- ニッパー角度は「表紙が斜め」の調整とは別物
- 卓上型BQ-P65などでは無理に業務機と同じ調整をしない
- すぐ確認できる実例:背の上だけ右へずれる場合
- 実例:完成冊子によって傾きが右・左に変わる場合
- 実例:背は真っすぐなのに背文字だけ傾く場合
- 実例:背の片側だけ丸くなる場合
- 機械の基準位置がずれている可能性もある
- 清掃で改善するケースもある
- 「調整してもすぐ戻る」なら固定部の緩みも疑う
- 製本前に確認するチェックリスト
- 原因を特定するおすすめの順番
- サービスへ相談するときは写真と条件をそろえる
- まとめ:背表紙の斜めは表紙角度だけでなく、本身・筋入れ・ニップまで順番に切り分ける
最初に「何が斜めなのか」を確認する
「背表紙が斜め」と一口にいっても、実際にはいくつか異なる症状があります。ここを最初に見分けることが重要です。
| 見える症状 | 疑いやすい箇所 |
|---|---|
| 背文字が上下で横へずれる | 表紙の斜行、表紙印刷位置、表紙の裁断精度 |
| 表1・表4の張り出し量が天地で違う | 表紙送り、表紙の直角、本身の斜行 |
| 本身自体が平行四辺形のようになる | 本身の突き揃え、断裁精度、クランプ時の姿勢 |
| 背の角が片側だけ丸い・尖る | ニッピング高さ・角度、成形条件 |
| 筋位置と背が平行にならない | 表紙斜行、筋入れ位置、表紙送り |
例えば背文字だけが斜めに見えるのに、本の天地と背そのものは直角なら、製本機よりも表紙印刷や断裁時点で背文字が斜めになっている可能性があります。
逆に、表紙の上下端と本身の上下端を見比べたとき、上側では2mm出ているのに下側では5mm出ている、といった状態なら、表紙または本身が斜めにセットされている可能性が高くなります。
最初に確認したいのは表紙が本当に直角に断裁されているか
製本機の調整へ入る前に、表紙を定規やスコヤで確認します。くるみ製本では、表紙の一辺がわずかに菱形になっているだけでも、背のラインが斜めに見えます。
特にオンデマンド印刷後に別工程で断裁している場合、見た目では分からない1~2mm程度の斜行が残っていることがあります。これを製本機側の表紙角度調整で補正すると、そのジョブだけは合っても、次の正常な表紙で逆にずれる原因になります。
ホリゾンBQ-270系のオペレーターマニュアルでも、表紙角度を調整する前に表紙が正しく直角に断裁されていることを確認するよう示されています。つまり、まず材料側の直角を確認し、その後に機械を疑うという順番が基本です。
本身も天地・小口をしっかり突き揃える
表紙が真っすぐでも、本身がクランプ内で斜めになっていれば背も斜めになります。本身を投入するときは、背側だけでなく天地方向もきちんとそろっているか確認します。
例えば100枚の本文を手で持ったまま投入し、下側だけ数枚が1mmほどずれている状態でクランプされると、そのずれがミーリングや糊付け後まで残ることがあります。完成後には「表紙が斜め」と見えても、実際には本身側が斜めだったということがあります。
試しに少部数を製本するときは、本身を平らな台へ軽く当てて天地・背側をそろえ、同じ姿勢で投入して症状が再現するか確認すると切り分けやすくなります。
背表紙が斜めなら表紙の「送り方向」を疑う
表紙が機械内へ斜めに入ると、本身は真っすぐでも背表紙が斜めになります。自動給紙式のホリゾン製本機では、表紙を基準位置へ寄せるガイド、ストッパー、搬送ベルトなどが表紙位置を決めています。
BQ-270系では、表紙が本身に対してずれている場合に表紙送り設定を変更する項目があり、左右・前後方向の位置やガイド幅を微調整できます。また表紙自体の角度を補正する調整機構も用意されています。
したがって、同じ方向へ毎回ほぼ同じ量だけ斜めになる場合は、表紙の裁断精度を確認したうえで、表紙送り・レジスト位置・角度調整を確認するのが合理的です。
「毎回同じ方向に斜め」か「毎回バラバラ」かで原因を分ける
この違いは非常に重要です。例えば10冊作って10冊とも背の上側が右へ2mmずれるなら、表紙の裁断、ガイド、ストッパー、設定値など固定的な原因を疑います。
一方、1冊目は右、2冊目は左、3冊目は正常というようにばらつくなら、単純な角度設定よりも表紙の供給不安定、紙のカール、滑り、本身投入時の突き揃えなどを疑うほうが自然です。
一定方向のズレは「位置・角度」、ランダムなズレは「搬送・材料・作業」を中心に見ると原因を探しやすくなります。
表紙が反っていると斜め送りの原因になる
表紙用紙にカールや反りがあると、ガイドへ正常に当たらず、搬送途中でわずかに回転することがあります。特にデジタル印刷機を通した厚紙は熱や湿度の影響でカールする場合があります。
BQ-270系のトラブルシューティングでも、表紙送りに関する対策として表紙のカールを直すことが挙げられています。
表紙を平らな台へ置き、四隅のうち一部だけ大きく浮いていないか確認してください。カールした用紙でだけ斜めになるなら、機械調整より先に表紙のコンディションを改善したほうが有効です。
表紙ガイドを広げすぎない
表紙をセットするガイドに過度な遊びがあると、表紙が供給されるたびに少しずつ角度が変わることがあります。
一方で、ガイドを強く締めすぎると紙がスムーズに移動せず、別の斜行や給紙不良を招くことがあります。機種ごとに指定されたクリアランスに合わせることが重要です。
BQ-270のマニュアルには表紙給紙時のガイド間隔について設定・微調整項目が設けられているため、独自判断で極端に狭くするのではなく、その機種の標準値から調整します。
筋入れ位置がずれていると背が斜めに見える
くるみ製本では、厚手の表紙に筋を入れて背の角を作る機種があります。筋線そのものが背と平行でなければ、実際の接着位置が正しくても見た目には背が斜めに感じられます。
ホリゾンは筋入れについて、くるみ製本の厚手表紙に筋入れすることで角の出たシャープな製本にできると案内しています。[参照:ホリゾン「筋入れ折機 CRF-362」]
BQ-270系など筋入れ機構を備える機種では、筋入れ位置の微調整項目もあります。背幅に対する筋位置が左右で正しいか、筋線そのものが表紙の天地と直角かを確認します。
背幅の入力値が間違っていないか確認する
自動設定型の製本機では、本身厚さや表紙サイズの入力値を基準にクランプ、ニッピング、筋入れなどが設定されることがあります。
実際の本身が10.8mmなのに10mmとして設定しているなど、厚さ情報がずれていれば、背形成や表紙位置が想定と違う結果になる可能性があります。
例えばBQ-270Vは本身厚さを基準にセットアップする製本機で、後継のiCE BINDER BQ-300では本身厚さ入力装置によって次に投入する本身の厚さを読み取り、冊子ごとにセットアップする構造が採用されています。[参照:ホリゾン「iCE BINDER BQ-300」]
機種に厚さ入力がある場合は、実測値や自動検出値が実際の本身と一致しているかを確認してください。
ニッピング部の左右差でも背の形が崩れる
表紙位置は合っているのに、背の片側だけ角が強く出て反対側が丸くなる場合は、表紙送りだけでなくニッピング部を疑います。
ニッピングとは、糊付けされた本身と表紙を押さえ、背の形を整える工程です。ホリゾンもBQ-P65について、強力なニッピング機能によって強度と美しさを備えた製本物に仕上げると説明しています。[参照:ホリゾン「卓上製本機 BQ-P65」]
BQ-270系にはニッパー高さ・ニッパー角度などの調整項目があります。特に左右で背のシャープさが異なる場合には、表紙の斜行とは別にニッパー角度が関係する場合があります。
「背文字が斜め」と「背そのものが斜め」は分けて考える
表紙に背文字が印刷されている冊子では、文字だけを見ると問題を誤認しやすくなります。
まず完成した冊子を定規で測り、背と天地が直角かを確認します。そのうえで背文字の中心線を確認してください。
背は真っすぐなのに文字だけ斜めなら、製本機側ではなく印刷時の見当、表紙データ、断裁位置などの問題です。この場合に製本機の角度を補正すると、本そのものを斜めにして文字だけ合わせることになってしまいます。
表紙にテスト用の基準線を印刷すると原因が見えやすい
原因が分かりにくい場合は、廃紙やテスト用表紙に背の中心線と天地に対する直角線を印刷して製本すると切り分けやすくなります。
例えば表紙中央に細い縦線を印刷し、その線が完成後の本身背中央と一致するかを確認します。上側では一致するのに下側で2mmずれるなら、角度方向の問題であることが分かります。
逆に上から下まで平行に2mmずれているなら、角度ではなく表紙の前後・左右位置の問題です。このように「平行移動」と「回転」を区別すると、触るべき調整箇所を絞れます。
斜めのズレを数値化すると調整しやすい
「少し右に傾く」という感覚だけで調整すると、過補正を繰り返しやすくなります。上側と下側で何mmずれているかを測るのがおすすめです。
例えば背の上端では正しい位置、下端では右へ2mmずれているなら「天地方向で2mmの角度差」と記録します。
1回の調整後に再び同じ方法で測れば、改善したのか悪化したのかが明確になります。量産現場では特に、調整値と結果を記録しておくと再現性を確保しやすくなります。
調整は一度に1項目だけ変える
斜めが気になるからといって、表紙角度、筋位置、ニップ幅、糊量などを同時に変更してはいけません。改善してもどの変更が効いたのか分からなくなります。
まず材料の直角と本身の突き揃えを確認し、次に表紙位置、その次に必要なら角度、ニッピングというように順番に確認します。
「1項目変更→1冊テスト→測定→記録」を繰り返すほうが、結果として最短で原因へ到達できます。
同じジョブを数冊続けて作って再現性を見る
1冊だけ斜めになった場合、すぐ機械の恒久調整を変更するのは早すぎます。
同じ表紙・同じ本身で3~5冊程度テストし、すべてほぼ同じ方向へずれるかを確認します。一定の再現性があれば設定・機械基準・材料の寸法に原因がある可能性が高まります。
1冊ごとにズレ方向が変わるなら、給紙時の滑り、表紙のカール、本身投入方法など、ばらつきを生む要因を先に確認します。
薄い本と厚い本で症状が変わるかも確認する
同じ機械でも、本身厚さによって背の成形条件は変わります。薄い本では正常なのに厚い本だけ斜め・変形するなら、表紙そのものよりニッピング条件や本身保持状態を疑う余地があります。
ホリゾンの各製本機には機種ごとに対応製本厚さが定められています。例えばBQ-P65は最大25mm、BQ-300は1~51mm、BQ-500は1~65mmに対応しています。[参照:ホリゾン「BQ-P65」][参照:ホリゾン「BQ-300」][参照:ホリゾン「BQ-500」]
機種の対応範囲内であっても、厚さごとに必要な設定が正しく反映されているか確認することが大切です。
表紙紙質や厚さによっても仕上がりは変わる
薄い上質紙と厚いコート紙では、折れ方やニップ時の挙動が異なります。特に厚手の表紙は筋が不十分だと背角が安定せず、片側だけ浮いたような仕上がりになることがあります。
ホリゾンのBQ-P65では、使用できる表紙紙質として上質紙82~210g/㎡、アート・コート紙105~233g/㎡という範囲が示されています。大型機でも機種ごとに対応坪量が設定されています。[参照:ホリゾン「BQ-P65 仕様」]
そのため極端に厚い紙、ラミネート紙、強く反った紙などを使っている場合は、その機種の対応範囲と推奨条件を確認してください。
筋入れが浅すぎても深すぎても安定しないことがある
筋入れが浅すぎると表紙が背角に沿わず、復元力によって片側が浮きやすくなります。反対に強く入れすぎると表面割れや変形につながることがあります。
ホリゾンは専用筋入れ機について、厚手のくるみ製本表紙へ筋入れを行うことで角の出るシャープな製本が可能になると説明しています。[参照:ホリゾン「自動筋入れ機 CRA-36」]
筋入れ圧を調整できる機種では、紙厚に合った設定かを確認します。ここも一度に大きく変更せず、テスト紙で少しずつ確認します。
糊量だけで「斜め」が直るケースは多くない
背が斜めに見えると、糊が片側へ多く付いているのではと考えがちですが、位置的な斜行の場合は表紙・本身・ニッピングのほうが優先度が高いです。
もちろん糊量が極端に不均一なら、背の膨らみ方や接着状態に左右差が出ることがあります。しかし表紙の上下位置が斜めにずれている症状を糊量調整だけで直すことはできません。
接着強度に問題がなく、背全体が平行に形成されているなら、最初から糊タンク周辺を触る必要はありません。
ホットメルト周辺を自己流で調整しない
ホリゾンの卓上製本機BQ-P65ではホットメルトの使用温度が130~150℃とされています。大型機ではさらに異なる設定温度を扱うものがあります。[参照:ホリゾン「BQ-P65 仕様」]
そのため糊タンク、ローラー、ニッピング周辺など機械内部の調整を行う場合は、必ず取扱説明書に示された手順・安全措置に従ってください。高温部へ直接触れるのは危険です。
外装を外したり、サービスマン向けの調整部まで自己流で変更したりすることは避けましょう。
BQ-270系なら「表紙角度調整」という調整箇所がある
BQ-270系のオペレーターマニュアルでは、表紙が正しい位置にない場合の調整として「Cover Sheet Angle Adjustment」が用意されています。これは表紙を受け止めるレジストレーションストッパーの角度を補正する機構です。
ただし同マニュアルでは、角度調整をする前に表紙が正確に断裁されていることを確認するよう注意されています。ジョブで使う表紙そのものが菱形なら、一時補正で仕上げることはできても、終了後には基準へ戻す必要があります。
したがってBQ-270、BQ-270Vなどを使用していて毎回同方向へ背が傾く場合は、取扱説明書の「表紙送り」「表紙角度」「筋入れ」「ニッパー」の各項目を確認するのが有効です。
ニッパー角度は「表紙が斜め」の調整とは別物
ここは間違えやすいところです。BQ-270系には表紙角度の調整とは別に、ニッパー角度の調整があります。
表紙角度調整は、主に表紙が本身に対して回転方向へずれる問題に関係します。一方、ニッパー角度調整は背の片側だけ角が鋭すぎる、または丸すぎるといった「背形状の左右差」に関係します。
背文字が斜めだからニッパー角度を変える、という判断は適切とは限りません。症状に対応する調整箇所を選ぶことが重要です。
卓上型BQ-P65などでは無理に業務機と同じ調整をしない
ホリゾン製本機といっても、BQ-P65のような卓上型とBQ-270系、BQ-300、BQ-500では内部機構やユーザーが調整できる範囲が異なります。
BQ-P65は表紙くるみ製本、テープ製本、天のり製本に対応し、確実なのり塗布とニッピングで美しい仕上がりを目指した卓上機です。[参照:ホリゾン「BQ-P65」]
BQ-270の取扱説明書に載っている調整箇所を見て、BQ-P65にも同じネジがあるはずだと考えて分解するのは避けてください。必ず使用機種の説明書にある範囲で調整します。
すぐ確認できる実例:背の上だけ右へずれる場合
例えばA4本を製本したところ、背の下端は正しいものの、上端だけ右へ2mmずれているとします。
まず表紙単体をスコヤで確認します。表紙が直角なら、本身をそろえて再度テストします。それでも毎回ほぼ2mm右へ傾くなら、表紙の送り角度やレジスト位置を疑います。
この段階で初めて、機種のマニュアルに用意されている表紙位置・角度の微調整を確認します。最初からニッパーや糊量を触る必要はありません。
実例:完成冊子によって傾きが右・左に変わる場合
1冊目は右へ2mm、2冊目は正常、3冊目は左へ1mmというような場合、固定された角度調整値が原因である可能性は低くなります。
表紙のカール、積載時の揃え方、表紙ガイドの遊び、本身投入時の突き揃えなどを確認します。
特に表紙束の上から数枚だけ反っている場合や、厚紙で給紙抵抗が大きい場合は、1枚ごとに送り姿勢が変わる可能性があります。
実例:背は真っすぐなのに背文字だけ傾く場合
完成冊子を机へ立て、背と天地が直角で、表1・表4の位置もそろっているのに背文字だけ傾いているなら、製本精度そのものは正常な可能性があります。
その場合は表紙データの背文字位置、印刷時の斜行、断裁時の直角を確認します。
特にデジタル印刷では用紙搬送によって印刷位置にわずかな回転差が生じることがあるため、印刷済み表紙を数枚重ね、背文字の位置がすべて同じか確認すると原因を発見しやすくなります。
実例:背の片側だけ丸くなる場合
表紙と本身の位置は合っているものの、背の上側は角が出て、下側だけ丸く見える場合は、単なる表紙斜行とは症状が異なります。
BQ-270系のマニュアルでは、背の左右でシャープさが異なる場合にニッパー角度を調整する項目が用意されています。
こうした症状では、表紙角度を変えるのではなく、まず機種のニッピング関連のトラブルシューティングを参照してください。
機械の基準位置がずれている可能性もある
正常だった機械で、ある日から複数のジョブすべてが同じように斜めになる場合は、材料やデータより機械側の基準位置を疑う必要があります。
ガイドやストッパーの緩み、部品の摩耗、センサーや搬送部の汚れ、設定値の変更などでも再現性のあるズレが生じる可能性があります。
通常のユーザー調整範囲を確認しても直らず、複数の正常な表紙で同じ症状が続く場合は、サービス点検を依頼したほうが安全です。
清掃で改善するケースもある
紙粉、糊、断裁くずなどが搬送部や基準部へ付着すると、紙が正しく当たらなくなることがあります。
特に日常清掃が指定されている箇所は取扱説明書の手順で清掃してください。センサーや搬送経路の汚れが給紙不安定につながる機種もあります。
ただし高温の糊部や可動部へ手を入れる清掃は危険です。電源遮断・冷却など、機種の取扱説明書で指定された安全手順を守ります。
「調整してもすぐ戻る」なら固定部の緩みも疑う
調整直後は真っすぐになるのに、数十冊製本すると再び同じ方向へ斜めになる場合は、単なる設定値ではなく機械的な保持状態の問題も考えられます。
ユーザーが締め付けを確認できるガイドやロックノブであれば、取扱説明書に従って固定状態を確認します。
内部機構の緩みや摩耗が疑われる場合は、勝手に増し締めせずサービスへ相談したほうが確実です。製本機は位置精度が仕上がりへ直接影響するため、基準調整を自己流で変更すると別の不具合につながります。
製本前に確認するチェックリスト
- 表紙の四隅が直角になっているか
- 表紙にカールや反りがないか
- 背文字の印刷自体が斜めになっていないか
- 本身の天地・背側がきちんとそろっているか
- 本身厚さの設定値が正しいか
- 表紙サイズの設定値が正しいか
- 表紙ガイドが正しくセットされているか
- 筋入れ位置が背幅と一致しているか
- 毎回同じ方向にずれるのか、ランダムなのか
- 背の位置が斜めなのか、背形状だけ左右で違うのか
このチェックを行うだけでも、機械を不必要に調整するケースをかなり減らせます。
原因を特定するおすすめの順番
- 完成冊子のズレを上下それぞれmm単位で測る
- 表紙の直角と印刷位置を確認する
- 本身の断裁・突き揃えを確認する
- 同条件で3~5冊テストして再現性を見る
- 表紙のカールと給紙状態を確認する
- 表紙位置・表紙角度の設定を確認する
- 筋入れ位置を確認する
- 背形状に左右差がある場合はニッピング条件を確認する
- 一項目ずつ微調整して結果を記録する
- 改善しない場合はメーカー・サービスへ相談する
この順序なら、「表紙が斜めなのにニッパーを調整してしまった」といった遠回りを防ぎやすくなります。
サービスへ相談するときは写真と条件をそろえる
ホリゾンへ問い合わせる場合は、「背が斜めになります」だけでなく、機種名、表紙サイズ・紙質、本身サイズ・厚さ、斜めになる方向、上下で何mm違うか、毎回同じかどうかを伝えると診断しやすくなります。
完成冊子の背、表1、表4を撮影し、可能なら正常品との比較写真を用意するとさらに分かりやすくなります。
ホリゾンは製本機器の修理・メンテナンス問い合わせ窓口を設けています。ユーザー調整範囲を超える症状や、基準位置のずれが疑われる場合はこちらを利用できます。[参照:ホリゾン「お問い合わせ」]
まとめ:背表紙の斜めは表紙角度だけでなく、本身・筋入れ・ニップまで順番に切り分ける
ホリゾン製本機でくるみ製本の背表紙が斜めになる場合、最初から機械の角度調整を触るのではなく、表紙の直角、本身の突き揃え、表紙送り、筋入れ、ニッピングの順に原因を切り分けることが重要です。
特に毎回同じ方向へ傾く場合は、表紙の裁断精度や表紙レジスト・角度設定を確認します。反対に傾き方が毎回変わる場合は、表紙のカール、ガイドの遊び、給紙、本身投入方法などを先に疑います。
BQ-270系のように表紙角度・表紙送り・筋位置・ニッパー角度などを個別に調整できる機種もありますが、各調整にはそれぞれ対象となる症状があり、似て見えるからといって同じ調整をするものではありません。使用している機種の取扱説明書に従い、一度に一項目だけ変更してテストしてください。
また、ホリゾンのくるみ製本機はホットメルトや強力なニッピング機構を備えるものがあり、高温部・可動部を伴います。内部の基準調整や分解を自己流で行うのは避け、ユーザー調整範囲で直らない場合はホリゾンの修理・メンテナンス窓口へ相談するのが安全です。[参照:ホリゾン・ジャパン「修理・メンテナンスに関するお問い合わせ」]


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